25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、岡山県の牡蠣の特産地で有名な「日生」の車中泊旅行ガイドです。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
日生は気候温暖な「晴れの国」を、秋から冬に楽しみたい旅人の”エントランス”。

日生と牛窓の筆者の歴訪記録
※記録が残る2005年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2015.01.12
2016.12.18
2025.11.26
「日生」での現地調査は2025年12月が最新です。
日生 車中泊旅行ガイド

日生のロケーション

「日生」の町は、兵庫県の赤穂から岡山県の県境を超えてすぐのところに位置するのだが、このマップを見れば分かるように、「山陽自動車道」の開通により、ツアーのような公共交通機関を利用する旅人には、もはや”行く機会のないエリア”にあると云っても過言ではなさそうだ。

「日生」は昔から牡蠣の養殖が盛んで、京阪神に住む食通の間では、「カキオコ」発祥の地として知られ、町には小豆島に渡るフェリーターミナルもあるのだが、「姫路」と「岡山」のメジャーな観光地に挟まれているせいか、元々影は薄い。

なんと云っても今は、中国自動車道の「吹田インター」から、山陽自動車道の「倉敷インター」まで約180キロ、途中で一度トイレ休憩を挟んでも、憧れの美観地区まで3時間もかからずに行けてしまう。
それを考えると、クルマ旅でもあえて「日生」で”途中下車”するには、よほどの理由がないかぎり難しい。

あえて近くにある観光地を挙げるなら、江戸時代に岡山藩主「池田光政」が創設した、日本最古の庶民に向けた公立学校で、講堂が国宝に登録されている「閑谷(しずたに)学校」になるのだろうが、ここは「日生」以上にマニアックだ(笑)。
それに、もしここへ行くなら、先に「岡山城」を観てからのほうがいい。
つまり京阪神の旅人には、帰路での立ち寄りがお勧めで、そうすれば「日生」で牡蠣も買いやすくなる。

「日生」で”途中下車”をするのなら、そこから国道250号を少し西に走り、「備前インター」から瀬戸内海に突き出た半島部分を走る、無料の自動車専用道路「ブルーライン」を通って、約20キロ・30分ほどのところにある「牛窓」を目指したい。

『日本のエーゲ海』と呼ばれる「牛窓」は、現地を訪ねてみると、そこから連想されるリゾートチックなイメージとは違い、逆に日本らしい史跡が数多く残る静かな港町だ。
日生といえば「牡蠣」

グルメな京阪神在住の旅人なら周知だと思うが、兵庫県の「道の駅 みつ」に近い「室津(たつの市御津)」から、「相生(あいおい)」「赤穂」そして県境を超えた「日生」へと続く西播磨一帯は、関西の一大牡蠣産地で、「西播磨 牡蠣ベルト」の異名を持っている。

多少の違いはあると思うが、どの産地も播磨灘の豊富な栄養のおかげで、育ちが早いことから「1年牡蠣」と呼ばれ、濃厚で身が大きく、殻が薄いのが特徴で、12月〜3月頃に旬を迎える。
そして食べ方も、口を揃えたように「焼き牡蠣」と「カキオコ(牡蠣入りお好み焼き)」が人気だという(笑)。

「カキオコ」は漁師の奥さんたちが、出荷には適さない小さな牡蠣や傷ついた牡蠣を有効活用するため、お好み焼きの具材として食べたのが始まりと伝わる『日生のソウルフード』だ。
現地では町おこしの名物に掲げているが、けして難しい料理ではなく、今は「道の駅 あいおい白龍城」でも食べられる。

そうなると「牡蠣」が目当ての人の流れは、当然京阪神に近いところで止まってしまうわけで、今の「日生」は、前にも増して明らかに不利な条件を背負っている。
だからこそ「牛窓」に抱きついて、「倉敷」の”おまけ”になればいい。

「牛窓」に行く前に、「日生」で腹ごしらえをするか、その日の夜に車内で食べる生牡蠣や加工品を手に入れ、播磨灘では見られない雄大な牡蠣筏が浮かぶ瀬戸内海を見たら、そのまま「牛窓」へと向かおう。

そのためのお勧めスポットが、以下の3つになる。
五味の市&海の駅しおじ

「五味の市」は日生町漁協の魚市場で、毎朝、水揚げされたばかりの新鮮な魚介類がずらりと並び、威勢のいい掛け声が飛び交っている。

☎0869-72-3655
8時頃~16時(売り切れ次第終了)
定休日
5月~10月:火・水曜
11月~4月:水曜
年末年始

いっぽう「海の駅しおじ」は「五味の市」の真向かいにある。

こちらでは、海産物加工品やお土産品を販売しているほか、「五味の市」で買った魚介類やその他の食材を持ち込んで利用できるバーベキュー場が併設されており、利用料を払えば、炭火や網、トング、お皿まで必要な道具はすべて用意してくれる。
併設のコンビニでドリンクを調達できるのも良心的だ。
☎0869-72-2201
BBQ利用料:1テーブル90分 2,500円~
(5名まで、事前予約の場合)
当日利用は3,000円(空席がある場合のみ)
BBQ:9時~16時(受付最終14時)
コンビニ:8時~16時
定休日
年末年始
「カキオコ」が食べられる店

「カキオコ」は、大阪のお好み焼き独特の、山芋をふんだんに使うトロリとした生地に、山盛りの千切りキャベツとたっぷりの牡蠣が入ったB級グルメのこと。
その発祥の地とされる「日生」で、屈指の人気と知名度を誇っているのが行列店の「タマちゃん」だ。
「タマちゃん」の「カキオコ」の特徴は、ソースと岩塩のハーフ&ハーフで提供されることにあり、濃厚なソース味で牡蠣の旨味を堪能した後は、岩塩でさっぱりと素材の味を楽しむことができる。

タマちゃん
☎0869-74-0222
11月~4月:11時~20時
火曜 定休
5月~10月:平日11時~15時・
土日祝11時~20時
火・水曜 定休
駐車場は、少し離れたところにある。
なお筆者は行けていないが、他では「お好み焼 もりした」も有名なようだ。
みなとの見える丘公園

ここは正直云って、お勧めできるほどのところじゃない。
最大の理由は、対向が簡単にはできない山道を登った挙げ句の展望台からは、このように木々が視界を遮る、”絵にならない景観”が待っているだけだからだ。

その山道がこちら。
前からクルマが降りてくれば、”もうお手上げ”になりそうな道が3キロ近く続くうえに、ハイエースのスーパーロングやキャブコンは、相当腕に自信がないと曲がりきれないカーブもある。

駐車場はマックス5台。バイクがいれば、さらに停められる数は減る。
にもかかわらず、岡山観光WEBのサイトには、以下のように記されている。
楯越山頂上付近に展望広場・遊歩道・駐車広場を整備した公園。展望広場からは日生港をはじめ日生エリア一帯が一望できます。また、日生諸島の美しい景観が目の前にせまり、心の安らぐ公園として親しまれています。
公園内にある「幸福の鐘」は、幅1.8m、高さ3.4mのアーチ型の枠に、直径30cmの実際に船で使った「号鐘」が取り付けられています。
おそらく書いた本人は現地に足を運んではいないだろう。筆者なら良心の呵責に苛まれる(笑)。

合っているのは「幸福の鐘」だけ。
だがこれを作るなら、もっと展望台を高くするか、木を剪定するほうが先だったのでは(笑)。
備前♡日生大橋

「みなとの見える丘公園」より、はるかに日生らしいカキ筏の光景が見られるのは、こちらの2015年に開通した、本土と日生諸島の「鹿久居島(かくいじま)」を結ぶ全長765メートルの「備前♡日生大橋(びぜんひなせおおはし)」からだ。

絵に描いたような風景が一望できるこの橋は、生活道路なので通行料は無料。

クルマだけでなく自転車や徒歩でも渡ることが可能だが、歩道はついていないので、正直けっこう怖かった。
日生の車中泊事情

牡蠣を食べて買って、ついでに「備前♡日生大橋」で写真を撮ったとしても、半日あれば十分な「日生」で車中泊をする必要性は感じない。
ただ「海の駅しおじ」で、焼き牡蠣といっしょにビールを頂いちゃった人は、「五味の市」の駐車場の横に公衆トイレがあるので、そこで泊まることは可能だろう。

なお午後から「日生」に行きたい人には、「ブルーライン」の途中に以下の2つの道の駅がある。ここまでくればもう「牛窓」はすぐそこだ。
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