車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、無料で京都の歴史と重みが感じられる「京都御所」を、詳しくガイドしています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
~ここから本編が始まります。~
京都まで来て、空いていて、自然豊かで、通年で申し込み不要の無料ガイドツアーまで実施している「京都御所」に、足を運ばないのはもったいない。
京都御所 DATA
京都御所
〒602-0881
京都府京都市上京区京都御苑3
☎075-211-6364(京都御苑)
京都御所の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.03.03
2010.07.02
2013.12.01
2014.04.06
2018.03.11
2019.12.29
2022.01.16
2024.04.07
2024.06.29
※「京都御所」での現地調査は2024年6月が最新です。
京都御所 目次

京都御所と京都御苑はどう違う?
まず「御所」には他にも、内裏・皇居・禁中といった様々な呼び方があり、書簡やホームページを見るにつけ、ことさらややこしく感じてしまうが、要は「天皇が居住し、儀式や公務を執り行う場所」のこと。
「京都御所」は、他の「御所」に比べて圧倒的な歴史を持つ、云ってみれば”「御所」の中の「御所」”だ。
いっぽう「京都御苑」は、その「京都御所」をぐるりと取り囲んでいる無料の公園で、正しい話をすると、「京都御所」は宮内庁が管轄する「皇室用財産」で、「京都御苑」は環境省が管理している「国民公園」になる。
この写真で云えば、門の向こうが「京都御所」で、異国の彼女が寛いでいるところが「京都御苑」になるのだが、一般的には両方あわせて「御所」と呼んでいるようだ。
ただここで、かくも広大な「京都御所」と「京都御苑」をあわせて紹介すると、あまりに話が長くなるので(笑)、それぞれの見どころを分けて紹介することにしよう。
「京都御苑」のガイドはこちら。
京都御所の、ええっ!と驚く2つの話
さて。
これから、この門の向こうを紹介するのだが、その前にほとんどの人が「ええっ!」と驚く話をしよう。
実はこの「御所」は、中学生の時に「鳴くよウグイス平安京」と覚えた、西暦794年当時の「御所」ではない。
平安遷都当時の「御所」は、現在の「京都御所」よりも約2キロ西の千本通り沿いにあり、「平安宮内裏」と呼ばれている。
しかし、「平安宮内裏」はなんと14回もの焼失・再建を繰り返し、1227年4月の再建途中に焼けたのを最後に廃絶された。
内裏が火災に遭うたびに、天皇は「里内裏」と呼ばれる洛内にある藤原氏の邸宅などに移り住んだが、「里内裏」のひとつであった「土御門東洞院殿(つちみかどひがしのとういんどの)=現在の御所」が新たな皇居に定められたのは、なんとそれから165年を経た1392年のことで、その間には南北朝の時代を挟んでいる。
その後は明治天皇の東京行幸に至るまでの約550年間にわたり、歴代天皇はここに居住し、儀式や公務を執り行ってきた。
ただし現在の建物は、幕末の1855年(安政2年)に再建されたもので、「安政内裏」と呼ばれている。
そのため、ここに刻まれているのは幕末以降の出来事だけだ。
ところで…
「土御門殿」という言葉に、心当たりのある人はいないだろうか…

出典:NHK
この画像でピン!と来た人は、2024年に放送中の「光る君へ」を熱心にご覧になっていると思うが、ここはもともと「土御門・左大臣・源雅信(益岡 徹)」の邸があった場所で、「雅信」の娘「倫子(黒木華)」のもとに「藤原道長(柄本 佑)」が婿入りしたところから、「倫子」の住む「土御門殿」に「道長」が同居し、地位と権勢の上昇とともに、その本邸として重要な位置を占めるようになった。

出典:NHK
ドラマではここに「紫式部(まひろ)」も登場するが、「まひろ」が「道長」が恋仲だったという話は研究者の間でも賛否両論で、確かなことはわかっておらず、また「清少納言」とも実際は面識がなかったともいわれている。
ちなみに「藤原道長」は1028年に亡くなっており、ここが御所になるのは死後300年近く経ってからの話。
藤原家の地所であったことは確かだが、その頃にはもう権力は失われていた。
近年の大河ドラマは、往々にしておもしろいと思うところほど、史実にはない脚色なので、話半分のホームドラマと思って見るほうがいい(笑)。
「光る君へ」に興味のある方は、以下の記事にその概要と、ゆかりの地をまとめているので、ぜひご参考に。
京都御所の詳しい参観方法
さて。
そんな「京都御所」の内部が無料で見学できることをご存知だろうか。
以前は春と秋の年2回、期間限定の無料一般公開が行われていたのだが、5日間ほどと期間が短く、観光客が殺到していた。
しかし2016年7月26日から、通年申し込み不要の無料公開となっている。
参観の希望者が入場できるのは、この清所門から。
朝一番の受付は9時なので、それより早めに行って駐車場を確保し、空いているうちに「京都御苑」を見て周るのがお勧めだ。また簡単な手荷物検査があるので、余計なものはクルマに置いていこう。
見学は自由にできるが、お勧めは宮内庁職員によるガイドツアーで、約1時間かけて、場内の建物や宮中行事などを詳しく説明してくれる。
ちなみに筆者の時にガイドしてくれたのは、野村さんという宮内庁のスタッフだったが、公務員とは思えないほど話がうまく、知識も素晴らしかった。
なおガイドは英語・中国語でも行われており、海外から友人が来るという人には絶賛お勧めといえるコンテンツだと思う。
無料ガイドの開始時間
日本語
9:30/10:30/13:30/14:30
英語
10:00/14:00
中国語
10:00/14:00
素晴らしいのは建物だけではない。
今でこそ天皇は「象徴」だが、戦前までは日本の「絶対君主」。その住まいに見事な庭園と桜や紅葉がないわけがない(笑)。
それも含めて全てが無料なのだから、ぜひこういうところで税金を取り戻していただきたいと思う。
最後に駐車場の説明を。
131台を収容する「蛤御門」横の「京都御所中立売駐車場」の料金は、3時間まで800円で以降30分ごとに100円。1日最大料金は1200円だが、24時間ではなく24時で更新となる。
場内にトイレがあって、駐車場は24時間利用が可能だ。詳細は以下の記事で確認を。
クルマで旅する京都
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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