この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
大阪城内で、天守と桜のコラボをストレスなく見られる場所は「西の丸庭園」
大阪城の桜のフォトスポットは「西の丸庭園」【目次】
「大阪城の桜を見る」と「大阪城で桜を見る」は、似て非なること
「大阪城の桜を見る」と「大阪城で桜を見る」は、似て非なること
桜の名所と呼ばれる観光地の「開花は?満開はいつ?」
毎年それをスマホやPCで調べる人がよほど多いらしく、Googleで検索すると、そのキーワードにヒットする情報サイトが、まさに「数珠つなぎ」で表示される(笑)。
だがよく考えてみれば、初めて行く人でも「大阪城の桜が咲く時期」を予測するのは、さほど難しい話ではない。
また情報サイトの中には、こういう場所まで懇切丁寧に紹介しているものもあるが、それは左の高層マンションに住むような、近所の人たちにとって役立つ話だと思う。
旅行者にとって一番大事な情報とは、桜は大阪城内の「どこに咲いているのか?」、もっといえば「大阪城の天守と桜のコラボが撮れるベストスポットは、どこにあるのか」だろう。
それが分からないと、「行き当たりばったり」でこの程度の写真が撮れたことに満足し、帰宅後に「真実」を知ってガッカリすることになる(笑)。
そもそも筆者は、「大阪城の桜を見る」と「大阪城で桜を見る」は、似て非なることだと思っている。
「大阪城の桜を見る」というのは、こういうこと。
他府県から大阪城を訪れる”旅行者”が見たいのは、「大阪城でしか見られない桜の光景」だ。
大阪城の概要と歴史
※この章の話は「梅林の記事」と重複するので、そちらをご覧になられた方は飛ばしていただいてかまわない。
日本100名城に数えられる大阪城は、年間200万人以上(有料施設のみの数字)の観光客が訪れる、大阪のランドマークに相応しい観光スポットだ。
府民がよく足を運び、コンサートなどの大規模インベントの会場として使われるホールを含めた、「大阪城公園」の年間来場者数は、おそらくその10倍以上の数になるに違いない。
この章には、大阪府民なら「いまさら読まなくても大丈夫」という話を収録しているのだが(笑)、筆者の記事は大阪在住の方ではなく、遠路はるばる上方まで、それも車中泊という宿泊手段でお越しになられる旅人を強く意識したものだ。
それゆえ、桜も梅と同様に「主たる目的」ではなく、どちらかといえばこの話の「おまけ」に近い。
とはいえ、
「同じ大阪城に行くなら、花のある季節のほうがいい」。
それは我々が、東北の名城を訪ねる時にも云える話だ。
「西の丸庭園」へのアクセスルート
さて。
「西の丸庭園」は、大阪城の「大手門」を入ってすぐのところにある。
ゆえに公共交通機関で云うと、地下鉄谷町線の「谷町四丁目駅」で降り、そこから歩いてアクセスするのが一番近い。
なおJR「大阪城公園駅」からアクセスする場合は、青屋門⇒極楽橋⇒本丸広場⇒桜門の順に大阪城内を横断すると近道になる。
こちらが「西の丸庭園」の入口。
大坂城では天守とここだけが有料になっており、入場料200円を支払って中に入る。
なおシニア割引はあるが、大阪市内在住の65歳以上に限定されている。
●利用時間
9:00~17:00(3月~10月)
9:00~16:30(11~2月)
※入園は閉園の30分前まで
●定休日
月曜日(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28~1/4)
●入場料
大人200円
※中学生以下、大阪市内在住の65歳以上(要証明書提示)、障がい者手帳 をお持ちの方は無料
西の丸庭園とは
秀吉の時代には、兄・秀長の屋敷と正室・北政所の屋敷があった場所で、大坂城では本丸の次に重要とされていた。
しかし秀吉亡き後、家康が伏見城から強引に大坂城に入り、居住する西の丸に新たな天守閣を設けた。
あたかも本丸天守の秀頼に対抗するかのような西の丸天守の建設は、石田三成らが糾弾する家康の罪状のひとつに挙げられ、「関ケ原の戦い」への導火線になったといわれている。
「西の丸庭園」での上手な撮影法
「西の丸庭園」が、大坂城の桜のベスト・フォトスポットと呼ばれる所以は、このアングルで撮れるからに尽きる。
ただし上の写真を撮るには、ちょっとした工夫が必要だ。
「西の丸庭園」には約300本の桜が植えられているが、その大半は内堀に沿った並木になっている。
そのため、ほとんどの人は並木に近づいて大阪城を写そうとする。
だが桜に近づくほど、大阪城は枝に隠れて小さく写る。
桜がらみの大阪城を大きく撮る秘訣は、逆に桜から離れた芝生に立ち、そこから望遠で撮影することにある。
先ほどの写真との違いにご注目。
あとは好みで桜を重ねる量を調整するだけだが、下がりすぎるとビルが映り込むので、大阪城の左右に気を配り、納得のいく1枚が撮れる場所を見つけ出そう。
ちなみに並木道を奥に進んでいくと、お堀端にベンチが並ぶ広場がある。
ここではフェンスまで近づくと、「西の丸庭園」の中でも「ひと味違う1枚」を撮ることができる。
なお、かつては「西の丸庭園」内でも、飲食を伴うお花見ができたのだが、コロナウィルスの蔓延以降は禁止されている。
それは写真を撮る際には好都合だが、筆者のように「こんな日和には、せめて桜のもとで一杯くらいはプハァ~とやりたい」というストレスを生む(笑)。
そこで、この時期限定の「西の丸庭園」に負けないくらい美しい「秘密の花園」を、最後に紹介しておこう。
桜の季節にお勧めしたい、もうひとつの「フォトスポット」
こちらが、この時期限定の「秘密の花園」と筆者が勝手に呼んでいる、大阪城公園の「桃園」だ。
桃は桜とほとんど同時期に満開を迎えるが、とりわけ花桃(立ち源平桃)と呼ばれる、1本の木に紅と白、そして紅白の絞りの花を咲かせる品種が美しい。
もちろん「秘密の花園」というのは旅行者にとっての話。
桜に桃、それに純白の花を咲かせるユキヤナギが、ビル街を背景にカラフルな光景を描くこの場所は、近所の人なら誰もが知っている「お花見の特等席」に違いない。
たとえ大阪城は見えなくても、まさに冒頭で記した「大阪城で桜を見る」のに最適な場所だと思う。
もちろん、ここでは飲食OK。
筆者もひと仕事終えて、「おつかれ生」をいただいた(笑)。
なお「西の丸庭園」から「桃園」に行くには、一度内堀の外に出る必要があり、少し歩かなければならない。
疲れてなければ、「桜門」から外に出て、日本一高い石垣と梅林の前の道を通ってアクセスするほうが、多少遠回りにはなるが景色はいい。
ただ、さすがに大阪では、桜が咲くと梅は散る(笑)。
その大阪城の梅林に関する記事はこちら。
また車中泊事情についても、こちらの記事に掲載している。