このサイトでは、既に車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、20年以上の歳月をかけて培ってきた、オリジナルの車中泊ノウハウとそのアイデアを紹介しています。

安易な車中泊仕様改造は「道路車両運搬法」に抵触し、車検に通らなくなる。
「マイカー車中泊」のコーナーに記した「乗用車を寝られるようにする方法」を使えば、乗用車を「週末お出かけ仕様」にすることは容易にできる。
しかし、それでは長期のクルマ旅には不十分であることもすぐに分かる。
そのため荷物の収納力を高めたり、電化製品が自由に使えるサブバッテリーの搭載といった、クルマの本格的な「改造」に目が向くのは自然な流れだ。
だが5ナンバーや3ナンバーのマイカーで、長期のクルマ旅を想定し、固定式のベッドやギャレーを搭載したキャンピングカーまがいの改造をするのは、最初から諦めた方がいい。
ソーラーとサブバッテリーの搭載も同様だ。理由は法律面で、それを活かせる環境を車内に作ることができないからにほかならない。
もし、頭の中に「モデルとなる誰かのクルマ」が浮かんでいるとしたら、まずはナンバープレートを確かめよう。
それはたぶん貨物車の4ナンバーか、1ナンバーだと思う。
乗用車と貨物車は「車中泊仕様への改造」という観点から見ると、大きな違いを持っている。
8人乗りで登録されているミニバンのシートを外して、上のハイエース・バンような使い方ができるように改造するには、「乗車定員変更」手続きが必要だ。
しかも3ナンバー車は、セカンドシートを残さければ乗用車としての要件を失い、ETC割引が使えないうえに、毎年車検が義務付けられた1ナンバーの貨物車として、再登録しなければならない。
だが、一度登録されたクルマの「乗車定員変更」はなかなか認可されないのが現実で、実質的に「その道」は閉ざされているのと同じに等しい。
もし、どうしても「乗車定員変更」が必要なら、新車を購入し、登録以前にシートを外して最初に5人乗りで登録するしかない。
車中泊仕様改造前に知っておくべき2つの法律
道路交通法
交通の安全と円滑を図り、道路での危険や障害の防止を目的とした法律で、クルマの改造とは関係なく、車を運転する際には誰もが守らなければならないルールのこと。
道路運送車両法
車検を定義づけている法律で、ナンバープレートによる区分もこの法律で定められている。
この法律にそぐわないクルマは車検が通らず、道路を走行することができない。
車検とは
正式には継続検査と云い、道路運送車両法によって義務づけられている自動車の性能などが保安基準に適合しているかどうかを定期的に査定する。
<車検の目的>
自動車の安全性の確保
その自動車が運転しても安全であること、つまり「道路運送車輌法」に定められた「保安基準」に適合しているかを確認する。
「セルフでの車中泊仕様改造」最大の難点は、安全基準への適合
見た目や仕上げ、あるいは本人にとっての「使い心地」がいくら良くても、具体的に改造箇所を「道路運送車輌法」に照合すると、3及び5ナンバーベースのセルフ改造車の大半は、それをクリアできるものが皆無に等しい…
残念だがそれが実情だ。
つまり手先の器用さだけではクリアできない壁がそこにある。
これから買うなら、車中泊にはバン(貨物車)がお勧め
これから車中泊を想定した新車を買うのなら、4ナンバーの貨物車(バン)がお勧めだ。「バンライフ」のバンも貨物車を意味している。
「毎年車検」という多少面倒な条件があるとはいえ、改造の自由度はそれよりも遥かに大きい魅力だ。
ハイエースやNV350のバンには、数社から既製のベッドキットが発売されており、製品はインターネットで「ハイエース ベッドキット」のように検索すればすぐに見つかる。価格も4万円程度とこなれており種類も豊富だ。
The “Auto-Packer”
車中泊の位置づけは「手段」。 「目的」は生活ではなく、クルマ旅やアウトドアを愉しむこと。


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