25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、岡山県の5つの温泉地からなる湯原温泉郷を、車中泊で訪ねたい人に向けた旅行ガイドです。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
川底から自噴する5つの温泉地で構成される「湯原温泉郷」は、格安のRVパークがある滞在に適した温泉地

湯原温泉の筆者の歴訪記録
※記録が残る2003年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2003.10.26
2011.08.01
2018.10.06
2026.01.17
「湯原温泉郷」での現地調査は2026年1月が最新です。
湯原温泉郷

湯原温泉郷のロケーション

岡山県の真庭市にある「湯原温泉郷」は、米子自動車道「湯原インター」から約4キロ、クルマで5分ほどのところにある。

アウトドアが盛んな高原リゾート「蒜山高原」から、国道で約20キロ・30分、さらに中国地方最高峰で、標高1729メートルを誇る大山山頂にもっとも近い「県立大山駐車場」からでも、約60キロ・1時間ほどで来ることができる。
また同じ「美作三湯」の「奥津温泉」からは一般道で約43キロ・50分、「湯郷温泉」からなら中国自動車道で約63キロ、同じく50分ほどになる。

今でこそ関西の”奥座敷”と呼ばれる「湯原温泉郷」だが、その存在が京阪神在住の人々に広く知られるようになったのは、1992年の「米子自動車道」の全線開通以降で、つい最近の話と云っても過言ではない。
湯原温泉郷の歴史と概要

前述した「奥津温泉」「湯郷温泉」とともに、「美作三湯(みまさかさんとう)」に数えられている「湯原温泉」は、旭川の川底から自噴する豊富な湯量を誇る古くからの温泉地だ。
一度も空気に触れることなく、生まれたばかりの源泉が、湯船の底からぷくぷくと湧き出す「足元湧出温泉」は、日本に20~30ヶ所しか存在していないことから、温泉マニアの間では”究極の温泉”と呼ばれ、筆者は知らなかったが、今では「湯原温泉」の「砂湯」はその”聖地”になっているらしい…
足元湧出の様子はこちら。
なるほど、この動画はよくできている。

「湯原温泉」の開湯については、平安時代の僧侶「性空(しょうくう)」が夢のお告げで温泉を発見し、自身の病を治したという伝説が残されている。
ただ地元歴史研究家は、弥生・古墳時代から周辺で行われていた「たたら製鉄」に従事していた人々が、湯治場として有史以前から利用していたと考えているようだ。

ちなみに「湯原温泉」が史実に登場するのは、戦国時代に岡山城主となり、「豊臣家」の五大老をつとめた「宇喜多秀家」の母で、羽柴時代に「秀吉」の側室となった「おふくの方」が病に倒れた際に、湯治場を開設したと云う記録が最初だという。
「砂湯」にほど近い「菊の湯」の前には、その逸話と「おふくの方」を刻んだ石碑が残されている。
江戸時代を迎えると、「湯原温泉」は山陽と山陰を結ぶ宿場町となり、一般の湯治場として発展していく。

さらに時代は進み、戦後の高度経済成長期を迎えた昭和31年(1956年)には、上質のお湯を持つ『湯原・下湯原・郷緑(ごうろく)・足(たる)・真賀』の5つの温泉地から構成される「湯原温泉郷」として、国民保養温泉地の指定を受けるに至る。
だが、その後の温泉ブームに乗り切れないまま、”風”は止んでしまった。

読者の中には、「湯原温泉郷」という表現を初めて目にする人がいるかもしれない。
確かにネット上に挙がっているのは、「砂湯」を擁する「湯原温泉」の紹介が大半で、周辺の温泉地を総括した「湯原温泉郷」の話は皆無に等しい…
湯原温泉観光協会ですら、「湯原温泉郷」のマップひとつ用意していないのだから困ったものだ(笑)。
そこで簡単に筆者が説明しておこう。

「湯原温泉郷」は、国道313号沿いに約9キロに渡って点在しており、どこも日帰り入浴ができる温泉館(宿)を有している。

●湯原温泉
有名な混浴無料露天風呂の「砂湯」を有する、「湯原温泉郷」の中核的存在。
「湯原温泉郷」の中で、もっとも湯量が豊富で泉源すべてが自噴泉。しかも温泉の温度は45℃前後と適温で、多くの施設で100%源泉かけ流しが楽しめる。

●下湯原温泉
平成元年に採掘された新しい泉源で、湯原温泉の下流域にあり、後述する複合施設の「下湯原温泉ひまわり館」がある。

●郷緑(ごうろく)温泉
写真の「郷緑館」は明治時代の趣ある建物で、足元湧出温泉を日帰りでも貸し切りで堪能できる秘湯の一軒宿だ。
岩場のあちらこちらから流れ落ちる豊かな温泉を利用して養殖した、スッポン料理が味わえることでも知られている。

●足(たる)温泉
戦国時代に樽詰めにして運んだ湯で武士が傷を癒したと伝わる温泉で、写真の日帰り入浴施設がある。

●真賀温泉
湯治場としても有名で、室内の混浴岩風呂「幕湯」には、津山藩初代藩主の「森忠政」が入浴したと伝わる。
なお「湯原温泉郷」と云っても関連性は薄く、「奥飛騨温泉郷」や「塩原温泉郷」のような共通の温泉手形などはない。
さて。
よくやくここから「湯原温泉郷」の中核温泉地である、「湯原温泉」の話が始まる。
名湯「砂湯」

「湯原温泉」の名物は、「湯原ダム」の下流を流れる旭川の川底から、アルカリ性で美肌効果の高いお湯が湧き出る、無料の天然混浴露天風呂の「砂湯」だ。
年中無休で24時間利用可能となっており、ここを目当てに訪れる温泉ファンは多い。

昭和の旅行作家で温泉評論家の「野口冬人」氏による、諸国露天風呂番付で西の横綱にランクされたことで脚光を浴びた。

傍らに男女別の更衣室が用意されており、水着の着用は禁止だが、湯浴み着とタオルの利用は認められている。

ちなみにクルマは、200メートルほど離れた「寄りそい橋」の手前の河原に用意された、無料駐車場に停められる。

場所はここ。

10年以上前からある注意書き(笑)。

とはいえ、
奥飛騨温泉郷の「新穂高の湯」や、群馬の宝川温泉にある「汪泉閣」など、この手の混浴露天風呂への入湯経験がないと、やはり敷居が高いと感じる女性は多いと思う。
そこで、似たような雰囲気を味わいたい女性用に、1998年(平成10年)に約2キロ下流の下湯原温泉に作られたのが、「下湯原温泉ひまわり館」だ。

出典:真庭観光WEB
『風情がぜんぜん違う!』と云ってしまえばそれまでだが(笑)、料金はおとな500円で男女別に岩風呂がある。

またここには、ペット専用(犬猫)の露天風呂もある。

「下湯原温泉ひまわり館」は、駐車場もすぐ横にあり、食事や特産品の売店もあるうえに、RVパークもやっている、いわばちょっとした道の駅のような施設だ。
なお、RVパークについては後述する。
湯原温泉街の楽しみ方

「湯原温泉」には、短いながらも日帰り入浴施設の「湯本温泉館」と、食堂や居酒屋とともに昔ながらの射的屋などが並ぶ、「カランコロン大通り」と呼ばれるメインストリートがある。
ただし通りは狭くて歩道もないので、クルマは後述する3つの無料駐車場のいずれかに停めて、徒歩で散策するのが”鉄則”だ。

「カランコロン大通り」は吉井川と並行していて、河原にはベンチや足湯とともに遊歩道が整備されているので、駐車場までの往復のどちらかは川沿いを歩くといい。

河原の足湯で目を引くのが、地元で「はんざき」と呼ばれる「オオサンショウウオ」をモチーフにしたこの足湯。

下流の「ゆばら湯っ足り広場」にも、同じく「はんざき」のモニュメントがある足湯が用意されている。

その理由は、湯原温泉地域では国の特別天然記念物に指定されている「オオサンショウウオ」が、昔から長寿や生命力の象徴として親しまれてきたことにある。
「はんざき」は半分に割かれても生きているという伝説に由来した呼び名で、「湯原温泉街」には「はんざき」をテーマにした「はんざきセンター」や「はんざき祭り」などもあり、地域活性化のシンボルにしているそうだ。

さて。
こちらが「カランコロン大通り」にある、日帰り入浴施設の「湯本温泉館」。
「砂湯」は石鹸使用禁止なので、その後でカラダと髪を洗いたい人は、600円で入湯できるここへ行くといい。

1階はお土産店になっているので、入湯しなくても気軽に中に入れる。

なお運悪く天気が崩れてきたら、「カランコロン大通り」ではなく、吉井川と反対側の通りにある、「観光情報センター」をかねた「湯原温泉ミュージアム」で雨宿りをすることができる。

2階は湯原温泉にゆかりの深い旅行作家、「野口冬人」氏の貴重な書物の展示などが見られる200円の有料コーナーだが、1階は無料休憩所になっており、500円で卓球ができるほか、1冊80円で古本のマンガを買って読むことが可能だ。
周辺にあるお勧めの観光地

冒頭でも記したように、「湯原温泉郷」は「蒜山高原」まで国道で約20キロ・30分で行くことができる。
ゆえに温泉めぐりの合間を縫って、ドライブに出かけるのは容易なことだ。

さらに「蒜山高原」から40キロほど走り、「大山」山頂近くに建つ古刹の「大山寺」まで足を伸ばしたとしても、半日あれば戻って来られる。

また車中泊なら、その日は「大山寺」に近い無料の「県立大山駐車場」で1泊して、翌日戻って来るのも悪くないプランだ。
そのためにに必要な情報は、以下の記事にしっかりまとめてある。
湯原温泉の駐車場&車中泊スポット

まずは駐車場の紹介からだが、「湯原温泉」には無料の駐車場が数ヶ所あり、「砂湯」に近い順から云うと、前述した「寄りそい橋」の手前の河原に用意された、こちらの駐車場が挙げられる。
ただしここには『車での野営はしないでください』と表示されているので、車中泊はできない。
仮にしている人がいたとしても、近くに禁止ではない場所があるので控えよう。
この程度のルールが守れないのなら、どこに行っても嫌われる(笑)。

その次に「砂湯」に近いのは、「市営駐車場」だ。
入口から見える看板には「有料」と書かれているが、既に無料開放されていることを観光案内所で確認している。
ただし黄色の枠は、向かいの旅館「湯の蔵つるや」の契約スペースなので、一般の利用客は停められない。

ここは取材時点では車中泊禁止の表示もなく、50メートルほどのところにウォシュレット付きの公衆トイレがある。
ただし、24時間使えるかどうかまでは分からない。

居酒屋のある温泉街にも近いので、夜間もトイレが使えるなら、ほろ酔い温泉旅がしたい人には、ここがよろしいかと(笑)。

そして最後が「ゆばら湯っ足り広場」の無料駐車場だ。

ちょっと分かりづらいのだが、上の写真はこのマップにPと書かれた道路沿いの駐車場で、道を挟んだ一段下に、足湯とRVパークと公衆トイレがある「ゆばら湯っ足り広場」がある。

道から見ると、「ゆばら湯っ足り広場」はこういう感じ。
ただ公園にしては一般利用客の駐車スペースが少ないため、上はいわば”臨時駐車場”的な位置づけになるのだろう。
もちろん無料で24時間利用でき、トイレも近いので車中泊にも使える。
とはいえ…

目の前にRVパークがあるのだから、車中泊をするのにもっとも適切なのはそこだろうと、車中泊をするしないにかかわらず、誰もが思うのは当然だ。
しかもここは電源を使わなければ、1泊1000円と格安で利用できる。
問題はRVパークが3台分しかないことだ。

もし満車の時は、向かいの無料の駐車スペースで車中泊をしてもいいの?
車中泊をする人間で、そう思わない人はいないと思うのだが(笑)、その答えを含めて、「RVパークゆばら湯っ足り広場」の詳細を、こちらの記事にまとめている。

なおRVパークは、前述した「下湯原温泉ひまわり館」にもある。
料金は1泊2500円だが、ひとり500円の温泉代が2人まで無料になるので、実質的には1500円。もちろん電源代とゴミの回収料金は別になっている。

ただし、こちらは施設の閉館後は、工事現場にある仮設トイレの使用になる。
美作三湯 車中泊旅行ガイド
岡山県 車中泊旅行ガイド
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門
この記事がよく読まれています。































