25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、岡山県の「倉敷・美観地区」のランドマーク「大原美術館」の、知っておいて損のない”いいお話”です。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
「別館」に込められた、創立者・大原孫三郎の想いを知る

大原美術館 DATA
大原美術館
〒710-8575
岡山県倉敷市中央1-1-15
☎086-422-0005
おとな2000円
(児島虎次郎記念館と共通)
12月~2月
9時~15時(受付最終14時30分)
児島虎次郎記念館は10時~15時
3月~11月
9時~17時(受付最終16時30分)
児島虎次郎記念館は0時~16時
月曜定休
大原美術館の筆者の歴訪記録
※記録が残る2007年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2007.11.12
2012.05.11
2016.12.17
2018.02.10
2022.04.20
2025.12.27
「大原美術館」での現地調査は2025年12月が最新です。
大原美術館

大原美術館の基本

倉敷・美観地区のランドマークといえば、そりゃ「大原美術館」でしょう!
画家と云えば、「ゴッホ」か「モネ」くらいしか知らない筆者に云われたくもない話だが(笑)、「大原美術館」をググってみると、2019年の段階でも約1,450,000 件のウェブページがヒットしていた。
2026年の現在は、Googleが検索ヒット件数を公表しなくなったので、それがどのくらい増えているのかは検討もつかない。

ただ、当時「倉敷アイビースクエア」が約325,000 件のヒット数しかなかったことと比較すれば、その注目度の高さは一目瞭然だろう。
やはり「大原美術館」が「倉敷・美観地区」のランドマークであることは、数字の上でも確かだと思う。
その大原美術館を超ダイジェストに紹介すると、こんな感じになる(笑)。
クラボウの2代目社長「大原孫三郎」氏が設立した、日本初の西洋美術中心の私立美術館で、「ゴッホ」「モネ」「ルノワール」などの著名な画家の作品をコレクションしている。
すぐにバレることなので書いてしまうが、筆者は絵のことはさっぱり分からない。
ただそんな筆者であるがゆえに、この美術館は楽しかった。
なぜなら、まさに「ゴッホ」「モネ」「ルノワール」~!だからだ(笑)。
それぞれ1作づつであるとはいえ、今でもわずか2000円で世界の巨匠の本物が見られる「大原美術館」は、誰がなんと云おうと素晴らしい。
そして「それでいい」ということが、次の項を読めば分かると思う。
ちなみに「大原美術館」を楽しむ巡り方は、公式サイトが初めての人にも分かりやすいよう用意しているので、そちらを参考にしていただきたい。
そこには、絵も書けないような筆者が出る幕はない。
大原美術館 誕生のあらまし

「大原美術館」の生みの親は、親の代から紡績業を営む倉敷の名家に生まれた「大原孫三郎」氏だ。
以降、敬称は省略するが、事業で得た富を社会へ還元することの重要性に目覚めた「大原孫三郎」は、「大原社会問題研究所」「労働科学研究所」「倉敷中央病院」などを設立しているが、「大原美術館」の創設も、その社会貢献活動の一環だったと云われている。
実は自らも日本絵画のコレクターだった「孫三郎」には、パトロンとして援助していた男がいた。

出典:高梁市成羽美術館
それが洋画家「児島虎次郎」で、その才能と美術に対する真摯な姿勢を高く買っていた「孫三郎」は、「虎次郎」に三度にわたる渡欧をうながす。
「虎次郎」は異国で制作に励むかたわら、ヨーロッパへ行く機会のない、多くの日本の画家たちのために、西洋名画の実物を日本へもたらすことの必要性を「孫三郎」に説いた。
「孫三郎」は「虎次郎」の考えに賛同し、名画の買い付けを一任する。
そんな経緯から「大原美術館」は誕生したわけだが、日本に美術館が数えるほどしかなかった昭和の初期に、地方都市の倉敷に本格的な美術館ができたというのは、画期的なことだったに違いない。
ちなみに、「ニューヨーク近代美術館」の開館は1929年で、「大原美術館」はその翌年に扉を開いている。

モネ『睡蓮』 出典:ウィキペディア
その「大原美術館」が所有している主な名画・彫刻品のリストは、ウィキペディアがいちばん分かりやすく紹介している。
「モネ」の絵を載せたついでに、この話も紹介しておこう。
実は「大原美術館」と「倉敷アイビースクエア」には、創設者が同じであること以外にも、知る人ぞ知るつながりがある。

それがこちらの睡蓮だ。

咲いてなかったのは残念だが、これはフランスのジヴェルニーにあるクロード・モネのアトリエの庭から、2000年の「大原美術館」開館70周年を記念して直接株分けされた、日本で唯一の”モネの睡蓮”の一部で、例年5月中旬〜10月中旬頃に見頃を迎える。

ちなみに日本各地には、高知県北川村の「モネの庭 マルモッタン」など、「モネ」をテーマにした庭園や池がいくつかあるが、それらはモネの庭を再現した施設で、株分けされた”モネの睡蓮”が直接植えられているわけではない。
そして、その”モネの睡蓮”が「倉敷アイビースクエア」に株分けされた理由が、次の項で明らかになる。
大原美術館別館 児島虎次郎記念館

2025年4月3日(木)、それまでリニューアル工事が行われていた国登録有形文化財の「旧中国銀行倉敷本町出張所」が、「大原美術館」の別館としてグランドオープンを果たし、その中に「児島虎次郎記念館」が加わった。
「児島虎次郎記念館」には、彼の油彩画のほかにも、本人が収集してきた古代エジプト・西アジアの美術品が展示されているのだが、この施設には”前身”があった。

実は「児島虎次郎記念館」は2017年に、「倉敷アイビースクエア」の一画に設けられていた。

児島虎次郎『朝顔』 出典:ウィキペディア
筆者はその当時に彼の代表作品「朝顔」を見て、まるで和製モネのようだと感銘したことを、今でも鮮明に覚えている。
「児島虎次郎記念館」が「倉敷アイビースクエア」内に作られた理由には、全国的な知名度が高くはなく、単独の記念美術館を新築するのが現実的ではなかったことと、大原家の事業の象徴である「倉敷アイビースクエア」が、「大原孫三郎」と「児島虎次郎」の関係を物語るのにふさわしい場所と判断されこと、そして管理・運営の面でも合理的だったことが挙げられている。
その関係で、「倉敷アイビースクエア」にも”モネの睡蓮”が株分けされたのだろう。
しかしその後「アイビースクエア」内の旧館は、老朽化のため2023年に閉館 となり、「旧中国銀行倉敷本町出張所」への移転となった。
「大原美術館」の本館と合わせて観覧しやすい、近くの「別館」に移転したことで、今後はより多くの人が「児島虎次郎」の魅力を知ることになるはずだ。
「児島虎次郎」のプロフィールはこちら。
そして今回の移転は、「大原美術館」の存在価値そのものを高める大きな役割を果たすに違いない。
これはサントリーが、自社が醸造に成功した最初の国産ウイスキーを手掛けたのが、後にニッカウイスキーを創設した「竹鶴政孝」であることを隠しているのとは大違いだ(笑)。
嬉しいことに、本館のチケットを見せればもうお金は要らない。
ぜひ、ここで実業家「大原孫三郎」の、人を見る目の確かさを実感してきていただきたいと思う。
なお「大原美術館」には専用の駐車場がないので、クルマは以下の記事を参考に、周辺の大きな駐車場に停めて、徒歩でアクセスしよう。
倉敷・美観地区 車中泊旅行ガイド
岡山県 車中泊旅行ガイド
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