この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
真鶴の楽しみ方は、「オーシャン・ドライブ」と「岩礁散策」の2つに分かれる。
真鶴半島【目次】
真鶴半島のロケーション
小田原から約17キロ・25分のところに位置する「真鶴」は、湘南方面から伊豆半島を南下する際に通る最初の観光スポットだ。
だが、その楽しみ方をうまく伝えている観光ガイドが、なかなか見当たらないというより皆無に等しい(笑)。
おかげで筆者は「真鶴」を理解するのにずいぶん時間を要したのだが、その最大の理由は、「相容れない2つの楽しみ方があるから」ということに行き着いた。
端的に云うと、ひとつは「真鶴ブルーライン(真鶴道路)」のドライブで、車窓から相模湾の風光明媚な景観を愛でる。
ただし、「真鶴道路」はそのまま走ると「真鶴半島」をトンネルでスルーしてしまう。
そのため半島の先端に行くなら、「真鶴トンネル」手前の「岩インター」で降り、県道739号に乗り換える必要がある。
このことを知らないと、もうひとつの楽しみを味わえないまま熱海に着く。
もうひとつの楽しみとは、真鶴半島の先端にある岬を目指し、そこから徒歩で「三ッ石」と呼ばれる名勝を見に行くこと。
公共交通機関によるアクセスが不便なせいか、「るるぶ」にも載せてもらえない「真鶴岬」だが(笑)、一帯は筆者が生まれる以前の1954年に県立の自然公園に認定された、古くからの景勝地である。
ということで、ここからはその2つの楽しみについて詳しく紹介していこう。
真鶴ブルーライン(真鶴道路)
「真鶴ブルーライン(真鶴道路)」は、神奈川県南部の湯河原町から真鶴町を結ぶ有料道路のことで、全線が国道135号に指定されている。
正式名は「真鶴道路」で「真鶴ブルーライン」は愛称だが、一般的にはイメージが湧く愛称のほうが浸透しているようだ。
「真鶴道路」には、ガイドブックで「絶景」という表現がよく使われている。
景観がいいのは上のマップのB区間で、小田原方面から熱海に向かう際には、ビーチに次々と波が打ち寄せる光景を見ることができる。
しかし小田原行きの車線が邪魔で、その光景を写真に収めるのは不可能に近い。
この写真は熱海から小田原に向かう時に見える景色で、こちらからはビーチは見えず、代わりに「真鶴道路」がよく見える。
ということを念頭に置いていただき…
このハイウェイについては、筆者がクドクド説明するより、まさに”一目瞭然”といえる、神奈川県道路公社が作成した素晴らしい映像があるので、それをご覧いただくのが一番いい(笑)。
マイカーで伊豆半島にアクセスする車中泊の旅人には、真鶴ではこちらを優先されることをお勧めする。
ちなみに「真鶴道路」の通行料金は普通車で200円。通行区間にかかわらず一律となっている。
そりゃ、走らな損ですな(笑)。
なお「真鶴道路」は、首都圏と伊豆半島東岸を結ぶメインルートになっているため、ゴールデンウィークや夏休みの週末は、午前の下り線および午後の上り線が、激しい渋滞になることは目に見えている。
その時期に通るなら早朝を狙うのが賢明だが、2021年9月時点の湘南には、手頃な車中泊スポットがないのがつらい。
本来なら有料道路の「西湘バイパス」上にある「西湘PA・下り線」がお勧めだが、2019年10月に台風19号で被災して以降、未だに復旧されていない。
写真は被災前のもので、筆者は実際にここで泊まって、翌朝「真鶴ブルーライン」をドライブしている。
ただ2021年にようやく復旧工事が始まり、完全リニューアル工事の終了予定は2022年5月になっているので、それまでの辛抱だ。
また茅ヶ崎にも道の駅開設の計画があるので、数年後には環境がずいぶん変わっていることだろう。
神奈川県立真鶴半島自然公園
相模湾に突き出した真鶴岬は、樹齢350年以上とも云われるクロマツやシイ、クス等の巨木が生い茂る、豊かな森と海に恵まれた自然公園で、遊歩道が整備され、名勝「三ッ石」がある海岸まで徒歩で降りて行くことができる。
カフェがある展望台付近から見た「三ッ石」。
こちらは覚悟を決めて長い階段を下り、海岸まで出て撮った写真。
この風景は「かながわ景勝50選」に選ばれており、いい具合に干潮時に当たれば、「三ッ石」まで辿り着ける。
遊歩道の手前には、2020年にリニューアルされたばかりの、貝の博物館を兼ねるレストハウス「ケープ真鶴」がある。
真鶴岬は釣りのスポットとしても有名で、車中泊もできるようだが、リニューアル後に「ケープ真鶴」前の駐車場は、24時間1000円の有料となった。
ここは1時間でも1000円取られるので、散策するだけなら「ケープ真鶴」に着く手前にある、無料の「お林駐車場」を利用するほうがいいだろう。