車中泊用サブバッテリー リチウムイオン載せ替え&新規搭載ガイド【クルマ旅のプロが解説!】

リチウムイオンサブバッテリー

この道25年の現役クルマ旅専門家がまとめた、実体験に基づく車中泊用サブバッテリーの、リチウムイオン積替えと新規搭載に関する明快なガイドです。

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド

この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。

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~ここから本編が始まります。~

サブバッテリーには、事前に知っておくべき話がある。

サブバッテリー

いまさら聞けない基本の「キ」。
車中泊にサブバッテリーって要るの?

サブバッテリーは2種類ある

「鉛ディープサイクル・バッテリー」と「リチウムイオン・バッテリー」

本格的な車載サブバッテリー・システムを選ぶか、ポータブル電源を選ぶか

※ここまでの内容を既にご承知という方は、飛ばして次にお進みください。

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いまさら聞けない基本の「キ」。車中泊にサブバッテリーって要るの?

カーバッテリー

クルマの運転免許を持っている人なら、エンジンを切った状態でライトやオーディオを長時間使えば、メインバッテリーの電圧が下がり、エンジンがかからなくなくなることは知っている。

それと同じで、たとえ携帯電話やタブレット、あるいはLEDの照明であっても、エンジンを切った状態で、メインバッテリーから電気を供給し続ければ、やはり同じことが生じる。

そのトラブルを避けるために、多くの車中泊旅行者は、メインバッテリーとは別の、すなわちサブとして使うバッテリーをクルマに積んで出かけるわけだ。

車載用USB充電器

ただ、携帯電話を充電する程度の「微電」を欲するのなら、わざわざサブバッテリーまで用意しなくても、走行中にシガーソケット経由で、メインバッテリーから給電しても問題はない。

しかし今は、このようにポータブルバッテリーで持参してきた電気を、扇風機や電気毛布、あるいは冷蔵庫などに利用して、時代にマッチした快適な車中泊の旅をエンジョイしている人が多数いる。

サブバッテリーは2種類ある

車中泊

車中泊での使用に適したバッテリーは、クルマに搭載されている「カー・バッテリー」とは異なる性質のタイプだ。

簡単に違いを説明すると、「カー・バッテリー」は持続性は弱いものの、瞬間的に強い電気を発することができるタイプで、例えるなら陸上選手の短距離ランナーに似ている。そのため「スターター・バッテリー」と呼ぶ人もいる。

いっぽうサブバッテリー用に使用される「鉛のディープサイクル・バッテリー」と「リチウムイオン・バッテリー」は、瞬発力はないが、長時間の電力供給に適しており、長距離ランナーに似ている。

ディープサイクルバッテリー

筆者が車中泊を始めた頃は、サブバッテリーといえば、「鉛のディープサイクル・バッテリー」が代名詞だった。

「鉛のディープサイクル・バッテリー」は2024年現在でも、おそらく登録されているキャンピングカーの、まだ過半数が使用していると思われるスグレモノだ。

コスパも高く、「リチウムイオン・バッテリー」が車載用に登場してきたからといっても、使えないわけではなく、「化石」呼ばわりするにはまだ早い(笑)。

スマートフォン

さて。

話題の「リチウムイオン・バッテリー」は、2019年10月に「リチウムイオン電池の父」と称される吉野彰さんらがノーベル化学賞に輝いたことで、一躍その名が知れ渡ったが、スマートフォンにも利用されている「リチウムイオン電池」が、初めて商品化されたのは1991年のこと。

それまでは二次電池(充電可能な電池)といえば、「ニカド電池」が主流だったが、はるかに軽くてエネルギー効率がいい「リチウムイオン電池」の登場は、まさに「革命」とも呼ばれる出来事だったという。

RENOGYリチウムイオンバッテリー

それから30年の歳月を経て、ようやく待望の「リチウムイオン電池」を、車載用バッテリーとして実用化できるところまで商品開発が進み、いよいよ庶民が手が出せる値段にまで近づいてきた。

これが「リチウムイオン・バッテリー」の”現在地”になる。

ポータブル電源

ちなみに「リチウムイオン・バッテリー」は、車載用としてより、野外で使えるポータブルバッテリーとしての普及のほうが先行している。

その火付け役となったのは、ここ数年続いている「キャンプブーム」だ。

今ではソロキャンだろうが、ゆるキャンだろうが(笑)、若者たちが略して呼ぶ「ポタ電」は、キャンプサイトに「あって当たり前」のギアになりつつある。

「鉛のディープサイクル・バッテリー」と「リチウムイオン・バッテリー」

サブバッテリーシステム

ここでは、これまで「鉛のディープサイクルバッテリー」を長年利用してきた、筆者の偽らざる感想を紹介している。

難しい理屈より、失敗を含めた実体験に基づく話のほうが、たぶん役に立つはずだ。

メリットはランニングコストが安いこと。

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筆者がよく使っていたG&Yuのディープサイクルバッテリーは、寿命は2年から4年と短めだが、1本15,000円ほどで買えて、充電器から100ボルトに変換するインバーターまでのシステムが揃っていれば、バッテリーを交換するだけで済む。

※なお、近年このクラスのバッテリーは、本来のディープサイクル・バッテリーに比べると性能が劣るため、セミサイクル・バッテリーと呼ばれているようだ。

本来のディープサイクル・バッテリーは、このくらいの値段がする。

デメリットは、急激にへたってしまうこと

電圧計

もちろん電圧計をつければ、その低下が早くなる兆候はつかめるのだが、一度そうなると、そこから使い物にならなくなるまでが早い。

充電してもすぐにまた電圧が10ボルトを下回る状況に陥り、インバーターのリミッターが作動して電気の供給がストップする。

充電したはずなのにされていない。

にもかかわらず、電圧計は満充電のフリをするから厄介だ。

筆者はそのせいで、11月中旬の冷え込んだ日の夜半に、下呂温泉の駐車場で突然FFヒーターが止まり、寒いわ、嫁さんは不機嫌になるわで、ひどい思いをさせられた苦い経験がある(笑)。

なおバッテリーは、できるだけ満充電の状態にしておくほうが長持ちするため、「鉛のディープサイクル・バッテリー」は充電効率が高い外部充電器を使って、コンセントから充電できる環境が自宅にあることが望ましいと云われている。

ソーラーパネル

筆者は団地住まいなので、屋根にソーラーパネルを載せることで、それをカバーしてきたが、外部充電なら24時間ほどで満充電にできるものが、100W程度のソーラーでは1週間近い日数が必要で、とても相手にはならず、それがバッテリーの消耗を早める結果のひとつの要因だったのかもしれない。

ディープサイクルバッテリー

最後は重量。

「鉛のディープサイクル・バッテリー」の重量は、1本およそ25キロ。

通常はこれを並列で2本載せるので、「車載サブバッテリー・システム」を組めば、常に大人の女性をひとり乗せているのと同じ計算になる。

ゆえに燃費に影響すると懸念する人もいるが、燃費については走り方や道路事情のほうが、遥かに影響は大きいだろう。

それよりも、バッテリーの積替え作業時のほうが大変… 

2個クルマから降ろして2個また積むということは、都合100キロの荷物を積み下ろしするわけで、初老には「勘弁してくれ~!」と言いたくなる重労働だった。

それに対して…

「リチウムイオン・バッテリー」は、ここまで長々と説明してきた「ディープサイクルバッテリー」のデメリットが、”皆無”と云っても過言ではない。

たとえば、寿命をイメージで表わすとこういう違いになる。

充放電イメージ図

一般的に「リチウムイオン・バッテリー」は、充放電サイクル回数がエンドに近づくまで、へたらない(電圧を維持できる)とされている。

今なら100Ahで、1本3~5万円ほどで買える「リチウムイオン・バッテリー」の充放電サイクル回数は2000回程度と云われているが、筆者が選んだRENOGY社の製品はなんと4000回。

1年間毎日充放電を繰り返しても、10年以上使えるというから驚きだ。

ちなみに「鉛のディープサイクル・バッテリー」の充放電サイクル回数は、350回程度とされているので、単純計算では11.4倍の「寿命」があることになる。

しかも特性上、「リチウムイオンバッテリー」は充放電サイクル回数が限界に近づいてきたところから電圧の低下が早まり始めるが、「鉛ディープサイクル・バッテリー」はそのタイミングがもっと早いため、実際にはこの数字以上の差があるように感じるはずだ。

あとの特性は、上記のRENOGY社の言葉を借りると以下の通りだ。

大電流に強く、持続性もあり、また急速充電を得意としています。そのため、電気ポッドや扇風機など複数の家電を同時に利用する場合に適しています。

RENOGY リチウムイオン アプリ

さらに専用のバッテリーチェッカーを取り付け、アプリをスマホにインストールすれば、Bluetoothで残量をこのようにチェックできる。

RENOGY

そして重量は1本10キロちょっと。同じ容量でも「鉛のディープサイクル・バッテリー」の約半分しかない。

もっとも… このバッテリーを載せ替える頃には、筆者は免許を返上しているかもしれない(笑)。

本格的な車載サブバッテリー・システムを選ぶか、ポータブル電源を選ぶか

これで、既にサブバッテリー・システムを搭載している人は、次に「鉛のディープサイクル・バッテリー」を選ぶか、「リチウムイオン・バッテリー」を選ぶかの方向性がハッキリしたと思う。

いっぽう、これからサブバッテリーの搭載を検討している人は、それを車載システムにするか、ポータブル電源で済ますかの判断になるだろう。

リチウムイオン サブバッテリーシステム

ちなみに筆者と同じRENOGY社の製品を使った、本格的なリチウムイオンのサブバッテリーシステムを組むには、一般的には新規搭載なら40万から50万円が必要だ。

リチウムイオンバッテリーシステム

ざっくり云うと、バッテリー本体だけでも2本で11万円、それに専用の走行充電器と、高電流に対応したケーブル、さらに電子レンジやエアコンが使える1500W以上のサイン波インバーターに、バッテリー収納スペースの製作及び、配線等の作業工賃がかかってくる。

いっぽう既存のディープサイクルバッテリーからの積替えでも、バッテリー代だけでは収まらず、専用の走行充電器とケーブル代に配線工賃は必須で、安く見積もっても20万円は覚悟しなければならない。

ただ積替えに関しては、「イニシャルコスト」がかかる分は「バッテリー交換」という「ランニングコスト」で回収できるため、長期的な視点に立って総コストで比較すれば、「リチウムイオン・バッテリー」のほうが”お得”という結論にはなる。

電子レンジ

いずれにしても、「リチウムイオン・バッテリー」への載せ替えを希望する車中泊旅行者が多いのは、その投資に見合うだけの魅力があると感じているからだ。

今は「それだけ車中泊で利用したい大容量家電がある」と言うことでもある。

ハイエース ベッドキット

いっぽう、4ナンバーのハイエースやキャラバンで車中泊を楽しまれている人の中には、50万円近く出して車載用のサブバッテリーシステムを組むのはどうなんだろう… と躊躇している人も多いと思う。

筆者の友人には、ヘビー級のポータブルバッテリーを購入することで、電子レンジなどの大容量家電に対応している人もいる。

”ポタ電”としては高額だが、システムの構築に比べれば安い投資で済むのだから、それも一案だとは思う。

ただ容量が大きくなると、旅先では充電するのが大変になるので、この作戦は長旅をしない現役世代向けといえるだろう。

ちなみに筆者が組んだ車載システムでは、4時間走れば200Ahのサブバッテリーを、ゼロ状態から満充電にすることができる。

半分からなら、たったの2時間…

それはまさに、夢のような話だった。

(有)育生モータース

ということで、

ここからは、サブバッテリー載せ替えまたは新規搭載を進めたい人に向けて、実際に筆者のクルマを工事してくれた職人さんの意見を交えて、よりリアルな情報をお届けしたい。

筆者が「なるほど!」と、何度云わされたか分からない世界がそこにはある。

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