25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、車中泊旅でも可能な「銀山温泉」のパーク&バスライドに関する情報です。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
銀山温泉までマイカーで行くのは”自殺行為”と同じ。今はすこぶる便利なパーク&バスライドが用意されている。

「銀山温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.08.26
2012.04.25
2013.08.17
2021.04.13
※「山形城」での現地調査は2024年10月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年10月に更新しています。
銀山温泉 ベストアクセスガイド


出典:銀山温泉
「道の駅 尾花沢」から約20キロ、クルマで30分ほどのところにある「銀山温泉」は、国道13号(尾花沢バイパス)から国道347号(母袋街道)に入り、山形県道29号(尾花沢関山線)を経て、さらに山形県道188号(銀山温泉線)を進んだ”行き止まり”に位置している。
山形県道188号まではクルマで十分行けるが、「しろがね橋」を渡ったところから始まる温泉街は、一般車両の通行が禁止されている。

そのためマイカー旅行者は、県道188号沿いに設けられた、無料の「銀山温泉 共同駐車場」にクルマを停め、そこから600メートルほど離れた温泉街まで歩いていく必要がある。

出典:銀山温泉
『なんだ600メートルか』と思うかもしれないが、それはほんの入口までの話で、実際に「銀山温泉街」を散策しようと思うと、多くの人が観る「白銀の滝」までの往復でも、2キロ近くは歩くことになる。

なお2025年10月現在は、「銀山温泉 共同駐車場」の周辺に有料の駐車場もできており、駐車台数は無料が20台・有料が10台ほどの合わせて30台となっているが、ハイシーズンの休日は朝から満車になることも多いようだ。
「銀山温泉」での滞留時間は短くても1時間以上はあると思うので、駐車場の回転はけしていいほうではあるまい。
そのため筆者は、後述する「秋から冬のマイカー通行規制期間」以外でも、「大正ロマン館」からのパーク&バスライドをお勧めしている。
銀山温泉の歴史と「おしん」

出典:やまがたへの旅
「銀山温泉」のルーツは、室町時代に開かれ、江戸時代初期に大銀山として栄えた「延沢銀山」で、ユニークな名前の由来はそこにある。
最盛期には、島根の石見銀山、兵庫の生野銀山とともに”日本三大銀山”に数えられ、労働者人口が2万5千人を数えるほどの活況ぶりを呈していたが、ほどなくして銀の採掘が衰退していき、1689年(元禄2年)に大崩落が起きて廃山となった。

出典:銀山温泉
閉山後は湯治場に活路を見出すものの、江戸時代に東北の各藩が参勤交代で利用した「羽州街道」から、まだ10キロ以上離れた山奥にあり、道幅の狭い悪路を「尾花沢」から丸1日近く歩いて行くしかなかったため、長らく”秘湯”のままだった。
そのまま明治時代を経た大正2年(1913年)、「銀山温泉街」は大洪水で壊滅的な被害を受ける。
その後は温泉の湧出量が減って存続が危ぶまれたが、大正10年に銀山川の水を利用した発電所が作られ、後の復興の足掛かりとなった。
そして昭和元年、源泉のボーリングが行われ、念願の高温多量の温泉が湧出する。

それにより、地元財界の協力を受けて、”大正ロマン”を感じさせる洋風の『木造多層建築の旅館』が、「銀山川」の両岸に立ち並ぶ、現在の景観が誕生。
さらに橋や沿道の整備も行われ、アクセスも「尾花沢」からクルマでわずか30分で到着できるまでに向上した。
そんな「銀山温泉」の名を全国のお茶の間に知らしめたのが、『NHK朝の連続テレビ小説』第31作として、1983年(昭和58年)に放送された「おしん」だった。

といっても、「銀山温泉」はドラマの主だった舞台というわけではなく、「小林綾子」がまだ幼い「おしん」を演じた”少女編”で、母「ふじ(泉ピン子)」の体を張った出稼ぎ先として、ほんの少し登場しただけにすぎない。
ただそのシーンは切なく、多くの視聴者のハートを揺さぶった。
ちょうど同じ頃に放送していた「北の国から」と、どこか共通するようなところもあったと思う。
「おしん」放送の2年後。
「延沢銀山遺跡」が国の史跡に指定されると、その翌年には「銀山温泉家並保存条例」が制定され、風情ある旅館を保存し観光復興に生かそうとする機運が高まり、それが脈々と今日まで受け継がれている。
おしん

出典:NHK
「橋田壽賀子」原作・脚本の「おしん」は、日本のテレビドラマ史上、もっとも高いとされる平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%を記録した『朝ドラ史上最高傑作』と云われる作品で、日本国内の地上波や衛星放送、さらには海外、そしてインターネットを通じて、数え切れないほど再放送が繰り返されている。
現在は録画が当たり前になっているとはいえ、2025年上半期に放送していた「あんぱん」の平均視聴率は同じ関東地区で16.1%、2024年度上半期の「虎に翼」でも16.8%なので、いかに「おしん」がよく見られていたかがよく分かる。
なおこちらのサイトで、「おしん」全話のあらすじを観ることができる。
日帰りで行く、銀山温泉の見どころ

出典:地球の撮り方
「銀山温泉」最大の魅力が「風情」であることは、あまたの旅行情報誌で紹介されている通りで、特にその冬の夜景は、まさに映画の世界のようだ。
しかし前述した通り、「銀山温泉街」には車中泊のできる場所はなく、「夜景」を観るには日没の早い真冬に行くか、宿に泊まるしかない。

ただそれは筆者の守備範囲外の話になるので(笑)、ここでは日中に楽しめる「銀山温泉」の話をしよう。
日帰り温泉

まず「銀山温泉」では、「協組2号源泉」「協組3号源泉」「協組6号源泉」の3ヶ所から湧出するお湯を、各旅館や共同浴場・足湯で使用している。
ただし、どの源泉の泉質も「ナトリウム―塩化物・硫酸塩温泉」で、施設によって使用する源泉は異なっても、泉質・効能はほとんど変わらない。
ちなみに酸性・アルカリ性を判断する「液性」は、pH値6.7のほぼ中性だ。
なお2025年10月時点で、「銀山温泉街」にある日帰り入浴ができる施設は、以下の3件となっている。
この情報はネットにも出ているが、どの記事にも”最終更新日”が記されておらず、内容が微妙に違っているため、現地の観光協会に直接電話で確認した。
①共同浴場しろがね湯

現在、日帰り客が利用できる唯一の「共同浴場」で、筆者も1度利用している。
☎0237-28-3933
※銀山観光案内所
大人 500円
9時~16時(受付最終15時30分)
水曜定休
「隈研吾」氏設計とのことだが、正直なところ「銀山温泉」では違和感がある。

石鹸・シャンプーはあるが、ドライヤーに加えて更衣室には貴重品ロッカーもない。
筆者は覚えていないが、他の利用者のコメントには、30分入れ替わり制で、会計は現金のみで、つり銭なしとのコメントも。
ほんまかいなと思うが(笑)、確かにサービスはちょっとお粗末で、口コミでも評判はあまり芳しくないようだ。
筆者もせっかく行くなら、下のちゃんとした旅館の外来をお勧めする。
②古勢起屋別館(こせきやべっかん)
☎0237-28-2322
大人 1000円
11時30分~13時30分(受付最終13時)
土・日・祝日
※ほかに臨時休業あり)
③瀧見館(たきみかん)
☎0237-28-2164
大人 1000円
11時~14時(受付最終13時30分)
月曜・木曜 定休
散策

出典:銀山温泉
「銀山温泉街」は懐が深く、かつての「延沢銀山遺跡」は、温泉街のはるか奥の山中に眠っているため、「銀山温泉」では3つの散策コースを設定して、以下のサイトで詳しくガイドしている。
その中で無難なのは、もっとも短い片道1キロ足らずの『滝見コース』だ。

その「ゴール」にあたる「白銀公園」の入口にあるのが、落差22メートルの大小2本の滝が流れる「白銀の滝」だ。
滝壺の近くまで歩いて行けるほか、対岸には展望台もある。
鏝絵(こてえ)

「白銀の滝」まで行く途中で、旅行者の目を引いているのが、温泉旅館の外壁に施されている色鮮やかな数々の絵だ。
鏝絵は、左官職人の道具である鏝(こて)を使って、漆喰などで描かれた絵のこと。

「銀山温泉」では、大正2年の洪水によって温泉街が一度壊滅したあと、建て直しの際に鏝絵を施し、その豪華さを競ったといわれている。
現在は鏝絵自体があまり残されておらず、「銀山温泉」ほど多くの鏝絵が一度に見られる場所は珍しいそうだ。

最後はランチだが、銀山温泉街にもランチが食べられる店は何件かある。
筆者が食べたのは、「伊豆の華」の人気メニュー「揚げ茄子おろしそば」。
揚げたての茄子に大根おろしを添え、さっぱりした食感が味わえる夏の逸品は、山形ではご当地の料理のようで、評判通り美味しかった。
当時は1430円だったが、現在は公式サイトにも値段が出ていないのでわからない。
パーク&バスライドの詳細

ここで話が大きく遡るが、現在の「銀山温泉」では、2キロほど手前の「大正ロマン館」から「銀山温泉」まで、往復500円の「銀山温泉バス」が運行している。

ただし、少し話がややこしいことになっているので、整理してお知らせしたい。

まず、「大正ロマン館」は「銀山温泉バス」の運行元ではないので、バス乗り換え駐車場として協力はしているが、直接的には関係しない。
施設には、トイレはもちろん物販飲食施設があるので、「銀山温泉バス」を利用しなくても自由に使える。
ただし、ここでの車中泊は不可。
営業時間が終了すると駐車場もトイレも閉鎖されるので、たとえ日没後に戻ってきても、車中泊は周辺の道の駅を利用する必要がある。
なお最寄りの道の駅は、21キロ・30分ほど離れた「道の駅 尾花沢」になる。
「大正ロマン館」の詳細はこちら。
次に「銀山温泉バス」は通年営業しているので、いつでも利用することが可能で、利用の際は発着場所の「大正ロマン館」の無料駐車場にクルマを置いて、そこでチケットを購入して乗り換える。
時刻表等は以下のサイトで確認できる。
問題はここからだ。

尾花沢市銀山温泉マイカー規制実証事業事務局
「銀山温泉」では、上記とは関係なく、2024年度から冬季のマイカー規制(パークアンドライド)の実証実験を行っている。
手っ取り早く云うと、冬季は100%「大正ロマン館」からバスでのアクセスを強いられるのだが、その期間は料金とルールが、平常期間とは少し異なっている。
現在のところは”実証実験”の段階だが、もし”本決まり”になれば、来年以降は「銀山温泉」のパーク&バスライドの料金やシステムが、また変わるかもしれない。
ルールが複雑になるほど、インバウンドには分かりにくくなり、結果的に必要以上に混雑したり渋滞するくらいなら、スパッと「マイカー通行禁止」にしたほうがいいのでは…
どのみち、ここは『クルマで行ったが負け』なんだから(笑)。
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