この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
出かける前に知っておきたい、「河津桜まつり」を車中泊で楽しむための必須情報
車中泊で行く、河津桜まつり【目次】
「河津桜まつり」の概要と混雑するワケ
「河津桜まつり」は、期間中に150~200万人の花見客が訪れるという、伊豆最大の観客動員イベントで、毎年2月上旬〜3月上旬にかけて河津町で開催される。
河津川堤の桜が近い将来、見られなくなる?
「河津桜まつり」は、河津川沿いに植えられた桜並木を愛でながら、一足早い春を感じることに風情を感じてきたのだが、その桜並木にいま寿命が迫ろうとしている。
河津桜の樹齢は60~70年と云われているが、河津川堤の木は植樹から50余年を経ており、木の衰えが顕著になりつつある。
だが、現在の河川法のままでは、規制で木の植え替えが許可されない。
県と町は並木を市街地まで延ばすことで対応策を検討をしているというが、前述のとおり、川沿いにあっての「河津桜まつり」だけに、今後経済効果と治水のバランスをどう取っていくかに注目が集まっている。
ということは… この問題に明るい方向性が見えないかぎり、来年以降はさらに「見納め」を望む観光客が押し寄せる可能性が高くなる。
そこで考えたいのが、混雑回避と無理・無駄のない観光法だ。その点で車中泊が有効なのは間違いない。
渋滞を回避する最善策
週末に出かけるなら、関東方面からは、せめて夜のうちに温泉が併設する「道の駅マリンタウン伊東」までは来ておきたい。
いっぽう東海方面からは、「道の駅 天城越え」がターゲットになる。
伊豆半島の中央を貫いている国道414号沿いには、2019年12月に「道の駅 伊豆月ヶ瀬」が新しく開業しているが、ここは駐車場が著しく傾斜しており、車中泊には適していない。
ただし、これらの「前泊地」から翌朝6時には河津に向けて出発しないと、桜まつりの駐車場手前で渋滞に捕まる。
早起きが難しければ、前夜のうちにあと1時間頑張って走り、会場まで到着してしまうほうがいい。
なお、平日はそこまで頑張らなくても、「河津桜観光会館」周辺の駐車場にクルマを停めることができる。
平日でも会場には人が多いのだが、どうやら大半はバスツアー客のようだ。
「花見」と「お祭り」は、分けて考えるほうがいい
さて、本題はここから。
筆者の作戦は、「花見」と「お祭り」を分けて考えることにある。
そもそも、河津桜とは…
「河津桜」のルーツは、カンヒザクラとオオシマザクラの自然交配と考えられており、ソメイヨシノに比べると少し大きめで、濃いピンク色をしているのが特徴だ。
その歴史は1955年(昭和30年)頃、河津町田中の飯田氏が偶然見つけた苗を植えたのが始まりとされている。
原木が河津で見つかったことから、1974年(昭和49年)に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名され、1975年(昭和50年)には河津町の木に指定された。
実は現在、「河津桜」の植樹は伊豆半島全域に広がっており、花を見るだけなら河津町まではるばる足を運ぶ必要はない。
むしろ西伊豆や稲取、あるいは修善寺などのほうが、写真としては面白いカットが撮れる。
お馴染みのこの風景も、南伊豆の下賀茂温泉に行けば見ることができる。
つまり「花見」の観点からすると、河津町でしか見られないのは、原木とこの桜のトンネルくらいだ。
それらを考慮して、作成した「河津桜まつり」のお勧め散策ルートがこちら。
2時間もあれば見て歩ける内容なので、到着したらさっそく「花見」にでかけよう。
正直云って今の「河津桜まつり」は、「花見」よりも「お祭り」を楽しみに行くところだと思う。
たとえば「河津桜まつり」は、たこ焼きやりんご飴のような定番のテキ屋が並ぶのではなく、ちょっと他では見ない「大人向け」の地元グルメを扱う屋台が多い。
また最近は地元以外の名物グルメの店も多く出店しており、屋台の食べ歩きは河津桜まつりの「新しい顔」になりつつある。
車中泊1泊2日で満喫する「河津桜まつり」モデルプラン
最後は「車中泊で行く、河津桜まつり」の、1泊2日にわたるリアルなモデルプランを紹介しよう。
1.前泊
前述したように、翌朝には桜まつりの会場に到着できる場所まで来ておくほうが余裕が持てる。
2.午前中
空いているうちに、下の記事を参考に河津川堤の見どころをまわる。
3.午後
桜まつり会場で昼食を済ませたら、クルマで「河津七滝駐車場」に移動し、滝めぐりを楽しむ。
4.夕方
クルマで近くの「湯ヶ野温泉」に移動し、川端康成ゆかりの温泉宿「福田家」で汗を流す。ただし入浴時間は16時まで。
5.夜
再び「河津七滝駐車場」に戻って車中泊。
なお周辺に食堂はあるが、どこも17時頃に閉店となるようだ。そのため夕食は、温泉入湯後に河津市内で買い出すか、レストランなどで済ませてくるといい。
6.翌日
南下するなら下田がおもしろい。
逆に北上するなら、稲取に立ち寄ってみていただきたい。
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