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今よりもっと車中泊のクルマ旅を楽しみたい人に贈る、キャンピングカーの基礎知識
キャンピングカーの基礎知識【目次】
キャンピングカーの定義
ほんの10年ほど前までは、キャンピングカーと云えば「ライフラインのない湖畔や河川敷でも、快適に寝泊まりができる装備を有した車両」を意味する言葉だった。
しかし今Wikipediaを見ると、キャンピングカーは「寝泊りできる設備を備えたクルマの日本での呼称」と書かれている。
たしかに現在の日本はキャンプの経験がなくても、日帰り温泉施設で入浴を済ませて食事は外食、そして既に1000を越える道の駅の駐車場とトイレを利用しながら、クルマをテント代わりに旅を続けることが容易にできる国だ。
そうなると「車中泊ができるクルマ」であれば、キッチンやトイレが備わっている必要はなく、軽装備でコンパクトなクルマが求められるのは自然の成り行き…。
業界もそれに応じてキャンピングカーの概念を再構築しつつある。
RV協会ではこの傾向を「キャンピングカーのSimple & Light 化」 と呼んでおり、本格的なキャンプ旅行や、ヘビーデューティーな環境にも耐えられる重装備のキャンピングカーから、「車中泊」 をメインとした気軽な感覚のキャンピングカーへと、マーケットが移行していると分析している。
8ナンバー車
ここで法律に目を向けてみよう。
今でも「道路運送車両法」の特種自動車の使用目的3-4には、「キャンプまたは宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車」(キャンピング車)としての細かな規定が設けられたままで、2022年1月時点では、未だ「マーケットの移行」はまったく反映されていない。
とはいえ、それをクリアした車両は8ナンバーに区分されるため、便宜上わかりやすく、8ナンバーをもってキャンピングカーとするという見解は今も根強い。
そこで、いわゆるVAN(1または4ナンバーの貨物車)と8ナンバー車の違いを、以下の記事に分かりやすくまとめておいた。
2つに分けられる利用者のニーズ
では実際のところの、車中泊における「使い勝手」はどうなのか?
筆者はこの20年間で、3ナンバーのミニバンから、4ナンバーのハイエース、そして8ナンバーのバンコン・キャンピングカーへと乗り継いできただけに、その違いをリアルに知っている。
結論から云うと、快適車中泊を望むユーザーのニーズには2つの流派がある。
モーターホーム派
文字通り「動く家」(笑)。
エアコンや電子レンジに加えてトイレも搭載し、ライフラインのない場所でも自宅と遜色なく過ごしたいという、いわば「別荘」感覚のニーズだ。
当然それにマッチするのは、8ナンバー登録されたキャブコンあるいはバスコンと呼ばれる、大型の「見るからにキャンピングカー」という車両になる。
ただ筆者は財政面も含めて(笑)、こちらのニーズを持ち合わせてはいないので、これ以上詳しい話は書けない。
「にわか知識」で語れるほど、この世界が甘くないことは知っている。
よって、こちらに興味のある人とは「ここでお別れ」になる。
オートパッカー派
筆者が持ち合わせているのは、機動性を重視し、車内よりもフィールドに「寛ぎの空間」を求めたいというニーズで、もともとテントキャンプをしていた人に多い。
分かりやすく云えば、クルマは「家」ではなく「テント」代わり。
その意味では「車中泊」の原点に近いとも云えるだろう。
ベース車は荷物の搭載性に優れたVANを改造したものが理想的で、スタンダードは、やはりハイエースということになる。
筆者はそれを「オートパッカー」と定義づけ、自由奔放に広がる可能性を20余年にわたって追求してきた。
そして辿り着いたクルマが、最終進化系とも呼ぶべき「モーターホームの利便性」まで兼ね備えた、現在のハイエースロングベースのバンコンだ。
購入後に様々な改良を加え、最長では夫婦で2ヶ月間に及ぶ長期の取材旅を支えてくれた「正真正銘のプロモデル」である。
快適車中泊のための、キャンピングカー入門ガイド
車中泊の位置づけは「手段」。 「目的」は生活ではなく、クルマ旅やアウトドアを愉しむこと。


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