車中泊とは、「車内で調理済み食品を食べて、眠るまで」の行為
現状を考えると、道の駅を筆頭に、サービスエリア・パーキングエリア・公衆トイレとともに24時間利用できる有料、無料の駐車場、さらにはオートキャンプ場・RVパークにいたる、すべての場所での車中泊の定義は、「車内で調理済み食品を食べて、眠るまで」とするのが妥当だと思う。
なぜなら、それは車中泊がブームになる遥か以前から、愛妻弁当を食べて頑張る長距離輸送トラックの運転手達が行ってきた行為であり、既に市民権を得ているからだ。
裏返せば、だから道の駅やNEXCOは容認している。
それまで否定すれば、今度はトラック業界が黙っていまい。
平たく云えば、車中泊の旅人が「道路利用者のための休憩施設」とうまく付き合うには、トラックと「同じ一線」を超えなければいいわけだ。
ただし夜間のアイドリングは別問題。
それは「冷凍車」のように、常時電力を必要とする車両においてのみ例外とされる話で、それ以外は「マナー違反」の何者でもない。
いっぽう、車外での調理や団欒は「キャンプ」の一環で、車中泊とは一線を画する行為になる。
つまりオートキャンプ場では、それが車中泊とともに許されていると考えるほうが、理解しやすいかもしれない。
こう整理すると、車中泊はOKだが「オートキャンプ」は禁止というルールが成り立つことがよく分かるだろう。
そして道の駅は、その典型的な施設だ。
「道路利用者のための休憩施設」でもある道の駅は、新鮮な産直野菜を買いに来る近所の住民以外に、長距離輸送トラックや、帰省途中の家族、あるいはクルマ旅で移動中に日が暮れ、安全運転のために翌朝明るくなるまで休憩が必要となったドライバーも利用する。
ゆえに、独断でこのようなことが許されるはずがない。
ちなみにこの非常識な看板を掲げているのは、「道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」。
「車中泊禁止」がこんなに容易にできるなら、とっくの昔に多くのサービスエリアと道の駅で実施されている(笑)。
案の定2020年3月に、車中泊禁止の表示は撤廃された。
国土交通省は前述した長距離輸送トラックに配慮し、「仮眠」という言葉を用いて「車中泊」と区別しているわけだが、クルマで寝ることを「車中泊」と呼ぶのは当たり前…
それに「仮眠」と「本眠」の違いを説明できる人などいない。
彼らが道の駅で禁止したいのは、駐車場に何日も居座って動かない「長期滞在」と、車外にイスやテーブルを出して調理や食事を行う「キャンプ行為」の2つだが、それはいずれも「車中泊」には含まれない。
すなわち、車両による「長期滞在」と、あらゆる「キャンプ行為」を禁止とすればいいだけの話だが、その誤った見解が既に多くの道の駅に伝播し、今やとりかえしのつかない事態があちこちで生じている。
この罪は、左遷で済むほど甘いものではあるまい。
もうひとつ車内での調理についても書き加えておこう。
キャンピングカーの要件を満たす車両には8ナンバーが付与されるが、その条件には車内における調理機能が明記されている。
すなわち政府がOKしたクルマで調理することを、日本国内にある施設が禁止できる道理はない。
ただし、これはあくまで8ナンバー車における話。
しかし道の駅で自炊がしたいのなら、既に世の中に「政府公認」のキャンピングカーがある以上、少なくてもそれを選ぶべきであることは正論だ。
改造は万能じゃない。
筆者は散々試した結果、10年前に8ナンバー車に乗り換えている。改造にかかる労力・コスト、そして拭い切れない不安感を考慮すれば、もっと早くても良かったくらいだ。
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