この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
温泉が併設する「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」は、加賀温泉郷にある唯一の道の駅
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」のロケーション
まず、山中・山代・粟津・片山津の4つの温泉地からなる「加賀温泉郷」の中で、道の駅があるのは山中温泉だけ。それぞれがクルマで30分ほどで行ける距離にあるとはいえ、それはちょっと寂しい話だ。
全部とまでは云わないが、往々にして車中泊の旅人は「温泉」という言葉に弱い(笑)。ゆえにその日の宿を決める際に、道の駅の名前に「温泉」がついているかどうは、大きなファクターになる。
通りすがりにせよ、狙い撃ちにせよ、それはたぶん同じ話に違いない。
能登半島に腐るほど道の駅を作っておきながら、「加賀温泉郷」にはなぜひとつしかないのか… まことにもって、石川県の観光行政は謎だらけ、ロスだらけというしかない(笑)。
さて。西から来ると最初の温泉地にあたる「山中温泉」は、その名の通り温泉街は山に囲まれ、一帯は「鶴仙渓」と呼ばれる景勝地になっている。
大聖寺川沿いは遊歩道が整備され、「こおろぎ橋」からユニークな形の「あやとり橋」を渡ると、自然にメインストリートの「ゆげ街道」に戻ってこれる。
一時期は歓楽温泉として発展したが、その後景観整備が進み、歩いて楽しい現代風の温泉地に変貌を遂げた。
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」の施設
さて。「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」は、1990年12月に開業した温泉施設「ゆーゆー館」の周辺を整備し、2005年3月に道の駅になった経緯を持つ。
近年であれば「山中温泉の玄関」という位置づけになるのだろうが、当時の道の駅にはそういう概念が薄く、「健康村」という名前の通り、プールとテニスコートを併設する、住民向けのスポーツ施設がメインだ。
しかも温泉街が進化している山中温泉の中で、ここだけ変わっていない。
そんなわけで、売店はずいぶん年季が入っている(笑)。
現在は「ヤマザキYショップ」が中にできて多少はマシになっているものの、あいかわらず食堂の類は「ゆーゆー館」にあるだけだ。
今度は駐車場と車中泊について。
メイン駐車場は、写真の左側ほど傾斜がきつく、車中泊には比較的平らな右側、つまり温泉寄りの位置がいい。
トイレはウォシュレットまで備えていないが洋式。冬以外なら、道の駅にトイレと駐車場しか求めない人には、それに温泉が併設しているのだから十分満足できると思うが、冬は便座が冷たくて辛い。
また、「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」には可燃物のゴミ箱もない。
さらに、キャンピングカーには注意しなければならない点もある。
以前にはなかったのだが、2020年9月に訪ねた際には「奇妙な看板」が立てられていた。
この看板からは「キャンピングカーが、なぜ夜6時から翌朝9時まで駐車禁止」になるのかが、よくわからない。
もしキャンピングカーはアイドリングをするので、ここでは夜間駐車禁止ということなら、アイドリングが迷惑なのは普通自動車も輸送トラックも同じであって、ただの偏見か差別ということにはならないのか? またサイズで云っているのなら、軽キャンパーはどうなるんだ?
こちらが、キャンピングカーに指定されている駐車場。特に悪くはないのだが、奥に見えるクラブハウスのトイレは11時に閉まる。
クルマにトイレがない、あるいはクルマのトイレを使いたくない中高年の車中泊の旅人には、いささか困った話。
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」は、温泉施設の「おまけ」という意識がありありと見える、「車中泊旅行者セカンド」といえる道の駅だ。
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」の車中泊好適度
道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村 オフィシャルサイト
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」の温泉
ゆーゆー館
おとな580円
10時~22時・火曜定休
「道の駅 山中温泉 ゆけむり健康村」周辺の買物施設
コンビニ
駅舎の中に「ヤマザキYショップ」がある。また約1キロのところにファミリーマートもある。
スーパーマーケット
「マルエー山中店」まで約1.5キロ。