25年以上の車中泊経験を持つクルマ旅のプロが、災害避難のために知っておきたい車中泊の知識をご紹介。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
いま国民が求めているのは、「避難」のための車中泊環境
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集現代は「災害」が車中泊をする理由になる時代
長きにわたって、これまで筆者が模索してきた車中泊は、趣味やレジャーを楽しむための宿泊手段だった。
そのため、快適に寝られるクルマ選び、DIYを含めたベッドメイキングや収納のアイデア、さらに車中泊にマッチする旅先の紹介といった情報をメインに発信してきた。
もちろんそれはライフワークとして、今後もずっと続けていくつもりだ。
しかし最近は…
地震や土砂災害で、自宅で寝ることができなくなった…
旅先や出先で道路が不通になり、自宅に帰れなくなった…
などの理由から、自らの意志とは別に車中泊を必要とする人々が増えてきた。
巨大地震、巨大台風、さらにはゲリラ豪雨による土砂崩れ等々、「災害時の緊急宿泊手段」としての車中泊が、今にわかに注目を集めている。
注目すべき、熊本地震の結果
熊本地震後の興味深いデータがあるので、紹介しよう。
2023年10月に内閣府が開催した「避難生活の環境変化に対応した支援の実施に関する検討会(第4回)」にて使われた、「車中泊避難者への支援について」という資料には、『2016年に発生した熊本地震において、避難者が避難先とした場所(複数選択可)について、回答者全体の74.5%が車中泊を経験したと回答している』との記載がある。
この数値を見るかぎり、「避難のための車中泊」は、もはや社会現象ではなく、国民のニーズと考える段階に来ている。
実際に上記の資料には、災害時にテント泊や車中泊の避難者を想定した対応策を検討している、全体の45.2%にあたる自治体の、具体的な対策内容も紹介されている。
高層住宅が停電したら、ライフラインは全滅と同じ
大阪在住の筆者は、1995年の「阪神淡路大震災」と、2019年に起きた「大阪北部地震」、さらに9月4日に大阪を直撃した台風21号による暴風の、3つの大きな災害に見舞われてきた。
とはいえ、避難所生活の経験はない。
ただ台風21号では、停電で丸3日間「車上生活」を強いられた。
電気が止まれば高層住宅は給水もできず、お風呂を沸かすこともできない。つまり事実上、日常生活は不可能になる。
幸いにも秋だったため、同じ団地で暮らす大半の人は自宅で夜を過ごしていたが、これが真夏なら、エアコンを求めて多くの人が車中泊をしたに違いない。
「避難のための車中泊」は、生活様式の副産物
前述した筆者の例のように、停電でエアコンが使えないため、自宅の駐車場で車中泊するといった軽いものから、半壊した自宅からペットとともに脱出し、駆け込んだ避難所の駐車場で車中泊をしている人まで、実際はさまざまな人が「避難のための車中泊」を選択している。
その理由を整理して見ると、高層住宅・高齢化社会・ペット同伴等々、日本人の生活洋式に起因している場合が多く、もはや「車中泊という選択肢」を否定することは難しい。
「避難のための車中泊」は、現代社会の盲点
しかし「車中泊を前提にしたクルマによる避難」は、そもそも多くの行政が避難所へクルマで来ることを禁じているため、つい最近までノーマークだった。
ゆえに有事に備えた対策が急務だが、今は土地のない都会に新たな車中泊を想定した避難所を作るというのは不可能に近い話だと思う。
ただここへきて、少し風向きが変わってきた。
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「避難」のための車中泊 目次
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