25年のキャリアを誇る旅行家がまとめた、8月に青森県で開催される「青森ねぶた祭り」を、車中泊で見物に行くために役立つ情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
数万人に混じって見物する中で、満足できる結果を得るには、万全の準備が必要。

「青森ねぶた祭り」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2018.08.02~04
「青森三大ねぶた祭り」の現地調査は2018年8月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年7月に更新しています。
「青森ねぶた祭り」 見物の秘訣と駐車場&車中泊事情

まずは、「青森ねぶた祭り」を動画でご紹介。

「青森ねぶた祭り」の観客動員数は、例年約270万人から300万人と云われている。
人口約29万人の青森市に、1週間ほどでその10倍近い観光客が押し寄せるのだから、人の溢れようはちょっと想像がつかない。
「百聞は一見にしかず」ということで、まずはその様子を動画で紹介しよう。
祭りでは、最初に「ねぶた」とお囃子が登場し、その後に踊り子たちが続く。
この動画に登場する人たちを「青森ねぶた祭り」では”ハネト”と呼び、それぞれのチームの「ねぶた」に続き、独特の掛け声とともに踊りながら移動する。

おもしろいのは、旅行者でも「正装」すれば自由に参加することができることだ。
ちなみにハネとの「装束」は、スーパーに行けば手に入る。ゆえにハネトの数はおのずとどんどん膨れ上がる…
さて。
なぜ「ねぶた」の話を最初にしないのか?
そう思った人もあると思うが、

実は「青森ねぶた祭り」の会場では、主役はどちらかといえば「ねぶた」よりも、その陰で頑張る太鼓やお囃子の奏者であり、ハネトだと筆者は思っている。
ゆえに「ねぶた」は、その前の明るい時間帯に、近くでじっくり説明を聞きながら見るのがお勧めだ。
そしてそれができる施設が、ちゃんと用意されている。
「青森ねぶた祭り」の当日昼間の過ごし方

「青森ねぶた祭り」の本番は、「ねぶた」に明かりが灯る午後7時過ぎからなので、それまでの明るい時間に「予習」「食事」「入浴」「駐車場確保」「下見」の5つを済ませておくといい。
【予習】
ねぶたの家ワ・ラッセ

2011年にJR青森駅近くのウォーターフロントにオープンした「青森ねぶた祭」の博物館で、ねぶた祭の歴史や魅力を余すことなく紹介している。

ここでは実際にお祭りで使う「ねぶた」を保管しており、「青森ねぶた祭」の開催時期以外でも本物を見ることができる。

さらにスタッフが、個々の見学客に「ねぶた」の細かな説明をしてくれるので、「予習」をするには最適だ。
ねぶたの家ワ・ラッセ
☎0177-52-1311
入場料 おとな620円
5月~8月:9時~19時
(受付最終18時30分)
9月~4月:9時~18時
(受付最終17時30分)
8月9日・10日 休館
専用駐車場あり 普通車80台(有料)
※キャンピングカーには入庫規制があるので、公式サイトで確認を。
その他のお勧め観光スポット
三内丸山遺跡・縄文時遊館

「山内丸山遺跡」は、約5900年から4200年前の青森に栄えていた、縄文時代の大規模集落跡で、世界文化遺産「北海道・青森県の縄文遺跡群」の核とも云える構成要素として、2021年7月に登録されている。

見どころは、縄文時代の集落における象徴的な存在として、祭祀や集会などの様々な用途に使われたとされる、こちらの「大型掘立柱建物跡」だ。

現在の敷地に建っている、直径約2メートルの柱を使った、高さ15メートルの建物はダミーだが、「三内丸山遺跡」の「大型掘立柱建物」は、柱穴の直径や柱の間隔が一定であることと、柱を腐食から守るために、その根元を焦がすなどの工夫がなされていたことから、縄文時代の高度な建築技術を裏付ける貴重な遺構とされている。

もちろん館内には発掘品や、子どもにも親しみやすい展示がある。
「三内丸山遺跡」は、「ねぶたの家ワ・ラッセ」から約6キロ・クルマで15分ほど。
普通なら午前中は、この2ヶ所を周れば十分時間が潰せるだろう。
三内丸山遺跡・縄文時遊館
☎017-766-8282
入場料 おとな500円
9時~17時
(受付最終16時30分)
毎月第4月曜日 休館
専用駐車場あり 普通車500台(無料)
【食事】
お勧めは昔から地元で人気の行列店

ここでは「青森ねぶた祭り」を観るついでにちょうど良さそうという、地元で人気のお食事処「おさない」をご紹介。
「おさない」には駐車場はないが、「ねぶたの家ワ・ラッセ」から約350メートルのところにあり、歩いても5分ほどしかかからない。
なので先に「ワ・ラッセ」を観て、クルマをそのまま置いて食べに行くといい。「ワ・ラッセ」は有料駐車場なので、気にすることはないだろう。
また「三内丸山遺跡」にも行かれる人は、先にそちらから周るといい。

昭和の雰囲気が残る「おさない」の店内では、看板メニューのホタテを使った料理がランチでも食べられる。
店の公式サイトはないようなので、詳しくは懇切丁寧に説明してくれている、こちらのサイトを参考に。
こういう人には勝てません(笑)。
お食事処おさない
☎017-722-6834
営業時間
8時〜9時/10時30分〜13時30分/
16時〜19時
月曜 定休

その他で挙げるとしたら、青森ではこの「煮干しラーメン」が有名だ。
筆者が暖簾をくぐったのは「長尾中華そば」だが、これはさすがに濃厚で完食はままならず…
若者向けのラーメンという気がした。
【入浴】
こういう時こそスーパー銭湯

「青森ねぶた祭り」は真夏のイベントだけに、汗は毎日流したい。
という人が利用しやすいのは、市内にあるこのスーパー銭湯だと思う。ここには食事処もあるので、涼しいところでしっかり体力を温存することも可能だ。
ちなみに「Carstay」に加入している「極楽湯 青森店」では、普段から1泊3000円で車中泊を受け付けているようだが、「青森ねぶた祭り」期間中の料金はなんと1泊10,000円!
この時期に跳ねているのは、人間だけではないらしい(笑)。
極楽湯 青森店
☎0177-39-4126
おとな480円
6時~深夜1時
(最終受付 深夜0時20分)
基本 年中無休
【駐車場確保】
運行コースにかからない場所を選択

青森ねぶた祭実行委員会
「青森ねぶた祭実行委員会」公認の駐車場は、こちらのマップの通り。
乗用車が無料で利用できるのは、Cの「 サンロード青森(東側)10時~22時」だが、最寄りのねぶた運行コースまではクルマで約10分。
さすがにちょっと実用的とは思えない。
いっぽう有料になるが、個人の利用客が多いのは、Dの「青森操車場跡地北側(1回1000円11時~23時」で、こちらはねぶた運行コースまで徒歩約15分とまずまずだ。
しかも規模が大きく、慌てて早い時間から行く必要はないという。
公認駐車場を利用すれば心配はないが、それ以外のコインパーキングを利用する際は、ねぶたの運行コースにかからない場所にある駐車場を選ばないと、すべての予定が終了するまで、出庫ができなくなるので注意が必要だ。
また過去にはこのようなこともあったようなので、駐車前に必ず料金を確認しよう。
「下見」
祭り見物の一等地は交差点

こういうビッグイベントでは、少なくともどこで見るのがベストかを知り、そのうえで見物の方針を決めるのが常道だ。
どの「ねぶた祭り」でも交差点付近で見るのがいちばんおもしろいのだが、山車を回転させたり傾けたるする「青森ねぶた祭り」は、特にその傾向が強い。
できれば駐車場を確保する前に、どこの交差点がベストなのかを現地で確認するのがいちばんだが、そのためにはクルマをどこかに停めなければならないので、ここではあえてそこは妥協し順番を入れ替えた。
というのは、
筆者が取材した2018年当時は、現在と運行コース自体は変わらないが、進行方向が逆向きだった。

そのため当時は出発地点に近かった「ホテル青森前」が最適だったが、現在の周り方だと終盤になるため、ここで観ると車中泊地に向かうのが遅れてしまうことから、最適ではなくなってしまった。

青森ねぶた祭実行委員会
それからすると、現在は「本町寺町通り」から「八甲通り」に右折する「協働社ビル」の交差点が、理屈上はベストになる。
なお写真が撮りたい人は、見たい「ねぶた」を自由に追える立見のほうがいい。
とはいえ、祭り開始からでも2時間、その前の場所取りを含めると、4時間近くは立ちっぱなしになるのは辛い。

座って見るいい方法は、ねぶた運行コースの国道沿いに陣取ることだが、観光客が場所取りができるのは、通行止めが始まる少し前からだ。

現在は、そういういい場所はほぼ「有料観覧席」になっている。
有料観覧席の場所とチケットの購入方法について書かれた公式サイトはこちら。
しかし見づらいね~。
だからこういう解説サイトが必要ということになる。
もっとも、この地元の人が云っているように、青森県民はそういうことにお金を払う価値観を、あまり持ち合わせていないようで、それには大阪府民も同感だ(笑)。

最後に。
気になる雨天の場合だが、少々の雨であれば「ねぶた」にビニールをかぶせて、祭りは行われる。
「青森ねぶた祭り」見物後のお勧め車中泊スポット

青森市内には道の駅がないため、最寄りの車中泊スポットは約16キロ・クルマで30分ほどのところにある「道の駅ゆ~さ浅虫」になる。
併設する温泉が朝7時から営業しているのは嬉しいが、ネックは場所が五所川原、弘前方面とは逆方向になることだ。

筆者は翌日に「弘前ねぷた祭り」を見る予定だったので、青森から約25キロ・国道で40分ほど南下した「道の駅なみおかアップルヒル」で車中泊をした。
ただ祭り終了後、わずか1時間ほどで道の駅の駐車場はほぼ満車に。
祭り終了後、いかに速やかに会場から退散できるかが、最後の最後に効いてくる。
今の「青森ねぶた祭り」は、本当におもしろいのか?

筆者が取材した2018年の後、日本政府が観光に力を注いだことから、インバウンドが大量に訪れるようになったかと思えば、今度は世界中がコロナ禍に苛まれたため、本当のトレンドは分かりづらいのだが、
「青森ねぶた祭り」の観客動員数は、ピークだった1997年の約380万人から年々減少傾向にはあるようだ。
2019年:285万人
2022年:105万人(3年ぶりの開催)
2023年:98万人(2019年比3万人減)
2024年:約98万人
下のサイトにその詳しい原因分析が記されているのだが、初めて見物した筆者もそれを肌で感じた。
「あ~なるほど、この祭りは東京が作った一大ローカルイベントなんだ」。

<以下は2016年に発表された、青森 オンライン最新情報からの転用>
JR東日本、日立製作所、マルハニチロ、東芝、パナソニック…
運営の都合から一度の祭りに22台しか作られない大型のねぶたには、企業名の入ったプレートがつく。
祭りは毎年大手のメディアが取りあげるため、PRの絶好の場だ。
スポンサー企業は、ねぶたの製作費や人件費、祭りの運営費用などを負担する代わりに、自社のネームプレートを掲げる権利を得ている。
ねぶたの製作費は1台あたり500万円程度だという。

確かにこの日筆者が青森で見たのは、一昔前に都会で流行った「パッケージ・イベント」そのものだった。
ゆえに誰もが冷めた感じで、「夏祭り独特の熱気」が希薄に思えたのだろう。
さらにその感想は、後日「五所川原立佞武多(たちねぷた)」を見て確信に変わる。
「青森」になくて、「五所川原」に在ったもの… それは「おらが町の祭り」という地元の民の自負だった。

確かに大手企画会社とマスコミが組めば、若いお嬢ちゃんをモデルチックに仕立てるくらい朝飯前に違いない。
行政は何もしなくてもいい、いや「何もしないほうがいい」(笑)。
だが、その娘が持つ天性の可愛らしさは影を潜め、マニュアルで縛り付けた「借り物の猫」になる。
それにボクシングの世界戦で、ラウンドガールがちょっと露出の多いコスチュームを着ただけで、バッシングされるような時代に、「ミスねぶた」って要るの?
筆者は「青森ねぶた祭」がつまらないとは云っていない。
広告代理店の仕掛けがなければ、「青森ねぶた祭」がここまでメジャーになることはなかったわけで、その運営方法が現代の日本人の価値観にマッチしなくなりつつあるというだけだ。
当面はインバウンドで凌げるだろうが、その間も日本人の旅人はきっと減り続けるのだろう。
貧富の差が大きくなり、100万円のプレミアムシートが完売して、祭りの運営が黒字化できたとしても、このままだと「弘前」と「五所川原」には行くけど、「青森」には行かないという人が増える気がしてならない。
車中泊で行く、青森三大ねぶた祭り

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