この記事は、車中泊とクルマ旅関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、これから車中泊を始めたい人に向けてのアドバイスを記したものです。

大人が横になれるクルマなら、車種は不問
この記事は『現在乗っている乗用車で始める「車中泊クルマ旅入門」』という企画の一環で書いており、通常の車中泊入門書とは少し中身が違う。
早い話が、何かの刺激を受けて、この週末からでもとりあえずクルマで旅に出かけたい!というような人向けの話だ(笑)
目標は「思っていたより寝られた」
クルマのシートの寝心地は、乗り心地に反比例する。
簡単に云うと、乗り心地を追求している乗用車のシートは、写真のように横揺れに対するホールド性を高めた構造になっている。
それをフルフラットにしたところで、凸凹が大きく寝心地は悪いのは当然だ。そして、それを改造なしに快適化するには限度がある。
すなわちフリードプラスのように、一部の車中泊を想定した乗用車以外のシートは、もともと車中泊に適していない。
つまりマイカー車中泊の最終目標は、「思っていたより寝られる」というあたりに置くほうが、朝起きた時の落胆は少ない(笑)。
問題はフルフラットにならないクルマ
こういうシートアレンジができるクルマは、多くのサイトで紹介されているように、タオルや使っていない座布団などでできるだけ凸凹を埋め、そのうえに下の車中泊マットを敷けば、「思っていたより寝られる」レベルには到達する。

問題は、フルフラットにならないクルマだ。
写真は日産のリーフだが、フルフラットにならないクルマの多くは、このようにリアに大きなラゲージスペースを有している。
車中泊仕様にするには、そのスペースを写真のように埋めてやればいい。
ポイントはスノコだ。別ページで記載している通り、フルフラットシートでもスノコを使うと飛躍的に平坦性がアップする。
安いし、適度なサイズがなければDIYするのも難しくはない。また折りたたみ式のコンテナを台にしておけば、普段はたたんでコンパクトに収納しておくことができる。
その上にさきほどのマットを敷けば、こちらも「思っていたより寝られる」レベルには到達する。
もっともこれは基本であって、身長によってはクッションを加えて寝る向きを変えるなど、さらに工夫の上乗せが必要かもしれない。
しかしこの方法を応用すれば、マイカー車中泊に使えるクルマの裾野が広がることは確かだろう。
ただ、「思っていたより寝られる」レベルの上乗せは、ほどほどにしておくほうがいい。
なぜなら、次のステップにあたる「ワンランク上の車中泊」は、この延長線上にはない。
進むなら「脱皮」、つまり車中泊に適したクルマへの乗り換えが必要になる。
最後に。
「運転席をリクライニングして寝る」というのは極力避けたほうがいい。


