車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、千年の秘湯「蔦温泉旅館」の魅力をご紹介。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
奥入瀬渓流の近くに佇む「蔦温泉旅館」は、際立つ風情に加え、著名人のエピソードも興味深い”千年の秘湯”。

蔦温泉旅館 DATA
蔦温泉旅館
〒034-0301
青森県十和田市奥瀬蔦野湯1
☎0176-74-2311
大人1000円
10時~15時(受付最終14時30分)
「蔦温泉旅館」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.08.30
2013.11.20
「蔦温泉旅館」での現地調査は2013年11月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年10月に更新しています。
蔦温泉旅館
蔦温泉旅館のロケーション

出典:環境省
「奥入瀬渓流館」から約6キロのところに建つ「蔦温泉旅館」は、十和田樹海と呼ばれるブナの原生林の中にある。

宿の周囲には「蔦の七沼」と称される湖沼群が点在しており、散策路として「蔦沼めぐり自然研究路」と「野鳥の森めぐり」の2つのコースが整備されている。

その無料駐車場にはトイレがあり、かつては車中泊も可能だったが、近年は紅葉の時期のみ規制が行われており、規制期間中は前日の20時から当日午前4時50分まで、蔦温泉宿泊者以外の駐車ができなくなっている。

駐車スペースは未舗装だが、フラットで車中泊に支障はない。
蔦温泉旅館

大正7年に建築された「蔦温泉旅館」本館。
日本百名湯にも選ばれている「蔦温泉」は、日本に30ヶ所しかない足元から自噴する「源泉湧き流し」の温泉で、発見は平安時代の1174年とされている。
お湯は無色透明で無臭。
pH値は6.9でほぼ中性だが、保湿成分のメタケイ酸の含有量は174.3ミリグラムと豊富で、美肌効果が期待できる。

そして嬉しいことに、日帰り客も「久安の湯」と「泉響の湯」に入湯できる。

ただし「久安の湯」は、もともと旅館棟専用の混浴風呂だったため、浴場がひとつしかなく男女時間入れ替え制になっている。
女性:10時~12時/21時30分~翌朝8時
男性:13時~21時

いっぽうこちらは、天井まで12メートルの高さを誇る「泉響の湯」。
名前は文豪「井上靖」が来館した際に、「蔦温泉」の雰囲気を「泉響颯颯」(せんきょうさつさつ=泉の響きが風の吹くように聞こえてくるの意)と詠ったことに由来するという。
かつては湯治棟専用の混浴風呂で、4 メートル×8 メートルという大浴場だったが、1996年(平成8 年)に改築し、現在は男女別になっている。
また、湯船の脇にはシャワー室もある。
蔦温泉にまつわるエピソード

「大町桂月」が愛した旅館
十和田湖や奥入瀬渓流の美しさを世に広め、心奪われる流れや滝・岩に名前をつけた明治時代の紀行作家「大町桂月」は、この温泉をこよなく愛し、晩年は本籍を土佐よりこの地に移して、終のすみ家にした。
「桂月」の墓は、今も「蔦温泉旅館」の敷地の中にある。

出典:蔦温泉旅館
「蔦温泉旅館」は、その「大町桂月(1869 ~ 1925年)」の没後90年となる、2015年6月に資料館を開館。
「桂月」の足跡や「蔦温泉」が所有する掛け軸などを紹介している。
入場無料
開館時間:7時~21時
※日帰り客は入浴営業時間のみ
名曲「旅の宿」の舞台
昭和44年に新婚旅行で訪れた作詞家「岡本おさみ」が、別館客室のイメージをもとにしたためた一篇の詩が、フォークシンガー「吉田拓郎」の手にわたって、完成したのがこの曲だ。
筆者にとって、こういう話はどんな名物料理よりも記憶に残る。
「今度はひとつ泊まってみようかな」という気にさせてくれる名宿だった。
「蔦温泉旅館」のアクセスマップ
十和田・奥入瀬・八甲田山
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