車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年10月現在の「龍神温泉」を車中泊で旅したい人に向けての情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊温泉旅行ガイド
この記事は「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価し、車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる、各温泉地の魅力を紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
龍神温泉に行く前に知っておきたい、ホントとウソ。
「龍神温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2004年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2004.11.07
2010.02.28
2012.12.23
2013.12.20
2020.02.24
2023.08.19
※「龍神温泉」での現地調査は2023年8月が最終です。
龍神温泉の概要と車中泊事情
イントロ
~日本三大美人の湯~
まず、龍神温泉が和歌山県のどのあたりにあるかは知らないけれど、群馬県の川中温泉、島根県の湯の川温泉とともに、「日本三大美人の湯」に数えられていることは知っている…
という人は、たぶん以下の記事にも関心があると思うので、あわせてご覧いただけると幸いだ。
ちょっと分かるだけで、だいぶ違う! それが、温泉旅に出かける前に知っておきたい「温泉の基本」ってやつ。
龍神温泉の概要と歴史
「龍神温泉」は、紀伊山地を流れる日高川上流の、自然豊かな渓谷に湧く古びた温泉地で、現在は15軒の宿が点在している。
そう云うと聞こえはいいが、行ってみると紀伊半島の東西南北どこから行くのも不便極まりない、まさに「秘湯」と呼ぶにふさわしい過疎地だ(笑)。
それもそのはず。
「龍神温泉」にはその昔、吉野の修験者「役小角(えんのおずぬ)」が、煙が出ているところを錫杖(しゃくじょう)で突いたことで発見され、後に「弘法大師」が難陀竜王(なんだりゅうおう)の夢のお告げによって開湯した、という伝承が残されている。
日本の双璧とも云える「修行の達人」が関わっているのだから、そりゃ誰もが簡単に行ける場所であるはずがない。
というか、この話に信憑性があるのなら、観光客が簡単に行くことのできない場所のはず(笑)。
しかし江戸時代には、徳川御三家の紀州藩主に重用された事実が残る。
ってことは、もうその頃には籠で行けるくらい整備された道があったわけだ(笑)。
そして藩主の別荘として造られた「上御殿」、家臣の宿泊所となった「下御殿」は、現在も竜神温泉街のシンボルとして実在し、上御殿は1999年に国の登録有形文化財に登録されている。
すなわち、龍神温泉で確実なことは、弱アルカリ性のお湯が湧く、紀州藩御用達の温泉地であったということ。
後年になって後付された、根拠のない宣伝と伝説に惑わされていいのは、滅多に旅などしない「おのぼりさん」だけ(笑)。
旅に出ることが多い中高年は、きちんと真実を見極めてから、行き先を選ぼう。
龍神温泉の日帰り入浴施設ガイド
これまでの話からすると、誰もがもっとも格式の高い「上御殿」の温泉に入湯してみたいと思うわけだが、案の定、日帰り入浴は受け付けていない。
日帰り入浴可能な、老舗の宿は「下御殿」
いっぽう家臣が泊まったという「下御殿」では、時間は短いが、日帰り入浴を受け付けている。
名物は、脱衣所・洗い場・湯船に至るすべてが畳敷きという「御座敷風呂」だ。
下御殿
☎0739-79-0007
おとな1200円(2022年時点)
内湯(檜風呂・御座敷風呂)
混浴露天風呂
ともに12時~14時30分まで
※料金は公式サイトに記載なし
しかし公式サイトに、「料金を記載していない」というのはいただけない。
ちなみに龍神温泉は共同源泉を各宿に配湯しており、下屋敷は「下の湯」という泉源から引いたpH7.8のお湯を加温し、「循環濾過」したうえで「塩素消毒」している。
有名なのは「龍神温泉 元湯」
「龍神温泉らしい泉質」にこだわりたいという人は、源泉掛け流しの共同浴場「龍神温泉 元湯」に足を運ぼう。
筆者はそれほど「源泉かけ流し」にこだわっていないが、こういうふうに表示されると悪い気はしない。
源泉はいずれもpH8.0以上の弱アルカリ性。世に云う「美人の湯」だ。
加えて、渓流沿いに開放感あふれる露天風呂も用意されている。
龍神温泉 元湯
☎0739-79-0726
大人800円
7時~21時(受付最終20時40分)
年中無休
道の駅に近いのは「季楽里 龍神」
「季楽里 龍神」は、2004年に「道の駅 竜神」の近くにオープンした公共の宿で、日帰り入浴も受け付けている。
ここも「下屋敷」と同じ「下の湯」からの引湯で、循環濾過したうえで塩素消毒を施しているが、ご覧のように浴場は広々していて、露天風呂もある。
運転疲れしたカラダをゆっくり癒したい車中泊の旅人には、むしろここが空いていてお勧めかもしれない。
季楽里 龍神
道の駅から約600メートル
☎0739-79-0331
大人800円
11時~20時・不定休
2023年10月現在、公式サイトには「当面の間、日帰り温泉の営業時間は11時~15時とさせていただきます。」の記載がある。
ただしサイトの更新日が不明なので、いつの話なのかは分からない。
自社更新できない施設のホームページは、このあたりが信用できず、当サイトでいくら更新しても”いたちごっこ”になるだけなので、行かれる方が事前に電話で確認されるのが一番確実だ。
ちなみに…
旅行者の中には、「循環濾過」と「塩素消毒」を毛嫌いする人があるかもしれないが、日本各地には「城崎温泉」や「下呂温泉」のようなメジャーな温泉地でも、そうしているところが少なくない。
また「源泉かけ流し」の表示には、”すべての湯船が対象ではない”という、若干インチキめいたところもあるので、内容をきちんと理解しておくほうがいい(笑)。
龍神温泉の車中泊事情
龍神温泉には、川の向かい側に公営の無料駐車場が用意されている。
ただそこにはトイレがなく、元湯の前にある公衆トイレまで行く必要がある。
その公衆トイレの横にも駐車場はあるものの、さすがに普通はここでの車中泊は気が引けるだろう(笑)。
ゆえに温泉街から1.5キロほどのところにある「道の駅 竜神」での、車中泊を選択する人が大半になると思う。
ただ「道の駅 竜神」は1995年にできた道の駅で、部分的な改修を受けているとはいえ、さすがに老朽感は拭えない。
なおゴールデンウィークなどで、もし道の駅が満車の場合は、「季楽里 龍神」の駐車場の奥にも公衆トイレがある。
ここは「龍神村曼荼羅美術館」との共用にも見えるので、少なくてもトイレ横の駐車区画なら、夜は車中泊をしても咎められることはなさそうに見えた。
ただいずれにしても、周辺にコンビニやスーパーマーケットがなく、車中泊に適した環境とは云いがたい。
現時点での筆者の見解は、そうまでして、龍神温泉での車中泊に固執する必要はなく、「高野龍神スカイライン」を走る途中で、休憩がてらに立ち寄ればいい。
南紀には、もっと車中泊旅行者にとって、居心地のいい温泉地が他にある。
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