25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、「広島市内」の見どころと車中泊事情に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
広島市内は車中泊スポット不毛の地で、観光はワンデイがベスト。

「広島市内」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2009年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.11.22
2016.12.07
2017.03.19
※「広島市内」での現地調査は2017年3月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年8月に更新しています。
広島市内 車中泊旅行ガイド
広島市のロケーションと歴史

出典:交通と旅の便利手帳
大雑把ではあるが、このマップを見ると、「広島市」が東に「呉」、西に「宮島」を従えた、三角形の頂点に位置していることがよく分かる。
その「広島市」は、中国・四国地方最大かつ唯一の100万都市で、なんと広島県民の約44%が暮らしているという。
県民の約2人に1人が広島市民というのもすごい話だが(笑)、云い換えれば、それだけ広島県は森林地域が広く、人が暮らせる土地が少ないということだろう。

「広島市」の発展のきっかけは、16世紀末に中国地方のほぼ全域を掌握した戦国大名の「毛利氏」が、それまで本拠地にしていた中国山地に近い「安芸高田」から、海運に恵まれた瀬戸内海に近い広島湾の「太田川デルタ」に進出して、新たに「広島城」を築き、居城としたことにある。

出典:中国地方整備局
瀬戸内海沿岸は、古代から大陸との交流によって発展してきた歴史を持つ地域で、平安時代の末期に、「平清盛」が呉にある「音戸の瀬戸」を、日宋貿易船が航行できるよう開削したのは有名な話だ。
とどのつまり、
広島県は「帝釈峡」のような、緑の自然が豊かな中国山地にある一部の景勝地を除けば、主だった観光地が瀬戸内海沿岸に集中していると云っても過言ではない。
広島市内観光の留意点と見どころ

「広島市」には世界遺産に登録された「原爆ドーム」があるため、インバウンドを含めて年間約1400万人もの観光客が訪れているが、観光地としてはその「原爆ドーム」がある「広島平和記念公園」と、再建された「広島城」ぐらいしか見当たらない。
中国地方在住の人は別として、近畿や四国・九州などの遠方から行く車中泊の旅人は、特別な理由がなければ、「広島市内」の観光はこの3つにとどめて、「呉」や「宮島」に余力を回すほうがいいと思う。
幸いにも「原爆ドーム」と「広島城」は、1.3キロほどしか離れていなので、歩いて行くことが可能だ。
それも含めて、広島市内の観光時の最大の留意点は、いい場所にある駐車場の確保になる。
驚いたことに、「広島平和記念公園」「原爆ドーム」「広島城」のいずれにも、観光客専用の駐車場はない。
そのため周辺のコインパーキングを利用する必要がある。
ネットを見ると、駐車場は件数もキャパも多いように感じるが、その多くは「立体」もしくは「地下」駐車場なので、キャンピングカーはもとより、ルーフボックスを装着しているクルマは、それを知らずに現地に行くと、平面駐車場探しに奔走することになるだろう。
なお、コインパーキングは「広島平和記念資料館」の周辺に多く揃っている。
細かくは紹介できないが、ここから先はGoogleなどで、画像を確認しながら目星をつけていただきたい。
もちろん、特に休日は空き待ちをしているクルマが多いので、一度出ると次が容易には見つからないのは云うまでもない。
つまり理想の観光法は、
「広島平和記念資料館」周辺のコインパーキングにクルマを停め、「広島平和記念公園」⇒「原爆ドーム」⇒「広島城」の順に歩いて訪ねることだ。
帰りは路面電車を利用することができる。

それから、市内には名物の「お好み焼き」の店は多いが、「食べ歩き」をするにはボリューミーなうえに、人気店には長蛇の行列ができるため、クルマを持て余す車中泊の旅人にはどうかと思う。

食べるとしたら、やはりクルマを駐車場に停めたまま行ける、「広島平和記念公園」「原爆ドーム」「広島城」界隈の店が狙い目だろう。
写真は「原爆ドーム」の近くにある行列店の「長田屋」。昼過ぎだったとはいえ、人気店はどこも似たようなものだ(笑)。
ここからは、個別の見どころを簡単に紹介していこう。
広島平和記念公園

出典:nippon.com
「広島平和記念公園」は、1945年8月6日に投下された原爆の爆心地近くに、その犠牲者の慰霊と世界恒久平和を願うために造られた都市公園だ。
園内には世界遺産に登録された「原爆ドーム」のほかに、「平和記念資料館」「慰霊碑」などの施設やモニュメントがある。

『日本人なら、一度は実際に足を運んで見ておくほうがいい』と誰もが分かっていても、実際には多くの人の命が失われた地だけに、他の観光地のように「物見遊山」気分でというわけにもいかず、『どんな顔をして歩けばいいのか分からない』というのが、大半の心情かもしれない。

写真は公園内にある「原爆の子の像」の前で説明を受ける修学旅行の中学生たちだが、ここはその旅先に相応しいと思う。
修学旅行の良さは、家族や気の合う仲間とは行きづらいところで、『日本人の常識』を学ぶことができる点で、中高校生には年齢的にも最適な機会といえそうだ。

また個人でも「ヒロシマ」をよく知りたい人には、「広島平和記念公園」を一緒に歩きながら解説してくれる、無料の「ヒロシマピースボランティア」がお勧めだ。
筆者も利用した「ヒロシマピースボランティア」の詳細は、こちらのサイトで確認できる。
さて。
「広島平和記念公園」で、筆者が立ち寄るべきと思うところは「原爆ドーム」の他に2つある。
広島平和記念資料館

そのひとつが「原爆資料館」とも呼ばれるこの建物で、東館から入場して本館から退出する。

東館には、原爆投下までの広島市の歴史や、原爆投下の歴史的背景に関する展示が、本館では広島原爆の人的・物的被害に関する展示が行われている。

東館は2017年、本館は2019年にリニューアルされており、展示内容が見直され、以前よりリアルで悲惨な展示物は縮小しているようだ。
入館料:おとな200円(常設展示)
開館時間:7時30分~19時
※季節によって変動
休館日:12月30日及び31日および2月中旬
原爆死没者慰霊碑

毎年8月6日に、原爆死没者の霊を慰め、世界の恒久平和を祈念する「平和記念式典」が行われる場所で、犠牲者の霊を雨露から守るため、埴輪の家をモチーフに設計され、中央の石室には、国内外を問わず原爆に被爆して亡くなられた方々の名簿が収められている。
いっぽうこちらは、親戚や知人に原爆で亡くなられた方がいる人に、足を運んでいただきたい施設になる。
国立広島原爆死没者 追悼平和祈念館

2002年に開館した公園内の比較的新しい施設で、入館は無料。
遺影コーナーでは原爆死没者の氏名と遺影(写真)を公開しており、中高年なら、ここで生前に交流のあった人を見つけることができるかもしれない。
我家でも家内の叔父が広島で被爆後に亡くなっており、この施設ができたことを知って、すぐにその遺影を登録した。
子供や孫たちも、自分と血の繋がりがある人が実際に原爆で亡くなっていることを知れば、それが「他人事」ではなくなるわけで、戦争体験世代が減っていく中では、そういう継承の方法が大事だと思った。
原爆ドーム

「原爆ドーム」は『二度と同じような悲劇が起こらないように』との戒めや願いが込められた、ポーランドにある「アウシュビッツ」と並ぶ”負の世界遺産”で、ユネスコの登録審議でアメリカは反対し、中国は棄権したという。
だが、さまざまな国籍の人々がこの地を訪れるようになった現在、その登録は適切な判断だったといえそうだ。

もともとはチェコの建築家ヤン・レツルが設計し、1915年に広島県物産陳列館として完成したレンガ造りの建物で、1945年には官公庁などの事務所として使用されていたという。

爆心地からわずか160メートルの距離にあり、爆風をほぼ真上から受けた為、奇跡的に建物の倒壊を免れたが、地面に散乱する瓦礫がその威力を現代に伝えている。
広島城

「広島城」は現在の広島市の礎を築いた史跡で、日本100名城にも選ばれている。
「原爆ドーム」から1.3キロほどのところにあるため、特に歴史に興味がなくても、ここまで来たらぜひ立ち寄って頂きたいと思い、セレクトした。

築城のあらましは前述した通りだが、「毛利輝元」によって安土桃山時代に築かれた「広島城」は、江戸時代に入って「毛利氏」が山口県の萩に異封された後、「福島氏」「浅野氏」に受け継がれ、明治を迎えても「存城処分」を受けて昭和まで生き残り、国宝の指定を受けていたが、原爆を受けて倒壊した。
その後、1958年に「広島復興大博覧会」の会場として、倒壊以前の外観を模し、最上階のみを木造、一層から四層は鉄筋コンクリート造りで再建されたのが現在の天守になる。

2000年代には、門や櫓なども江戸時代の姿に復元されており、今も広島の武家文化を紹介する博物館として親しまれている。
ただし「広島城」の天守は、コンクリートの劣化や設備の老朽化などの問題から、安全面を考慮し、2026年(令和8年)3月22日をもって、約68年の歴史に幕を閉じることが決定している。
天守は、現在のところ解体の予定はないとのことで、外観は引き続き見学できる。
今後は復元等に関する検討・調査が行われるが、それから先はまだ未定だ。

出典:広島市
ちなみに博物館としての役目は、2026年の開館を目指して整備中の「広島城三の丸歴史館」に引き継がれる。
お勧めは世界遺産航路で行く宮島

「宮島」にある「嚴島神社」と「原爆ドーム」は、ともに1996年に世界文化遺産に登録されているが、登録理由が異なっており、世界遺産上の相関関係はない。

だが幸いにも、両者は近い距離にあって海路で通じているため、「宮島」と「原爆ドーム」を水上アクセスで結ぶ「世界遺産航路」が運行されており、それを利用すれば、クルマでの移動なしに両方を見学することが可能になる。
乗船料金は、大人片道2400円(往復4400円)で、1日10便以上が運行している。

「宮島」は見どころ豊かな島で、中には1日かけて観光したい人もあるだろうが、「嚴島神社」の参拝とグルメが目当ての人には、このルートをお勧めする。
その理由と「宮島」の見どころは、以下の記事に詳しく記しているので、ぜひ参考にしていただきたい。
簡単に云うと、休日の宮島行きのフェリーターミナルのある「宮島口」の駐車場確保は、広島市内以上に大変だ。
広島市内の車中泊事情

筆者が最後に訪れた2017年当時もそうだったが、10年近い月日が流れても、広島の市内にはRVパークさえ見当たらず、相変わらず車中泊スポットの”不毛地帯”から脱却することができていないようだ。
ネットでは一時期、五日市港の「マリーン公園」が車中泊地としてよく紹介されていたが、2025年12月現在は車中泊禁止になっている。
唯一可能そうなのは、1日最大1000円の「広島みなと公園」だが、実際に現地を見ていないので詳しいことは分からない。
そもそも、
広島市内は普通に観光するなら、「宮島」を加えてもワンデイで周ることが可能なので、いい車中泊スポットがなければ、無理に泊まる必要はないと思う。
ゆえに、呉と抱き合わせたい人には「ベイサイドビーチ坂」、翌日「宮島」をじっくり観光したい人には、「宮島サービスエリア」での車中泊が無難でお勧めだ。
広島県 車中泊旅行ガイド
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門
この記事がよく読まれています。




























