この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
まちなかに残る「日本の原風景」を見て歩く。
高山観光の概要&車中泊スポットガイド【目次】
高山のロケーション
高山観光の話を始める前に、まずはそのロケーションを確認しよう。
高山の町は「奥飛騨温泉郷」と「白川郷」のほぼ中間に位置している。
「奥飛騨温泉郷」の「平湯バスターミナル」から「高山駅」までは約35キロ・50分、いっぽう「道の駅白川郷」からは46キロ・高速道路で50分。
高山は小さな町で、普通に市街を見て歩くだけなら半日あれば楽しめる。
つまり白川郷と高山を抱き合わせる場合は、午前中に白川郷を見て昼頃に高山に到着する、もしくはその逆が理想的なスケジュールになるし、それは奥飛騨温泉との抱合せでも変わらない。
いずれにしても昼食には、飛騨牛から高山ラーメンまでいろいろ揃う高山のほうがお勧めだろう。
高山の主な見どころ
江戸時代以来の城下町・商家町の姿を残した高山は、その景観から「飛騨の小京都」と呼ばれ、これまでに二度「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で3つ星を獲得してきた。
とりわけ人気なのは、高山市の中心部に位置し、俗に「さんまち」と呼ばれる「重要伝統的建造物群保存地区」だが、ここで気になるのが高山の歴史だ。
城下町・高山の基礎を築いた武将は、「金森長近(かなもり ながちか)」
戦国時代の武将「金森長近」は、織田信長に仕え、斎藤氏攻略戦などで活躍した人物だ。
その後柴田勝家の与力となるが、勝家が滅ぼされたのちは羽柴秀吉に従い、天正13年(1585年)に飛騨国を与えられる。
だが、慶長5年(1600年)の関ヶ原の合戦では徳川家康に味方し、戦後は飛騨高山の藩主となって、高山城の築城と、京の町並みを手本にした碁盤状の城下町や、寺社の建築を進めていった。
それが、高山が「飛騨の小京都」と呼ばれる所以である。
また「金森長近」は茶の道に通じ、千利休らに茶の湯を習うなど、文武を両立した賢い武将としても知られている。
1692年(元禄5年)、江戸幕府の命令で金森氏は出羽国(現在の山形県と秋田県の一部)の上山に国替となり、飛騨国は明治を迎えるまで幕府直轄領となる。
直轄領とは幕府が直接支配した土地で、飛騨が直轄領になった理由は明らかではないが、その豊富な山林資源が背景にあったと云われている。
さて。その当時の町割りが残る「さんまち」は、上一之町・上二之町・上三之町・下一之町・下二之町・下三之町の6つの町から構成されていて、「さんまち通り」というのは、「上三之町」に面した通りを指している。
だが今は、日によってメインストリートの「さんまち通り」は原宿化する。
そこで若者達が求めているのは、クレープではなくコレ。
いやはや「食べログ」恐るべし。
今では高山のみならず、白川郷でも見られる「飛騨牛の握り」を考案した人物の功績は計り知れない(笑)。
だが同じ「重要伝統的建造物群保存地区」でも、下一之町・下二之町・下三之町は、見どころが地味なせいか、若者が少なく比較的静かだ。
ここには、本当の日本を愛する外人さんもやってくる。
おとなの高山観光のテーマは「匠」。
高山の観光資料をみると、「町屋建築」「民芸品」あるいは「グルメ」のように、その見どころを「縦割り」で紹介しているものが大半を占めている。
だが、旅行者は同じ類のものばかりを見て歩くわけじゃない。
つまり、それらを串刺しにする「横割りのテーマ」を見つけなければ、観光に厚みが出てこない。
高山には名工建築を筆頭にした、「匠」という素晴らしいテーマがある。
そして「匠」をテーマにすれば、伝統建築だけでなく、現代のアートな雑貨や、高山ラーメンのようなソウルフードも、その対象に加えられる。
旅のテーマというのは、磁石のようなものなのだ。
高山の車中泊事情と車中泊スポット
続いて車中泊のお話。
高山の市街地から10 キロほど離れた、中部縦貫自動車道「高山西インター」のそばに「道の駅ななもり清見」がある。
ここは無料でゴミ箱も備わっているのだが、駐車場が全体的に傾斜しているのが「玉に瑕」。
いっぽう、高山の市街地には観光駐車場がいくつかあるが、どれもが有料だ。その中で車中泊に適しているのは、写真の市営天満駐車場だろう。
ただ桜山日光館などがある、下一之町・下二之町・下三之町からは一番遠い市営駐車場になるので、車中泊をするならそこは前日か翌日に周るほうが楽だと思う。
高山市内のベスト車中泊スポット 市営天満駐車場
市営天満駐車場はトイレ付きの平面駐車場で、ゲートの屋根が出っ張っておらず、キャブコンでも利用できる。
料金は8時から20時まで30 分150円、それ以外は1時間50 円。
市営天満駐車場からは、近くのローソンと天満湯まで歩いて行ける。