この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「一筆書き」してこそ、日本一周
全国を旅していると、よくクルマやバイクに「日本一周」と書いた旅人を見かける。世界を見渡せば箱庭のように狭い国とはいえ、それはシニアか学生のように時間にかなりの余裕を持てる人間にしかできない「夢の旅路」に違いない。
だが旅行者のブログやSNSをよく見てみると、「日本一周」には2つの意味が混在しているようだ。
杓子定規かもしれないが、「日本一周」というのは、文字通り一筆書きで描くように、日本の海岸線に沿って旅することだと筆者は思う。
つまり基本的には、北海道の富良野や帯広、東北なら乳頭温泉や裏磐梯、さらに富士山、北アルプス、白川郷、琵琶湖、果ては阿蘇山に至る名所には足を運ぶことない旅路である。
裏返せばそれは、明けても暮れても景色は海、飯は魚…
まともに実行すれば、1周間で飽きてくるものでしかないだろう(笑)。
すなわち、日本の内陸部と沿岸部を行き来しながら、北海道から九州までくまなく周るというのは、「日本縦断の旅」と云う方が適切だ。
確かに「日本一周」という言葉の響きは、本人には「達成感」、また旅をさほどしない人には「感銘」を与えるかもしれない。
しかしそれは富士登山と同じく、経験値の高い人に意志の強さは伝わっても、さほど素晴らしい実績には映らない。
旅の目的やスタイルが「十人十色」であることを承知した上で…
これから「日本一周・日本縦断の旅」に出ようという人々に伝えたいのは、でかける前に優先順位をよく考えることだ。
人生がいくら長くても、誰も永遠の命や無限の旅費は得られない。
妙なこだわりや妄想に囚われるよりも、まずは「実」を取ることを優先してはどうだろう。
結論は、宴会料理と同じく、好きなものから順番に食べることだ。
特に「完食」に自信が持てないシニアにほど、その話は当てはまる。
「日本一周」よりは「日本縦断」。しかも一気にではなく、土地土地の「旬」に合わせて断片的に旅するほうが間違いなくコスパはいい。
変化の少ない長旅は、数多くの「旅を楽しむ引き出し」を持ってなければ、なかなか堪能できるものではない。
もし気が向くなら、以下の記事を一度ご覧いただきたい。
日本クルマ旅先100選
一筆書きの日本一周

