「絶メシロード」は、テレビ史上初の「道の駅での車中泊」を実現した意義あるドラマ
2020年1月からテレビ東京系列で放送が始まった、ドラマ25「絶メシロード」の車中泊に関連する監修を担当した。
この話が筆者のもとに舞い込んできたのは、放送される半年ほど前。
当初は、ここ最近煩いくらいマスコミに登場している「VANLIFE」の話かと思ったが、実際はプロモーションビデオの通り、全く逆の「正統派車中泊」を地で行くような物語だった(笑)。
仕事の内容は、まず「絶メシロード」12話に登場する車中泊スポットの選定。
筆者が推薦した場所に、スタッフがリストアップした場所を加え、7月に東京に5日間ほど滞在し、脚本家や監督らと候補地のロケハンを行い確定した。
車中泊スポットで筆者がこだわったのは、「道の駅」だ。
これまで10本以上、車中泊がらみのテレビ番組に携わってきたが、「道の駅」はまさに鬼門で、こういう対応をするところがあるため、特に大手マスコミは道の駅での車中泊に対して弱腰だ。
最近は、ユーチューバーが頑張って車中泊を禁じている道の駅を改心させてくれているようだが、日和見的なマスコミの態度はそう簡単に変わるまい。
ゆえに、実際に道の駅でロケをした番組を、未だ筆者は見たことがない。
その背景には、未だに車中泊そのものを定義付けすらできない、グランドデザインの希薄な業界の存在がある。
そのうえ日本人は保守的かつ論理的で、ついつい「駄目な理由」と「禁止事項」ばかりを書き並べたがる(笑)。
では逆に、「こういう車中泊ならやっていい」というのはどうだ。規制が多いほど、それはシンプルになるわけで、表現にも時間はかからない。
あとはそれを実際にやらしてくれる道の駅、しかも圧倒的に有名で、車中泊旅行者がよく利用する道の駅の撮影許可を得ることが、筆者の本当の狙いだった。
協力してくれたのは、伊豆の「マリンタウン伊東」。
首尾は上々。まさにここ以上の道の駅はないという道の駅が協力してくれることになった。
これほどメジャーな道の駅が正式に車中泊を認めているのに、なぜオタクでは「同じ車中泊」が駄目なのか?
クルマ旅を愉しむ人々にとって、既に1000件を軽く上回る道の駅が、「車中泊旅行のインフラ」であることは、既得権であると同時に、否定しようのない事実だ。
それがベースとなったうえで、道の駅のない観光地での車中泊や、電源や炊事場が欲しい人に向けてのサービスが上乗せされるのはかまわない。
RVパークやカーステイを否定はしないが、車中泊をする人=お客様の優先順位からすれば、今の「業界」が「ユーザーファースト」であるとは思えない。
むしろ自己権益ばかりを優先し、「業界」意識がまるでないかように筆者の目には映っている。
ローカルテレビ局の「深夜番組」が、どれほどの影響力を発揮するかは未知数だが、少なくとも映像で見せられる「既成事実」ができたのは、画期的なことに間違いはない。
もうひとつの仕事は、グッズの選定。
「絶メシロード」のストーリーを聞いたときから、使うクルマはフリード・プラスと決めていた。
それ以外にも車中泊マットやポータブル電源など、実用性の高いグッズを提案しているのだが、「絶メシロード」の脚本が完成してみると、それとは別に予想外の展開が待っていた。
そのWizが登場するのは、2.4.9.10話の都合4回。
特に9.10話は須田親子が乗車するシーンも繰り広げられる。