車中泊旅行歴25年の現役のクルマ旅専門家がまとめた、2024年1月現在の車中泊旅にマッチするキャンプ場の条件と選び方を詳しく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
覚えておくべきは、車中泊の旅人にマッチするキャンプ場の要件と、キャンプ場が有効利用できるケース
マスコミが取り上げたがる「車中泊キャンプ」は、大多数のニーズとミスマッチ
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集マスコミが取り上げたがる「車中泊キャンプ」は、大多数のニーズとミスマッチ
キャンプブームに翳りが見えて以降、にわかにマスコミで目にする機会が増えたかに思える「車中泊」だが、テレビも雑誌もロケの舞台には、不必要なまでにオートキャンプ場を使いたがる。
そこには一連のキャンプからの流れもあるが、オモテに出せない本当の理由は、自分たちが「道の駅」を”グレイ扱い”しているため、そこが使えないからにほかなるまい。
そのため番組も雑誌の特集も、キャンプに合わせたコンテンツを組まざるを得ないため、車中泊の実態とのギャップが目立つ、違和感のある内容になっている。
「車中泊あるある」のひとつに、”キャンプが嫌いだから、キャンピングカーに乗っている”という話がある。
特に虫が苦手な人に多いようだが、実際に”車中泊はするけどキャンプ場には行かない”というキャンピングカーオーナーは少なくない。
また最近は、やたらと「バンライフ」が取り上げられる。
確かに、アクティブで可処分所得の高い”おひとり様の女子”が、小洒落た車内を拡散すれば、若者にはそれが”車中泊の主流”のように映るかもしれない。
しかし彼女たちがやっているのは、あくまでも”キャンプの延長”で、極端に云えば寝床をテントからクルマに変えて、サイトでのんびり寛いでいるにすぎない。
すなわち「道の駅」を宿にしながら各地を点々と旅する、”車中泊実践者の圧倒的多数”とは流儀が違う。
すなわち、参考にはならない。
おそらく、大半の車中泊の旅人が知りたいのは、そういう”車中泊におけるキャンプ場の使い方”ではないと思う。
さて。
そうは云いつつ、筆者は実はキャンプ場でもよく車中泊をしている(笑)。
そこでここからは、車中泊旅行者にマッチするキャンプ場の要件と、そのキャンプ場が有効利用できるケースを、分かりやすく紹介していこう。
今の筆者は特別な用がないかぎり、高規格オートキャンプに行くことはない。
以前は長旅になると、サブバッテリーを充電するため、定期的に電源サイトを利用していたが、リチウムイオンバッテリーに載せ替えて以降、その必要がなくなった。
とはいえ、テント泊の時代を含めれば、100軒以上のキャンプ場に泊まってアウトドアを楽しんできたので、高規格オートキャンプ場がどういうところかは、熟知している。
水洗トイレに電源、給湯設備が完備されている現在の高規格オートキャンプ場は、レイアウトとシステムの両面から見るかぎり、車中泊よりもテント泊向けに作られていると云っても過言ではない。
たとえば、区画オートキャンプサイトの駐車スペースは、水はけのためにあえて傾斜をつけていることが多い。
またスライドドアと反対側にテントサイトが設けてあるため、サイドオーニングを出すには、アタマからクルマを入れなければならないところもあるし、駐車区画に木の枝が覆いかぶさって、ハイルーフ車が入れないところもあった。
それを考えると車中泊の旅人には、ライダーたちがよく利用している、低料金で炊事施設とトイレがあるだけの、シンプルなフリーサイトのほうが適している。
この件については、以下の記事も参考になると思う。
車中泊旅行者がキャンプ場を利用するメリット
車中泊旅行者がキャンプ場を利用するメリットは、大きく分けると以下の4つ。
またこれらは同時活用することも可能だ。
1.予約ができる
2.知人・友人と旅先で合流し、長時間一緒に過ごせる
3.連泊で滞在できる
4.旅先の特産素材を手に入れ、自分好みに料理して食べられる。
1.予約ができる
道の駅にはないキャンプ場やRVパークのサービスで、もっとも嬉しいのが予約だ。
特に祭りやイベントで賑わう有名な観光地は、近くに道の駅があっても、明るい時間帯から駐車場の場所取りで満車となり、夜間もずっと変わらない。
仮にそれで場所が確保できても、後味は良いものではなく、できるなら次は違う場所での車中泊を選択したい人も多いはずだ。
なおイベントが夜まで続く場合は、食事も外食にしてしまうなどして、”車中泊に徹する”ほうがよく、このケースでは何もキャンプにこだわる必要はない。
2.知人・友人と旅先で合流し、長時間一緒に過ごせる
クラブのオフ会もそうだが、知人・友人と旅先で合流し、長時間一緒に過ごすには、キャンプ場がベストだ。
ただしキャンプ場は、夜の10時以降は消灯するのが基本なので、会合は明るい時間から始めて、夜は早めに解散しよう。
3.連泊で滞在できる
これは特に、規模の大きな別府や奥飛騨のような温泉郷によく当てはまる利点だ。
基本的に温泉めぐりは1日に2~3件が妥当といわれており、本腰入れて楽しむには連泊が欠かせない。
また北海道の美瑛・富良野のような、見どころが多くて広大なエリアの観光にも、キャンプ場での連泊は効果的だ。
ただ格安のフリーサイトでは、観光などでサイトを離れる際に、場所を確保しておけるシェルターを持参していくと重宝する。
4.特産素材を手に入れ、自前で料理して食べる
旅にグルメは付き物だが、必ずしも料理店でなければ美味しいものが食べられないというわけではない。
たとえば、「ブランド和牛」は値が張る高級食材だが、「すき焼き」は自前で調理しても美味しく食べられる料理のひとつだ。
いっぽうこちらは、庶民の冬の味覚の代名詞とも呼べる「牡蠣」。
「牡蠣」は産地に行けば、鮮度の高いシェル付きが1個100円程度で手に入るし、むき身も合わせて売っている。
その最大の魅力は、様々な調理法で味わえることにある。
焼きはもちろん、土手鍋・アヒージョ・燻製のオリーブオイル漬けなど、アウトドアにもぴったりだ。
キャンプ場で配慮すべき、車中泊のマナーとは…
「道の駅」での車中泊のマナーに関する啓蒙や注意はよく見かけるが、キャンプ場での車中泊におけるその話は、あまり聞いたことがないかもしれない。
だが、一大キャンプブームの煽りを受けて、今は車中泊を禁止するキャンプ場があると聞く。
そして、どうやらその主な原因は「音」にあるようだ。
確かにテントは、クルマとは比較にならないほどよく音が通る。
ゆえにキャンプ場では、夜の10時以降は消灯するのが基本とされており、夜明けまでは静かにしているのがエチケットだが、何もそれは車中泊に限ったことではなく、テントで寝ようが同じことだ。
車中泊利用者にのみ云えるのは、ドアの開閉と冬場のFFヒーターで、これは良識ある人でも、慎重にならざるを得ない。
たとえ酒を飲まなくても、中高年になれば夜中にトイレに行きたくなる。
そのたびに、スライドドアを開け締めするわけだが、ひとりでも往復で2回、夫婦なら4回になるのだから、もし隣にテントで寝ている人がいたら申し訳ない。
それを考えると、指定不可の区画オートサイトではなく、なるべくテントキャンパーから離れた場所を自由に選べる、フリーサイトで車中泊をするのが無難だ。
だがハイエースのように、イージークロージャーが標準装備されていないクルマは、静かにしたくてもできない事情もある。
筆者のように、イージークロージャーを後付けすることは不可能ではないが、パーツ代だけで約5万円、外注する場合はこちらのサイトで8万円が目安となっている。
加えてクルマによっては、FFヒーターの音も耳障りだ。
筆者は初めて自分のクルマのFFヒーターの音を車外で聞いて愕然としたが、これはさすがに交換していない。
キャンピングカーに乗る人なら知っていると思うが、FFヒーターは本人の意志に関わらず、急に使えなくなる場合がある(笑)。
なので筆者は、FFヒーターなしでも寒さに耐えられる装備を常時持参している。
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