25年のキャリアを誇る車中泊旅行家が、熱海の車中泊旅行者に適した日帰り温泉と車中泊事情・車中泊スポットを紹介しています。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
車中泊旅行者が落ち着ける居場所は、JR熱海駅から離れた親水公園から銀座通り。
車中泊で行く熱海の楽しみ方【目次】
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熱海の歴史と現在
海中から湧き出た熱湯を村人が見つけた…
という熱海開湯の伝承は、約1500年前の仁賢(にんけん)天皇の時代に遡るという話もあるが、とりあえずそのあたりは「かけ湯」のように聞き流そう(笑)。
熱海の湯殿にどっぷり浸かって聞くべきは、江戸時代以降の話になる。
熱海温泉をこよなく愛した歴史上の人物といえば、江戸に幕府を開いた「徳川家康」が有名だ。
さらに3代将軍・徳川家光は、現在の熱海市役所がある場所に湯治用の御殿を造らせ、4代徳川・家綱以降が、熱海の湯を江戸城まで運ばせる「御汲湯」(おくみゆ)を行ったことで、熱海の温泉は「将軍御用達の湯」として、日本中に広くその名が知れ渡った。
明治時代に入ると、皇族と政財界の重鎮が熱海に別荘を構えて滞在したり、著名な文人墨客が移り住んで数々の名作を書き上げていくが、徳川家康級の貢献を果たしたのは、女流作家の「樋口紅葉」だろう。
1897年から6年間にわたり、読売新聞に断続的に掲載された「金色夜叉(こんじきやしゃ)」の中で、熱海海岸は主人公の「貫一とお宮」が泣いて別れる舞台として描かれ、二人を実在人物のように想う人々が、熱海を訪れるきっかけとなる。
「貫一・お宮の像」は、それから100年以上が経過した今でも、「金色夜叉など読んだこともない人たち」の記念撮影スポットとして生き続けているからおもしろい。
さて。
東海道新幹線が開通したのは、日本の高度経済成長期と呼ばれる1964年。
それと前後して伊豆スカイライン・熱海ビーチラインなどの道路整備が進むと、1969年に熱海の年間観光客数は、ピークの532万人に到達する。
その結果、熱海は「ハネムーンのメッカ」としての地位を不動のものとするのだが、その後は「オイルショック」や「バブル崩壊」などの経済不況で、客数が激減したまま時が流れ、東日本大震災があった2011年には、ついに年間客数が1969年の半分以下まで落ち込んでしまった。
それから、苦節10年…
現在の熱海は「古びた昭和の温泉街」から、「お洒落で便利なリゾート地」への脱皮が進み、再び若者たちから支持されるモダンな温泉街に変わりつつある。
だがそれは、海沿いから少し離れたJR駅前の話だ。
熱海の繁華街は山手にある
行ったことがある人ならご存知だと思うが、熱海の繁華街は、坂が多いうえに、曲がりくねった道や路地の多い山の手地区にある。
駐車場が揃った熱海の海岸沿いから駅前に行くには、驚くほどの大回りをして車道沿いの坂道を歩くか、このような階段を10分近く登る必要がある。
ゆえに筆者は勧めない(笑)。
電車で来た若い観光客は、この景色を見るために駅前からビーチまでを往復するのだが、中高年が車中泊で熱海を楽しむのに、わざわざ息を切らして駅に通じる「昭和通り」や「仲見世通り」まで行く必要性は感じない。
実は熱海には、もう1本「銀座通り」と呼ばれる商店街があり、この道は車中泊ができる「親水公園」界隈から近いうえに、これから紹介する「日航亭大湯」に通じているので、その道中で飲食も楽しめる。
以上の話をマップで示すとこうなる。
左のブルーのラインが車中泊旅行者にお勧めの散策コースで、右手のグリーンのラインが電車で来た旅行者が通る道だ。
いずれも地図の上に向かって、けっこうな上り坂になっている。
熱海で行っておきたい2つの温泉
熱海まで来て、まったく温泉に入らずに帰るというのは「論外」だと思うので、とりあえず2つの温泉を紹介しておきたい。
1つ目は「走り湯」と呼ばれる、珍しい洞窟のような横穴式になった「伊豆山温泉」の泉源だ。
「走り湯」は、見学は自由にできるが入湯はできない。その代わりに近くに日帰り入浴のできる施設がある。
もうひとつは熱海温泉の共同浴場のひとつで、徳川家康が湯治に利用していたと云う「日航亭大湯」。
現在、熱海には5軒の共同浴場(公衆浴場)があるのだが、駐車場があって広々とした露天風呂で寛げるのはここだけだ。
熱海の車中泊事情&車中泊スポット
熱海で車中泊がしやすいのは親水公園界隈で、ここには2つの市営駐車場と何軒かのコインパーキングが揃っている。
写真は「第1親水公園駐車場」。
こちらが隣接するスカイデッキで、まさにオーシャンビューの一等地だ。
しかも「サンビーチ」や「銀座通り」、さらにはお勧めした日帰り温泉の「日航亭大湯」にも歩いて行ける、車中泊にはこのうえないロケーションにある。
収容台数 普通車/50台
料金 30分100円(8~16時間が一律1,600円、それ以上は全て1時間100円)
目印 渚町:親水公園スカイデッキ
隣接する親水公園の公衆トイレ。便座は洋式だが、ウォシュレットまでは用意されていない。
「第1親水公園駐車場」は24時間出入りができて、夜間は割引料金になるので車中泊に適しているのだが、車高2.2メートルまでしか入れない。
こちらは親水公園から100メートルほど離れたサンビーチの前にある、普通車260台を収容できる「タイムズ熱海市営東」で、大型車も入庫ができる。
また車中泊時は、さきほどの公衆トイレが利用できる。
以下はタイムスのホームページの転用
- 大型車は事前予約可能です。駐車場管理事務所「0557-82-0451(9時~18時)」までご連絡ください
- ※空きがあれば予約無しでも駐車可能です。※大型車は北側ローソン横の第2ゲートから入庫してください
いっぽう、こちらは公衆トイレの近くにある高さ制限のないコインパーキングで、実は特定日を外せば、駐車料金はこちらのほうが格段に安い。
ショウワパーク熱海サンビーチ前
通常日 0:00~24:00 60分¥200
特定日 0:00~24:00 30分¥300
最大料金 全日 入庫後24時間¥700(繰返し有)
※特定日は最大料金なし
24時間営業
収容台数 9台
他にも探せば、似たような条件を持つ民間のコインパーキングが見つかると思うが、筆者はそこまで詳しく調査をしていない。
なぜならここで大事なのは、そこまでして熱海で車中泊をする必要があるのかどうかだからだ。
この記事は「熱海旅行」ではなく「伊豆半島一周」を念頭に置いたもので、ここまで紹介してきた内容なら、日帰り入浴と食事を間に挟んだとしても、熱海は1日あれば十分に見てまわれる。
筆者は「車中泊スポットは、どこをどう旅する時に有効な”旅の宿”になりえるのか」を主眼において、掲載するかどうかを決めている。
であれば、団体客や電車の旅行者で潤う熱海の温泉街に留まるより、伊東温泉まで南下するか、せめてその手前にある「長浜海浜公園」の無料駐車場での車中泊を選択するほうが居心地はいい。
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