この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の三重県にある構成資産をピックアップ
熊野古道・伊勢路【目次】
伊勢路の概要
「十返舎一九」の代表作「東海道中膝栗毛」に登場する伊勢路は、古くから伊勢神宮と熊野三山を結んできた交通路で、「伊勢へ七度、熊野へ三度」と呼ばれる信仰の路で知られている。
和歌山県を通る中辺路が、平安時代の貴族に多く利用されてきたのに対し、伊勢路は主に、「お伊勢参り」と青岸渡寺を出発点にする「西国巡礼」が盛んになった江戸時代に、武士や庶民が利用する道としての歴史を重ねてきた。
ただし、伊勢神宮から熊野三山までの総距離は約170キロに及ぶが、そのうち世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録区間は断続的に点在しており、合わせると32.9キロしかない。
その中で有名なのは、当時から景勝地として参詣者に知られていた「鬼ヶ城」や「獅子岩」から続く「七里御浜(しちりみはま)道」だ。
砂礫の海岸線沿いを歩くこの道は、今でも「浜街道」の名前で親しまれている。
なぜ、伊勢神宮は世界遺産になっていないのか?
さて。
ここまで読めば、誰でも行き着く疑問がこれだと思う。
その答えは「遷宮」にあるようだ。
世界遺産は、基本的に変化のないもの、変化させないもの、変わらないものを対象としており、20年に一度「遷宮」を行う伊勢神宮はそこに抵触するという。
伊勢神宮の「遷宮」は、奈良時代から伝わる正殿建替えの儀式だが、これには建築や儀式に携わる者の技術継承という大事な意味も込められており、さすがにそれをやめてまで世界遺産に登録するわけにはいかないのだろう。
もっとも…
それだけではなく、宮内庁には「触れられたくない秘密」というものもあると思う。なんせ古墳の発掘調査にも、驚くほど消極的だからね(笑)。
伊勢路のお勧め観光スポット
最後は和歌山県の新宮から続けてさらに、三重県内の「紀伊山地の霊場と参詣道」をめぐる旅を続けたい人に向けた、お勧めの観光スポットを紹介しよう。
七里御浜
新宮から公園整備された七里御浜海岸に着く前に、産卵に訪れる生きたウミガメが無料で見られるユニークな道の駅がある。
さらに風光明媚な七里御浜海岸の前には、車中泊環境がよく整った道の駅もある。
花の窟(はなのいわや)神社
「花の窟」は新宮の「神倉神社」とともに、古代の熊野が自然崇拝の聖地であったことを現代に伝える貴重な遺跡で、ここもまた道の駅の指定を受けている。
獅子岩
自然の造形としては「鬼ヶ城」よりもフォトジェックな「獅子岩」だが、多くの観光客は駐車場が分からず、その撮影をあきらめているようだ。
鬼ヶ城
「熊野花火大会」の会場で有名な「鬼ヶ城」は、奇石・奇岩の景観だけでなく、熊野古道屈指の眺望を誇る「松本峠」にも通じている。
さらに「鬼ヶ城センター」の駐車場では車中泊も可能で、ここが無料というのは何より本当に素晴らしい!
熊野古道 車中泊旅行ガイド
紀伊半島全域に及ぶ、日本を代表する広大なる世界遺産の愉しみ方をご紹介。この世界遺産なくして、紀伊半島は語れない。
※記事はすべて外部リンクではなく、オリジナルの書き下ろしです。