「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
「走り湯」は観るだけでなく、入湯できる施設もある。
伊豆山温泉の泉源「走り湯」【目次】
「走り湯」とは
「走り湯」は、洞窟のように横穴式に掘られた、熱海の山手にある「伊豆山温泉」の泉源で、ここでの入湯はできないが、お湯がボコボコと吹き出す井戸の見学は無料でできる。
テキストと写真だけでは、ピンと来ないと思うので、「伊豆温泉ジオパーク」が制作した動画で中の様子を紹介しよう。
さすがはプロが撮影しているだけあって画質はクリアだ。
だが実際の洞窟の中はサウナのように暑く、特に冬は蒸気でカメラのレンズはもとより、メガネやスマートフォンまで曇ってしまうので注意しよう。
今度は「走り湯」の由緒について。
まずは名前だが、かつてはここから70℃近い源泉が、毎分900リットルも噴き出し、それが海岸に向かって、まるで走るがごとく流れ落ちていったことから、「走り湯」と呼ばれるようになったそうだ。
ただ乱掘により、現在は毎分180リットルにまで湧出量が低下しているという。
ネットで検索すれば分かるが、「走り湯」は多くの資料に「道後温泉」「有馬温泉」と並ぶ「日本三大古泉」のひとつと紹介されている。
だが熱海以外で「日本三大古泉」といえば、「道後温泉」「有馬温泉」の次は「走り湯」ではなく、和歌山の「白浜温泉」になるようだ。
確かに「白浜温泉」には、日本最古の露天風呂と伝わる「崎の湯」があり、平安時代には熊野詣の折に、上皇が沐浴したという記録も残る。
どっちでもかまわないのだが(笑)、そもそも「熱海温泉」ではなく「走り湯」というのが怪しく、それなら残りの2つも「道後温泉本館」と「崎の湯」になるはずだから、この話は「海中から湧き出た熱湯を村人が見つけた」という熱海開湯の伝承と同じく、「かけ流し」でいい(笑)。
ただ「走り湯」には、奈良時代の720年に、吉野の行者「役小角(えんのおづぬ)」によって発見されたという伝承があるくらいなので、当時から伊豆山神社の神湯として信仰され、源頼朝や徳川家康らの武将が、その霊験あらたかなお湯で身体を清めたという話には信憑性を感じる。
「走り湯」の駐車場とマイカーアクセス
「走り湯」の洞窟と足湯のまわりには、専用の駐車場も民営の駐車場もない。そのため、観光客は「走り湯」の看板のある道に路場駐車をしているようだ。
幸いにも「走り湯」の前は駐車禁止になっておらず、道幅もそこそこ広い。なので、短時間なら駐停車は可能だ。
「走り湯」の見学は5分ほどで済むと思うので、できるだけ通行量の少ない時間帯を選び、できればひとりがクルマに残って、交代で見学に行くような配慮を心がけよう。
「走り湯」に入湯できる温泉施設 3軒まとめ
さて。最後にその「走り湯」に日帰りで入湯できる施設をご紹介。
温泉ホテルでは、
ハートピア熱海
☎0557-80-4050
おとな920円
10時30分〜16時(受付最終15時)
リーズナブルで穴場的な存在なのは、
伊豆山研修センター
☎0557-80-5018
おとな500円
10時~16時(最終受付15時)・毎週月曜・木曜定休
一番安く利用できるのは
伊豆山浜浴場
☎0557-80-0210
おとな350円
14時30分〜21時30分・木曜定休
駐車場あり
ただし伊豆山地区は、2021年(令和3年)7月に発生した土石流で被災しており、「伊豆山浜浴場」は源泉が土砂に埋まってしまったため、温泉のくみ上げが出来ず休業中で、9月現在も復旧の目途は立っていない。
行かれる前には、こちらのサイトで復旧状況を確認するか、電話で状況を確認するほうがいい。
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