車中泊歴25年の現役クルマ旅専門家が、バンと呼ばれる1または4ナンバー車と、キャンピングカーに使われる8ナンバー車の違いを、分かりやすく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
最後は、「貴方の志向」がモーターホームか、オートパッカーかで決まる。
今、日本にあるキャンピングカーは、「バンコン」と呼ばれるハイエースやキャラバンなどの商用車(バン)をベースに改造 (コンバージョン)したキャンピングカーと、トラックあるいはワンボックスカーのキャブ(運転席)だけを残し、後ろの生活スペースを独自に架装した「キャブコン」が大半だ。
その他にマイクロバスを改造したバスコンや、自走できない牽引式のトレーラーなどもあるが、日本RV協会の調査によると、登録台数の約70%はバンコンとキャブコンで、両車の数は拮抗しているという。
入門者にとって興味があるのは、そのどちらを選ぶべきかという話だと思うが、今はそこに「価格」という基軸はほとんど存在しない。
既にハイエースでも、キャブコンに匹敵するゴージャスな室内を誇るモデルが存在しており、値段は登録諸費用込みで1000万円以上する。
また、一般的にバンコンは日常生活と旅を1台で賄えると云われているが、それは居住しているエリアによって違う。
筆者は大阪の郊外にある千里ニュータウンに住んでいるが、周辺の新しい商業施設は立体駐車場が多く、結局のところはセカンドカーを利用している。
では、何を基軸に選べばいいのか?
自宅の車庫に収まらないといった物理的な事情がある人は別として、それは貴方がキャンピングカーでどういうことがしたいのか? にかかっている。
たとえばカメラマンを兼ねた雑誌ライターを生業とする筆者の場合、走行性が弱いうえに高さが3メートルを超えるようなキャブコンでは、踏み込める場所が限られてしまうため、必然的に選択肢はコンパクトなバンコンに絞られる。
しかし、筆者はもともとテントでキャンプを楽しんできたので、居住空間の狭さを車外で賄うことに苦痛を感じないし、そのための道具もテクニックも有している。
いっぽう、キャブコンを選ぶ人たちのニーズは、多かれ少なかれ「モーターホーム」にある。
ルームエアコンに電子レンジなど、自宅の延長をフィールドに望むのなら、ためらうことなくこちらを選択すべきだ。
バンコンでもそれらを搭載することはできるが、バンクベッドがないぶん、居住スペースは狭い。そのためすぐに大きなクルマが欲しくなるも多い。
いちばんマズイのは、本当は「モーターホーム」を志向しているのに、妥協してバンコンを選んでしまうことだ。
筆者は何人もそういう人達を見てきたが、大半は早々にクルマをキャブコンに買い替えている(笑)。
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