このサイトでは、既に車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、20年以上の歳月をかけて培ってきた、オリジナルの車中泊ノウハウとそのアイデアを紹介しています。

キーワードは、「キャリア」と「smart(スマート)」
現役のプロが解説する、中高年のための車中泊入門【目次】
クルマや世代は変われど、車中泊の基本は「普遍」
年号が「令和」になったからといって、世の中はそんなに急には変われない。
筆者が車中泊を始めた「平成の初め頃」は、いわゆるミニバンがセダンやステーションワゴンに取って代わって一世風靡をした時代で、8人乗りのミニバンでマイカー車中泊を楽しむ人が大半だった。
もちろん今でもそういう人は多いし、居住空間から見れば「乗用車ではそれがベスト」と云っても過言ではあるまい。
しかし「平成の終わり頃」になると、マイカーの主役はサイズアップした軽自動車や、ハイブリットや電気で走るコンパクトカーに変わり、令和はさらに進化したサポカー全盛の時代になりそうだ。
あえて「中高年」を対象にしている理由
いったいいつまで続く、若者中心の「ソロキャン」「ゆるキャン」と呼ばれるキャンプのブーム(笑)。
その「火の粉」がテントキャンプのフィールドを焼き尽くし、いよいよ車中泊の世界に「飛び火」しつつあるのが「令和」だ。
もともとは家族や夫婦の間で親しまれてきた車中泊だが、それもまた「お一人様」でやるものと云わんばかりにマスコミに露出し、いつのまにか「車中泊そのもの」が、違う景色に塗り替えられようとしている…
ただ、それはそれで構わない。
なぜなら、流派は違えど「車中泊をする人」が増えれば、マーケットが活性化され、いいモノが市場に送り込まれてくる。
リチウムイオン電池を使う「ポータブル電源」は、まさにそのいい例だろう。
だが筆者は、車中泊の旅を愉しむには、「元気」よりも「年季」のほうが大事だと思っている。
たとえば、ファミリーキャンプを経験してきたことで、アウトドアグッズの良し悪しや車中泊での要不要の判断ができ、ネットで情報を見たとしても、ファッション性重視の広告には惑わされない(笑)。
たとえば慰安旅行などの「ツアー」を含めて、名勝・景勝と呼ばれるところを数多く周ってきたことで、日本の文化や歴史に対する教養が育まれ、本当に行く価値のある旅先がちゃんと選別できる。
筆者がこの記事を通じてアドバイスをしたいのは、車中泊を始める人の中でも、そういうキャリアを持つ人と、そうなりたいと思う人達だ。
よって本来は老若男女を問わない。
だがその主体になるのは、「演歌の良さが分かる年頃」だろう(笑)。
極端に云えば、フルフラットにならなくても、大人が横たわれるレイアウトが取れれば車中泊はできる。
その意味では、現在乗っているクルマから車中泊を始めることは可能だ。
しかし、それでは長続きはしないだろう。
だからといって、キャンピングカーにいきなり手を出す必要もない。
いずれはそうしたい希望があるとしても、乗用車での経験を少しは積んでおくほうが、キャンピングカーの良さを根っこから理解できるし、クルマに自宅並みの便利さ・快適さを求めることもなくなる。
幸いにも今は、まったく改造せずに「完全フラット」を実現できる乗用車がHONDAから販売されている。
筆者は監修に携わってきたので、その実力をよく知っており、走行性能と就寝性の両立を求める人には自信を持ってお勧めする。
車中泊に必要なグッズは?
「車中泊の三種の神器」と呼ばれる、車中泊専用のマットとプライバシーを守るウインドウシェード、そしてスマホが充電できる電源があれば始められる。
それ以外については、「ワンランク上の車中泊」を参考にしていただくといい。
車中泊に適した場所は?
高速道路のサービスエリア・ハイウェイオアシス・道の駅など、「道路利用者が休憩すること」を前提に作られた施設だ。
疑問を感じるなら、こう思えばいい。
500キロ以上離れた自宅に、マイカーで帰省する途中で日が暮れてしまった。長距離トラックの運転手と同じようにするのはマナー違反になるのだろうか?
もし「すべての車中泊」がマナー違反になるのなら、深夜にあれだけのトラックは停まっていないはずだ(笑)。
むしろ、それを許している方に「問題あり」ということになるのでは?
写真は2020年にテレビ東京で放送された、車中泊のドラマ「絶メシロード」のロケシーンだが、舞台は東伊豆にある日本でも指折りの人気を誇る「道の駅 伊東マリンタウン」だ。
筆者はこのドラマの車中泊に関する監修をしているが、きちんと趣旨を説明すれば、これほどメジャーな道の駅でも撮影許可が降りる。
これに勝る「道の駅では車中泊ができる」という根拠はないだろう。
そういう意味では、道の駅での車中泊の可否を、いまさら掘り返すようにゴタゴタ書いているようなサイトは、きちんと車中泊の定義づけができていないか、たいした経験のない人たちがブームに便乗し、この世界に進出してきているだけに過ぎない。
その話は2007年の車中泊第一次ブームの際に「解決済み」。
10年以上前から、道の駅でもサービスエリアでも「安心」して車中泊ができることに変わりはない。
なお、最近はRVパークも増えてきたが、ここも道の駅と同じく、原則として車外にテーブルを出して調理や食事をすることはできない。
電源があるのは魅力だが、基本的にはキャンピングカーのための施設と考えたほうがいいだろう。
車中泊に適した食事は?
ゴミの出ない外食がベスト。
とりわけ一食は、有名店や郷土料理の店を取り入れたほうが、旅は華やかになる。また晩酌派には「駅弁」がお勧めだ。
とはいえ、中高年になると面倒臭さだけにとどまらず、健康の面からも車内調理がしたくなる。
だがそうするには、後述しているクルマの改造が不可欠だ。
マイカー車中泊に適した旅は?
乗用車を使う「車中泊」の強みは「走行性能」で、弱みはやはり「就寝性能の脆弱さ」にある。
つまりキャンピングカーで」とは真逆。
ということはキャンピングカーが苦手とするアクティブな旅が、ノーマル車での車中泊に適しているということになる(笑)。
ビギナーが車中泊でやらないほうがいいことは?
第一はクルマの改造だ。
車中泊をする前は、誰もが改造なんて思いもしないが、数回やれば「マイカー車中泊の限界」がわかる。
しかし、安易な改造は後悔のもとになるだけだろう。
次は真冬と真夏の車中泊だ。
真夏はカーエアコンという切り札があるが、基本的に長時間のアイドリングはマナー違反とされている。
また雪は気づかないうちにマフラーが埋まると、排気ガスが車内に逆流して「一酸化炭素中毒」となり、命を落とすこともある。
スマート車中泊
さて。上の6つの骨子に共通するのが「スマート」さだ。
英語のsmartは、本来ならスマートフォンに使われている「頭のよい、賢明な、気のきいた」と和訳するのだが、そこから派生して「こざっぱりしている、シャレている、洗練されている」という意味でも使われている。
つまりここで紹介しているのは、クルマを改造することなく、日本のインフラをうまく活用しながら、乗用車ならではのクルマ旅を楽しむ「スマート車中泊」の入門情報でもある。
避難のための車中泊

画像出典:フジテレビ
実は「マイカー車中泊」は、地震などによる避難時にも役立つ場合がある。
着目すべき点は、楽しんでやっている車中泊が、なんとそのまま「避難時の予行演習」に通じていることだ。
以下のコーナーにその詳細をまとめているので、興味があればぜひ。
なお、ここまで紹介したレベルではなく、筆者が提唱している「ワンランク上の車中泊」をお望みなら、トップページがそのインデックスになっている。
中高年のための車中泊入門
車中泊の位置づけは「手段」。 「目的」は生活ではなく、クルマ旅やアウトドアを愉しむこと。


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