車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年6月現在の和歌山県・紀中エリアの見どころ及び、車中泊に関する情報です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
和歌山の”知られざる観光ルート”が残る「紀中エリア」は、違いが分かる大人の旅先。
「紀中エリア」のロケーション
大阪からアクセスの良い「紀北エリア」と、白浜・勝浦の2大温泉地を抱える「紀南エリア」に挟まれた「紀中エリア」には、和歌山の”知られざる観光ルート”が秘められている。
だが今も昔も、「紀中エリア」は観光客にスルーされやすいロケーションにあるため、そのことに観光業界も行政も気がついていないか、少なくとも目を向けるつもりはなさそうだ。
鍵を握っているのは「湯浅御坊道路」。
特に念願だった片側2車線化を果たした現在は、慢性的な渋滞が解消され、京阪神からのアクセスが格段に向上している。
そのため、これまで以上にスルーされることはあっても、わざわざ高速道路を途中で降りて、なんとなく謎めいた「紀中エリア」をめぐろうという旅人が増えないのは、ある意味「道理」に適っている。
ビジネスを優先する観光業界は、行き来しやすくなった白浜で、”今以上にお金を落としてもらう”ことを目指す方が手っ取り早いし、行政も旅行者も、その波に乗る方が何も考えなくていい(笑)。
だがクルマ旅の個人客の中には、”もうそれには飽きた”という人も少なくはない。
もちろん
「紀中エリア」にも、見どころはある。
だがそれらは孤立した「点」のままで、「面」どころか「線」として観光ルートに仕立てることさえ難しいのが実情だ。
ただ幸いなことに、2015年に「湯浅」の町が「日本遺産」に登録されたことで、駐車場や観光案内所が整備され、じっくり時間をかけて観られるところができたのは前進だろう。
この文化庁のアシストを糧に、「湯浅」の町を”核”に据えれば、「紀北エリア」からダイレクトに「紀南エリア」に行くのではなく、「紀中エリア」経由の観光ルート作りが見えてくる。
今でも、”日本のエーゲ海”と呼ばれる「白崎海洋公園」は、老若男女に人気が高く、道の駅にもなっていることから、足を運ぶ人は多いのだが、大半はそれから南へと進路を取り、白浜方面に向かっている。
しかし北東に進んで国道480号を走れば、「湯浅」と棚田の「あらぎ島」を通って、「高野山」へ向かうことができる。
既に道中には、3件もの道の駅と大きな日帰り温泉もあり、インフラ的には揃っているのだが、現在はそれらが有機的に連動している気配を感じない。
加えて国道480号は、お世辞にも”走りやすい道”ではない(笑)。
だが「新たな和歌山・紀中観光ルート」の確立をスローガンに掲げ、この紀伊半島を横断する街道筋を整備すれば、「紀中エリア」に観光客を呼び寄せることが、”絵空事”ではなくなる。
ただその場合に、鍵を握るのは「高野山」の協力だろう。
客観的に見て、白崎から高野山に向かう人より、高野山から白崎に向かって、山を下る人のほうが多いのは明らかだ。
ということは
「龍神スカイライン」に続く新たな下山ルートとして、「高野山」がPRしてくれれば、おのずと人は流れてくる。
それに”世界遺産から日本遺産へ”なんてキャッチフレーズをつけたものなら、クラブツーリズムはもちろん、個人客でも白い外人さんと、見るからに洒落た感じの中高年夫婦は、喜んで足を運んでくれるに違いあるまい(笑)。
しかし…
現状を見るかぎり、そうなるまでには相当時間がかかると思うし、筆者と同世代の旅人は、”免許を返上した”以降の話になるかもしれない(笑)。
だが逆に云えば、”今は確実に空いている”。
「紀中エリア」の主な見どころ
スタート地点になるかゴール地点になるかは別として、「紀中エリア」の見どころの筆頭に挙がるのは「白崎海洋公園」だ。
ここはオートキャンプ場と道の駅を併設しているので、車中泊にも適している。
続いては、何度も登場している「湯浅」の町だが、ここには映像を見たら、絶対に欲しくなる醤油がある(笑)。
写真の「あらぎ島」は、日本の棚田百選に選ばれ、2013年には周囲の景観とともに「蘭島及び三田・清水の農山村景観」として、国の重要文化的景観に選定された、インスタ御用達のスポットだ。
ただ展望所への行き方と、駐車場がわかりにくいので、詳細は近くにある「道の駅 あらぎの里」の記事に記載している。
そして最後は、世界遺産に登録されている「高野山」だが、筆者のガイドは空海のプロフィールまで掘り下げているので、他とはかなり内容が違っている。
なお和歌山県のエリア区分では、高野山は「紀北エリア」に属するが、ここではあえて紀中エリアの観光コースに加えている。
「紀中エリア」の車中泊事情とお勧めスポット
これまでの話の流れから云うと、「高野山」に朝から登る場合の”前泊地”にお勧めなのは、九度山からの登り口に近い「道の駅 柿の郷くどやま」か、かつらぎに近い「道の駅 紀の川万葉の里」もしくは「道の駅 かつらぎ西」になる。
「高野山」の「奥の院」に近い「中の橋駐車場」から、国道480号で「湯浅町観光用駐車場」までは約73キロ、直行しても2時間近くかかる。
ゆえに途中で「あらぎ島」に立ち寄ることを考えると、「奥の院」を11時くらいに出発して、「湯浅」には遅くても14時には到着したいところだ。
そのスケジュールで動けば、「湯浅」の観光後に温泉に入り、クルマでゆっくり寛ぐことができるだろう。
ちなみに「道の駅 あらぎの里」の駐車場には傾斜があり、車中泊に適しているとは思わない。
いっぽう「湯浅」には、ウォシュレットの用意された無料の観光駐車場があり、そこにはRVパークも併設されているので、車中泊には最適だ。さらに近くには、スーパーと500円で日帰り利用できる温泉もある。
なお「湯浅町観光用駐車場」の詳細は、前述した「湯浅」の観光ガイドの記事に記載している。
最後にこのコースの場合は、急いで「白崎海洋公園」に行くよりは、湯浅で車中泊をするほうがいいと思う。
「白崎海洋公園」は、よく晴れた日の日中に行くのがお勧めだ.