この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
天守を望む内濠の東側に、約1300本の梅が咲く
歴史探訪、大坂城と大阪城。【目次】
大阪城の概要を完結にご紹介
日本100名城に数えられる大阪城は、年間200万人以上(有料施設のみの数字)の観光客が訪れる、大阪のランドマークに相応しい観光スポットだ。
府民がよく足を運び、コンサートなどの大規模インベントの会場として使われるホールを含めた、「大阪城公園」の年間来場者数は、おそらくその10倍以上の数になるに違いない。
この章には、大阪府民なら「いまさら読まなくても大丈夫」という話を収録しているのだが(笑)、筆者の記事は大阪在住の方ではなく、遠路はるばる上方まで、それも車中泊という宿泊手段でお越しになられる旅人を強く意識したものだ。
それゆえ、梅も桜と同様に「主たる目的」ではなく、どちらかといえばこの話の「おまけ」に近い。
とはいえ、
「同じ大阪城に行くなら、花のある季節のほうがいい」。
大阪城梅林の歴史と魅力
豊臣と徳川の両天下人が君臨していた大阪城だが、思いのほか梅林の歴史は新しく、戦禍で荒廃した大阪を花の名所にしようと、昭和49年3月に大阪府立北野高校の卒業生が、開校100周年事業として、22品種・880本の梅の木を大阪市に寄付したことがはじまりとされている。
現在では100品種を超える梅の花が咲き誇るまでになった大阪城梅林の魅力は、「探梅」「賞梅」「送梅」と呼ばれる古来から伝わる梅の観賞方法が味わえることだ。
「探梅」は早咲きの梅を一輪一輪探しながら楽しむ、「 賞梅」は咲きそろった梅を愛で楽しむ、そして「 送梅」は散りゆく梅を惜しみながら見送ることとされており、それをわきまえた周辺の住民たちは、この季節になると足繁く梅林に足を運んでいる。
大阪城梅林の見頃
まず、多くのガイドブックには大阪城の梅林の見頃は「1月下旬から3月中旬」と書かれているが、それは大阪城にいつでも行ける大阪府民と、「梅」が本当に好きな人に向けたメッセージだと思っていい。
現実的に大阪城の梅林が「満開」を迎えるのは、3月初旬から年によっては中旬なので、こういう写真が撮りたいのであれば、その時期に足を運ぼう。
ただ1月から3月にかけて、大阪城の梅林に早咲きから遅咲きまで100品種を超える梅の花が咲くのは事実だ。
もっとも、1月末から黄色い花を咲かせる「蝋梅(ロウバイ)」は、梅の花に似ているが、バラ科の「梅」の仲間ではなく、クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属に属する中国原産の落葉樹になる。
梅林散策の発着点には、「JR大阪城公園駅」がお勧め
筆者は大阪城へのアクセスは、車中泊ができる駐車場がすぐ近くにある駅前のコインパーキングからの「パーク&JRライド」をお勧めしている。
それもあわせて、梅林へのアクセスはJR環状線の「大阪城公園駅」がもっとも近い。
また「大阪城公園駅」の隣には、ハイルーフ車でも入庫できる広い「D-parking 大阪城公園駅前駐車場」が用意されているので、クルマでもアクセスはしやすい。
ここは「大阪城公園駅」を目指せば迷わず戻って来れるし、すぐ近くに食事処とコンビニもある。
D-parking 大阪城公園駅前駐車場
全日 8:00~22:00 60分/¥350
全日 22:00~8:00 60分/¥150
24時間営業
収容台数171台
なお、ここを利用する場合は、見学後にこちらの車中泊スポットを利用するといいだろう。
「JR大阪城公園駅」から梅林へのルート
「大阪城公園駅」からは「大坂城ホール」の前で左折し、この道を通って「青屋門」を目指そう。
「大坂城ホール」と川の間の細い道を通っても行けないことはないが、少し遠回りになるし、道も分かりにくくなる。
これが「青屋門」。
梅林に行くには門をくぐった後に左折、天守へは右折する。
そしてここが大阪城梅林の入口だ。
なお梅林の前の内堀には、「大阪夏の陣」に勝利した徳川秀忠が、豊臣の大坂城を破却して埋め立てた後に、徳川大阪城の天下普請に着手し、普請総奉行の藤堂高虎に、「石垣を旧城の2倍に、堀の深さも2倍に」と命じて築かせた「日本一の高石垣」がある。
また天守に行く場合は、極楽橋から登城するのが近道だが、ここは大阪城の裏門的存在になる。
ただ天守に行く途中には、この石碑がある。
正門にあたる「大手門」から入城すると、なかなかここへは行けないので、案外知られていない大坂城のトリビアスポットと云えるだろう。
ちなみに天守からは、そのまま来た道を引き返すほうが楽。
なお、疲れたら帰りはロードトレインで「大阪城公園駅」近くまで楽に戻れる。