「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
「北長門海岸国定公園」に位置する「角島」から「仙崎」の間は、世界遺産の萩と肩を並べる、山口県北部の人気観光スポット

「長門」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.10.11
2011.04.24
2013.03.11
2022.04.24
2025.11.23
「長門」での現地調査は2025年11月が最新です。
長門 車中泊旅行ガイド

「長門」のロケーションと概要

出典:長門市
今回の話の舞台は、山口県北部の「萩市」に隣接している「長門市」の、主に日本海に面しているエリアだ。
ただクルマ旅というか、ロード・トリップでは、行政の境界と観光エリアのそれに”ズレ”があるのは日常茶飯事で、ここも例外ではない。

要は筆者が紹介したいのは、「角島大橋」から「道の駅 センザキッチン」に至る、約35キロの間に点在している幾つかの見どころなのだが、それにジャストフィットする表現が見当たらないので、ここではアバウトに「長田」と呼ぶことにした。
「長田」が「北長門海岸国定公園」に属するのは間違いないが、実際はその中の”西半分”ほどのエリアに過ぎず、”ドンピシャ”と呼ぶには無理がある。
「長門」の見どころ

筆者が「長田」に初めて足を運んだ頃は、まだ「角島大橋」も「元乃隅神社」も『知る人ぞ知る場所』だったため、せいぜいこの「長門湯本温泉」に立ち寄って、「萩」から「秋吉台」を通って「下関」に流れる、もしくはその反対が、定番の山口観光ルートだった。

だが、2010年前後から「角島大橋」の絶景が、CMやドラマで世間に知られるようになり、2015年には「元乃隅神社」が、CNNの「日本の最も美しい場所31選」に選ばれたことから、観光客が急増する。

その結果、現在の「長田」は、ユネスコが認めた歴史と文化の町「萩」と肩並べる、自然と調和した絶景が見られる観光地として認知されるまでになった。
ということで、ここからは個々の観光スポットの紹介に入る。
角島大橋

もうすっかりお馴染みとなった、ドライビングスポットの「角島大橋」。
今は筆者が撮影しているこの場所が、あたかも『角島大橋のベスト撮影ポイント』のように、ネットで持て囃されているようだが、そこ以外からでも『角島大橋らしさが感じられるアングル』は見いだせる。
そこで「角島大橋」のプロフィールと、様々な表情が写せる4つの撮影ポイントを紹介しよう。
元乃隅神社

日本海に面した断崖に、123基の朱色の鳥居が並ぶ、このフォトジェニックな景色でお馴染みの「元乃隅神社」は、「道の駅 センザキッチン」から約20キロ・30分のところにある。

2015年に「元乃隅稲荷神社」は、アメリカのニュース専門放送局・CNNが発表した、「Japan’s 31 most beautiful places(日本の最も美しい場所31選)」のひとつに選ばれたことで、外国人を含む観光客の参拝が急増した。

同じような赤い鳥居で、インバウンドに絶対的な人気を誇っていると云えば、京都の「伏見稲荷大社」が有名だが、欧米豪圏の観光客にとって、赤い鳥居は『彼らが思い描く日本の姿そのもの』であり、そこを訪ねることが『期待する本物の日本体験』になるらしい。
それを受けてここは、長い名前が外国人には分かりづらいとの理由から、2019年に「元乃隅神社」に改称されている。

というのは、
「元乃隅神社」は地域の網元であった岡村斉(おかむらひとし)氏が独自に建立したもので、宗教法人やその他のいかなる法人でもなく、個人の所有物だ。
ゆえに名称変更に特別な許可は要らず、もちろん、鳥居等の扱いも「岡村家の個人所有物」という位置付けになっている。
ちなみに神社の由緒は、岡村氏の枕元に現れた白狐のお告げにより、1958年(昭和33年)に祠が建立され、1987年から1997年にかけて、現在の社殿と約123基の赤鳥居が整備されたとなっている。

なお、ここを神社と信じて参拝する場合は、本殿は赤い鳥居の下ではなく上にあるので、まずはそちらに足を運ぼう。
また祀神やご利益は、こちらの公式サイトで確認いただきたい。正直、そこに筆者の興味はない(笑)。
それにしても…
さすがに宗教法人の公式サイトは、ここまでアフィリエイト広告だらけにはしないだろう(笑)。

出典:長門市觀光會展協會
ちなみに、「元乃隅神社」には立派な駐車場が用意されている。

こちらが本殿にもっとも近い第一駐車場で、車高は2.5メートルまでになる。
乗用車
92台 1時間ごとに300円。最大500円。
バス
6台 1回1,500円
二輪車
約20台 1回100円
さらにここには、第二駐車場と臨時駐車場も用意されており、その場所とアクセスの詳細が以下のページに記されている。
ここで重要なお知らせを。
※2026年3月以降は、平日のみの参拝に!
「元乃隅神社」では、慢性化する土日祝の交通渋滞緩和と近隣住民への迷惑防止のため、2026年以降は3月から11月の土日祝日については、参拝休止となることが公式サイトで発表されている。
その内容は以下の通り。
【注意】
●2025年8月1日(金)から参拝時間が9:30〜16:30となりました。
●2025年12月〜2026年2月は通常とおり参拝できます。
●2026年3月〜11月の土日祝日については参拝休止となります。
※GW期間、お盆期間は別途参拝休止期間がありますので、下記「2025年12月以降の「元乃隅神社」参拝について」をご確認ください。
さて。

この写真は2011年に撮影したものだが、前述したように、当時は「元乃隅稲荷神社」が正式名で、この看板に書かれた「龍宮の潮吹き」のほうが有名だった。
ってことは、その「龍宮の潮吹き」は、誰でも簡単に見ることができるの?
残念ながら、答えはNoに近いYes(笑)。

一応、断崖の手前には「龍宮の潮吹きビューポイント」はあるが、肝心なところは岩礁に妨げられており、良くても上の方に残る’霧”くらいしか見えない。

そこでさらに海に近づき、歩いて行ける岩場の端まで行って、なんとか撮影してきた写真がこれだ。

近くの陸のうえからはこれが限界。
ただドローンで撮影された素晴らしい動画があるので、こちらを見ていただくのがもっともいい方法だと思う。
これを見ると、「龍宮の潮吹き」がどこでどうあがっているが鮮明にわかる。
つまり、地上からどのくらい撮れるのかも察しがつく(笑)。
大人の日本人が知りたいのは、どちらかといえばそれなのでは?
青海島(おうみじま)

「仙崎」と「青海大橋」で結ばれ、「北長門海岸国定公園」の中心に位置する「青海島」は、島の北側に「海上アルプス」と呼ばれる、日本海の荒波が削りあげた洞門や断崖絶壁・石柱・奇岩・怪岩などが見られる、自然研究路が設けられている。

ただ、既に「角島」と「元乃隅神社」で海の景色を堪能してきた人に、筆者はあえてこの島を観光する必要はないように思う。
それは「青海島」に、見どころがないからというわけではない。

例えば、江戸時代から明治時代末期まで、沿岸捕鯨の基地として栄えた「通地区」では、鯨を湾岸に追い込み漁師が鯨の上に飛び乗って銛を刺す、「古式捕鯨」が行われていた。

近代捕鯨へは移行せず捕鯨は消滅したが、「向岸寺」には当時捕獲された鯨の胎児を埋葬するための「鯨墓」(1692年建立、国の史跡)があり、約70体の鯨の胎児が埋葬されているほか、毎年鯨回向が執り行われ、鯨の霊を弔っている。
とはいえ、
「海上アルプス」は、三陸海岸を代表する岩手県の「北山崎」のほうが規模も大きく壮観で、「古式捕鯨」は和歌山県太地町では今なお続けられている。
時間と体力と財力が無制限な人は別として、夏でも観光に回せる時間は8~9時間、日の短い冬は6時間ほどしかない。
本当に旅人に寄り添うのであれば、その3つをどう有意義に使ってもらうかという配慮も、情報提供側にはあって然るべきではと筆者は思う。
なお、青海島の詳しい紹介はこちらでご覧いただけるので、必要ならばどうぞ。
仙崎

いっぽう「青海大橋」の対岸にある「仙崎」は、詩人の「金子みすゞ」が生まれた町で有名だ。
後述する「道の駅 センザキッチン」から約750メートル・徒歩でも10分足らずのところには「金子みすゞ記念館」がある。
金子みすゞ

26歳でこの世を去るまでに、512編もの詩を綴ったとされる、昭和初期の女流詩人。
中高年なら、2011年の東北大震災の後に繰り返し流れた、ACジャパンのCMに使われた彼女の代表作「こだまでしょうか」を覚えている人は多いだろう。
生誕100年を期に実家跡に建てられた記念館は、金子文英堂、休憩棟との3棟からなり、みすゞの世界の魅力をわかりやすく紹介している。
金子みすゞ記念館
☎0837-26-5155
入館料:大人500円
9~17時(受付最終16時30分)
無休
さて。
仙崎には、2018年に素晴らしい道の駅がオープンしている。

「道の駅 センザキッチン」は、10年以上前からあった「青海島」への遊覧船発着場を中心とする観光施設「青海島シーサイドスクエア」の敷地内に、長門市が新たに6億円をかけて整備した「仙崎地区交流拠点施設」のこと。

2017年10月に仮オープンした後、道の駅の登録に伴う駐車場エリアの再整備と、「青海島シーサイドスクエア」の売店棟「ショップ青海島」のダイニング棟への改修を経て、2018年4月に「道の駅 センザキッチン」として、グランドオープンを果たした。

以降は、特に海鮮グルメやロケーションが人気で、「じゃらん全国道の駅グランプリ2025」では総合9位(もう一度行きたい7位)、別のランキング(2025年版道の駅大賞)では全国3位に選ばれるなど、全国的にも高評価をキープしている。
長門湯本温泉

「道の駅 センザキッチン」から、内陸部に8キロほど走ったところにある「長門湯本温泉」は、室町時代に開湯したと伝わる山口県最古の温泉地で、昭和の面影が残る共同浴場の「恩湯」から、旅情を伴った温もりが伝わる、お気に入りの温泉地だった。

しかし2020年のまちづくり再生を機に、その「恩湯」を含めた清流・音信川界隈の温泉街は大きな変貌を遂げている。
「オソト天国」を合言葉に、地元官民と山口フィナンシャルグループ(FG)、外部資本が連携して、廃業・老朽化した宿泊施設の建て替え、回遊性を高める街づくりなどが進められ、そこに「星野リゾート」も参画しているようだ。

温泉街が新陳代謝で若返るのは構わないのだが、「恩湯」がまるで”デザイナーズ浴場”みたいになっていたのは驚きで、しかも入浴料は990円で、駐車場の割引もなし(最初の2時間200円)。
有名な草津温泉の「西の河原露天風呂」でも800円(駐車場無料)、また2024年にリニューアルされた「道後温泉本館」が700円(駐車場1時間無料)であることから見ても、さすがにそこまでの価値があるようには思えないし、両者は駐車場代もかからないので、実際の格差は4.5百円になる。

加えて駐車場から「恩湯」までは、この長い階段を下って行くか、バリアフリー用に設けられた、もっと長いスロープを歩く必要があり、かつてのすぐ隣にクルマが停められたのとは大違いになっている。
筆者は円安の恩恵が受けられるインバウンドではなく、いつ終わるともわからないインフレに苦しむ日本人で、おまけに膝に不安がある…
幸いなことに、「道の駅 センザキッチン」の近くにはリーズナブルな「湯免温泉」もあるので、次回からはそちらを利用することになると思う。
「長門」の車中泊事情&&お勧め車中泊スポット

冒頭でも書いたように、「角島大橋」から「道の駅 センザキッチン」までは約35キロしかなく、ノンストップなら1時間ほどで到着できる距離だ。
しかもいい具合に、その両端に山口県下でも有数の高規格な道の駅があるので、車中泊に困ることはないどころか、余裕があるくらいだろう。
なお、このエリアにRVパークは見当たらないが、電源サイトの付きの「青海島 高山オートキャンプ場」がある。
最後に。
ここまで紹介してきた、「長門」のすべてのスポットに足を運ばないという人は、「萩」の観光を加えても時間的には行けるかもしれないが、日本史が好きな人にとって”深堀り”がきく「萩」には、できれば終日当てるつもりのほうがいいと思う。
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