大坂在住で歴史に精通する、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、宇治の世界遺産「平等院」と「宇治上神社」周辺を観光する際の、ベストルートとお勧めの駐車場及び車中泊の情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
宇治は午前中に、「平等院」から宇治川を渡って「宇治上神社」まで歩くのが正解。
「宇治」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2014.04.24
2024.05.18
※「宇治」での現地調査は2024年5月が最新です。
宇治のベスト観光ルートガイド

「宇治」って京都のどのあたり?
京都をさほど知らなくても、「宇治」といえば昔から日本を代表するお茶の産地で、10円玉に描かれた世界遺産の「平等院・鳳凰堂」があるところというくらいの知識は誰もがお持ちだと思う。
しかし「宇治」は京都の、どのあたりに位置しているのか?
これはお隣の大阪府民でさえ、「漠然と南のほうかな」程度のよく知らない話だ。
そこでまずは、旅先である「宇治」の場所を確認することから始めよう。
ご承知の方は多いと思うが、当サイトは「車中泊のクルマ旅」で京都を旅したい人に向けての情報を発信しているので、「宇治」までのアクセスは当然クルマになるが、「宇治」にかかわらず京都市内を観光する際には、歩くことが大前提。
京都では、クルマは「足」というより「ベッド」になる。
その詳しい話に興味がある方は、のちほどこちらをご覧いただきたい。
さて。

出典:旅をおもしろくする観光地図|今八
ちょっと見づらくて申し訳ないのだが、このマップの右下に位置する「宇治」は、京都市内の「洛南」と呼ばれる南エリアの大外にあり、管轄は「京都市」ではなく「宇治市」になる。
抱き合わせで観光するなら、「平等院」から約10キロ・クルマなら10分ほどで行ける「伏見地区」がお勧めだが、いずれにしても普通は、「洛内」と呼ばれる京都市内の東西南北エリアをある程度見終えた人が集まる、”リピーター向きのエリア”と云えるだろう。
「源氏物語」の舞台、「宇治」の概要
「宇治」は平安時代から貴族の別荘地であったせいか、それから約1000年を経た現代でも、地割りが広くて緑の多い、おっとりとした雅(みやび)な雰囲気が感じられる土地柄だ。
「平等院」と「宇治上神社」の間には宇治川が流れており、夏には今も「鵜飼」が行われているが、「宇治」の見どころは、その宇治川沿いの両岸に集中している。
そして2024年は、その周辺が一際脚光を浴びることとなった。
なぜならそこには、NHK大河ドラマ「光る君へ」のヒロインこと「紫式部」が残した、「源氏物語」の後半に描かれている舞台がある。
宇治と源氏物語
「藤原道長」の娘「彰子」に、女房として仕えていた「紫式部(973~1014)」が書いた「源氏物語」は、全編54帖から構成される世界的にも有名な長編恋愛小説だ。
物語の前半は、帝の子に生まれ、美貌と才能に恵まれた主人公の「光源氏」が様々な恋愛遍歴を重ね、栄華を手にしながらも人の世のはかなさに悩む姿が描かれている。
いっぽう後半には、彼の死後に話が移り、没落した貴族の3人の娘「大君」「中君」「浮舟」と、それをめぐる「光源氏」の子「薫」、さらに孫の「匂宮」との悲恋が綴られている。
「源氏物語」の最後の10帖にあたる、「橋姫」「椎本」「総角」「早蕨」「宿木」「東屋」「浮舟」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」は、「宇治」を主要な舞台にしていることから「宇治十帖」と呼ばれており、宇治川沿いにはそれにちなんだ10の石碑が立てられている。
ただし
大河ドラマ「光る君へ」は、「源氏物語」ではなく、作者の「紫式部」と「藤原道長」のラブストーリーが描かれており、「宇治」には大河ドラマ「光る君へ」の直接的なゆかりの地は見当たらない。
確かに「大河ドラマ館」は開設されているが、「宇治」はどちらかといえば”便乗”という感じがしないわけではない。
なので同じ行くなら、「紫式部」が「源氏物語」の草案を練ったと伝わる滋賀県の石山寺境内に設けられた、「びわ湖大津 大河ドラマ館」のほうが良さそうだ。
「宇治」のランドマークは2つの世界遺産
ひとつは誰もが知る「平等院」だが、それについては以下の別記事に、見方と見どころを詳しくまとめているので、ぜひ参考にしていただきたい。
いっぽう、華やかな「平等院」の影に埋もれている感が否めない世界遺産が、この「宇治上神社」だ。
だが、それはこの神社の由緒を知らないがゆえの話で、下の記事をご覧になれば、その印象は100%変わると思う。
さすがは世界遺産だ!ってね(笑)。
両者は歩いて行ける距離にあり、それを念頭に組み立てているのが、これから話す「モデル散策コースとお勧め立ち寄りスポット」になる。
「宇治」のモデル散策コースとお勧め立ち寄りスポット
単刀直入に云えば、「平等院」の近くにある「宇治駐車場」にクルマを停め、そこからマップのブルーのラインを歩いてくればOKだ。
じっくり平等院を拝観して、途中で写真をバンバン撮りながら歩き、お昼ご飯とデザートを食べた筆者の所要時間は、およそ5時間30分。
これは相当に遅いペースだと思うので、普通は4時間ほど見ておけばいいと思う。
モデル散策コース
スタート 宇治駐車場
↓
平等院・南門
↓ 鳳凰堂・ミュージアム拝観
平等院・表門(正門)
↓
観光センター ※マップ入手
↓
喜撰橋(きせんばし)
↓塔の島・橘島
朝霧橋
↓
福寿園宇治茶工房
↓
源氏物語宇治十帖モニュメント
↓
宇治神社
↓
宇治上神社
↓
さわらびの道
↓
宇治市源氏物語ミュージアム(有料)
↓
宇治橋
↓ 平等院表参道
蓮華茶屋(昼食)
↓
ゴール 宇治駐車場
お勧め立ち寄りスポット
宇治市観光センター
記載しているモデル散策コースのマップが入手できる、無料の休憩所を兼ねた観光案内所。中を通り抜けると宇治川のほとりに出られる。
福寿園宇治茶工房
宇治茶や雑貨、菓子などが購入できるショップの他に、宇治茶を使ったスイーツや料理が楽しめるカフェと、お茶づくりの工程を紹介している展示室や、お茶づくりの体験ができる工房を備えた、入場無料の宇治茶文化のテーマパーク。
気軽に入れるので、休憩がてらに立ち寄るには最適だ。
蓮華茶屋
「平等院」の正門から、表参道を宇治橋方面に10メートルほど進んだ左手にある小さな麺処。
オーダーしたのは、茶そばの天ざる(税込 1628円)で、家内は茶そばをうどんにしてもらったが、いずれも麺がよく冷えていて、見た目以上に天ぷらの品数が多く、ボリュームも十分だった。
値段もリーズナブルで接客も親切な、中高年にお勧めのお店だと思う。たぶん口コミサイトでの評価も高いのだろう。
Ps
「宇治市源氏物語ミュージアム」については、「源氏物語」そのものにあまり興味がないため、筆者は入館しておらず、その良し悪しをコメントできる立場にはない。
詳細は公式サイトでご確認を。
「宇治」の駐車場事情
この観光ルートを歩く人には、「平等院」の南門から前の府道3号を渡ったところにある「宇治駐車場」の利用が、場所が分かりやすく、駐車もしやすいのでお勧めだ。
宇治駐車場
専用駐車場はなし
普通車800円/1回
キャンピングカー1000円/1回
8時30分~17時30分
75台~200台
※駐車状況により変動
ただし「宇治駐車場」は、修学旅行などの観光バスが利用するので、ハイシーズンは行って見るまで普通車は何台停められるか分からない。
また普通車は800円となっているが、キャンピングカーは一律1000円になる。
ちなみに、「宇治駐車場」以外で比較的大きな駐車場が揃っているのは、「宇治橋西詰」から始まる「平等院表参道」沿いだが、ネット検索が得意な若者ほど、そのことは知っていると思う。
大きいといっても、10台程度の広さのコインパーキングばかりだが、そこそこ数は揃っているので、朝の9時頃までなら停められる可能性もあるだろう。
ただ「平等院」の拝観が始まれば、この通りに人が溢れ、通行がままならなくなる。
なおこちらを利用する場合も、散策コースは左回りのほうが良く、最初に「平等院」の拝観から始めよう。
「宇治」の車中泊事情
宇治の車中泊スポットについては、あえて調査をしていない。
その理由のひとつには、主要スポットの観光が半日で事足りることが挙げられる。
しかも国籍を問わず老若男女が押しかける「平等院」のことを考えると、観光には午前中が適しており、あえて「宇治」で車中泊をする理由は見当たらない。
もうひとつは、10キロ・10分ほど離れた「伏見」に、よく利用している車中泊スポットがあるからで、前泊にしても後泊にしても、伏見を絡めておけばスムーズなプランが組めると思う。

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