「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
金鱗湖の朝霧を撮るチャンスは、晩秋から早春の朝7時過ぎ。
金鱗湖
明治初期の儒学者・毛利空桑(もうり くうそう)が、湖を泳ぐ魚の鱗が夕日で金色に輝くのを見て命名したという「金鱗湖」は、湯布院を代表する観光スポットとして知られている。
湖畔には洒落たギャラリーやカフェが建ち並び、日中は若者たちで賑わっているのだが、風景写真愛好家にとって魅力的なのは、寒い季節のそういう店がまだ閉まっている早朝だ。
金鱗湖の朝霧
金鱗湖には清水と温泉が流れ込んでいるため、年間を通じて水温が高い。そのため、外気が下がる晩秋から早春の早朝には、湖面から湯気が立ちのぼる幻想的な光景が現れる。
ちなみに撮影に適しているのは、「昼と夜の気温差が大きく、風がないよく晴れた日」とよく書かれているが、住民でもない限り、そんな日を選んで出かけられるはずはなく、「無責任なことをわざわざ書きなさんな」と筆者は思う(笑)。
とどのつまり、旅行者が撮れるかどうかは「運次第」。普段の行いが試されるわけだが、そもそも「風景写真撮影とはそんなもの」で、「一期一会」とはよく云ったものだ。
ベストフォトスポットは「天祖神社」の裏
冒頭で見せた朝霧の写真がそうだが、湖中に鳥居が立つここからのアングルが、金鱗湖では一番絵になると思う。
「天祖神社」は、金鱗湖沿いに整備された遊歩道を半周ほどしたところにあるのだが、そこに行く途中には川から朝霧が湧き立つポイントもある。
ちなみに掲載している大半の写真は、iPhone12で撮影している。広角機能を有するこのスマホは、プロユースのデジタル一眼カメラと遜色のない写真が撮れるスグレモノ。筆者の場合は、もはやエースとも呼べる存在だ。
金鱗湖の朝霧撮影 備考
金鱗湖周辺にはたくさんコインパーキングがあり、早朝はどこも空いている。朝霧が立つ季節は冷え込みも強く、荷物を全部積んで行けるクルマでアクセスするほうがいい。
ちなみに、この日一番役に立ったのはブーツ。ダウンジャケットはもちろんだが、キャップや手袋、カイロなどの防寒用品も用意しておくほうが安心だ。凍えると集中力が低下し、粘る気力も失せてくる。