25年のキャリアを誇る旅行家がまとめた、8月に青森県で開催される「弘前ねぷたまつり」を、車中泊で見物に行くために役立つ情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
「出陣ねぶた」とも呼ばれる「弘前ねぷたまつり」の特色は、武家の時代の趣が残る重厚感

「弘前ねぷたまつり」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2018.08.03
「弘前ねぷたまつり」の現地調査は2018年8月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年7月に更新しています。
「弘前ねぷたまつり」 見物の秘訣と駐車場&車中泊事情

まずは、「弘前ねぶた祭り」を動画でご紹介。

JR青森駅から弘前駅までは約40キロ…
クルマで僅か1時間ほどしか離れていないにもかかわらず、両者の「ねぶた祭り」はずいぶん様相が異なる。
その違いをまずは動画でご覧いただきたいのだが、できれば実際の旅でも、このふたつの「ねぶた祭り」は続けて見るほうがおもしろいと思う。
弘前の「ねぷた」は扇形をしているが、それは弘前藩(津軽藩)の藩祖・津軽為信の幼名が扇丸だったことに由来している。
さらに「ねぷた」の開きの部分に描かれている牡丹も津軽家の家紋だ。
つまり城下町弘前の「ねぷた祭り」には、幕藩時代の余韻が色濃く残されている。
偶然にも、筆者がこの祭りを初めて見た時に思い起こしたのが「大名行列」だった。
「青森ねぶた祭り」に比べるとテンポが遅く、「下に~下に」と歌いながら進む行列の姿と、不思議にもオーバーラックして見えた。

一説によると「青森ねぶた祭」は「凱旋ねぶた」、いっぽう「弘前ねぷたまつり」は「出陣ねぶた」と呼ぶそうだが、よく的を得ている表現だと思う。

さて、ここで気になるのが弘前と青森の関係だ。
桜まつりで有名な弘前城を本拠地にしていた弘前藩は、4万7千石、柳間詰めの外様大名から始まるが、国替えされることもなく、幕末には10万石に加増され、そのまま明治維新を迎えている。
いっぽう海に近かった青森は、初代藩主の時代に開港が計画され、後に商港および北方との交通港として発展。
江戸時代の中期以降は、弘前藩最大の港を有する第2の町となった。

それから察すると、「青森のねぶた」が弘前の影響を受けて生まれたと考えるのが自然の流れだ。
事実「青森ねぶた祭実行委員会」のオフィシャルサイトには、「ねぶたの起源」に関する以下の記述がある。
青森におけるねぶたの記録では、享保年間の頃に油川町付近で弘前のねぷた祭りを真似て灯籠を持ち歩き踊った記録があります。明治時代以降、青森では人形をかたどった灯籠(ねぶた)が主流となり、大型化していきました。
弘前と青森の立場が逆転するのは、明治維新以降。

皮肉にも弘前藩が開発した港町・青森は県庁所在地となり、そこから独自の発展を遂げていくが、それと「青森のねぶた」の進化の歩みは、ものの見事に符合する。
さて。
時代背景が分かったところで、今度は「ねぶた」の”クラシック”ともいえる「弘前ねぷた」を詳しく紹介しよう。

正直云って、サイズに劣る「弘前ねぷた」は、「青森ねぶた」と「五所川原立佞武多」に比べると「地味」… という感じは否めない。
ただ「弘前ねぷた」の主役は「美女」だ。

すべのねぷた裏側には、「見送り絵」と呼ばれる美人画が描かれている。

そしてその前で、今を生きる美女たちがドドーンと太鼓を打ち鳴らす(笑)。

ちなみに、美女が描かれた「見送り絵」に対して、ねぷた本体正面の絵は「鏡絵」と呼ばれ、中国の三国志や水滸伝、あるいは日本の武将の伝説などが題材として多く用いられている。
この両面をあわせて「ねぷた絵」と呼ぶが、江戸末期の浮世絵の影響を強く受けているのが「弘前ねぷた」の特徴だ。
「弘前ねぷた祭り」の当日昼間の過ごし方

「青森ねぶた祭り」と違い、「弘前ねぷたまつり」は弘前城のある弘前公園の前からスタートするので、見どころの揃ったその周辺で、予習を兼ねた時間つぶしをするのがいいと思う。
なお行く時は、のちほど紹介する、祭りの見学時に使う駐車場にクルマを停めてからのほうがいい。
【予習・下見】
津軽藩ねぷた村

「津軽藩ねぷた村」の中にある「弘前ねぷたの館」では、実際に祭りで使用する高さ10メートルの大型ねぷたと、その内部の骨組みが見学できる実寸大のねぷた、さらに「鏡絵」と「見送り絵」を展示している。

「津軽藩ねぷた村」の敷地は広く、金魚ねぷたの製作実演コーナー、津軽焼き・津軽綿絵などの見学、またねぷた囃子や津軽三味線の生演奏を楽しむこともできる。
さらに野菜や林檎などの産直販売や、工芸品の販売コーナーもある。
津軽藩ねぷた村
☎ 0172-39-1511
おとな600円
9時~17時
無休
駐車場(通常期)
1時間220円 ※以降30分毎110円
※弘前ねぷたまつり期間中は1回1100円
そのため弘前城とここを観光して食事をすれば、それだけで午前中が終わってしまうかもしれない(笑)。
そこで、もう少しライトに「弘前ねぷた」のことが分かる施設を、あわせて紹介しておこう。
弘前市立観光館・山車展示館

弘前城に隣接する市の観光施設で、1階には「弘前ねぷた」が飾られ、パネルでその歴史や特徴を展示しているほか、お土産コーナーと食事処もある。
誰もが無料で利用できる施設なので、トイレや休憩がしたい時にも最適だ。
弘前市立観光館・山車展示館
☎0172-37-5501
入場無料
9時~18時(まつり期間中は延長あり)
無休

情報量では「津軽藩ねぷた村」に敵わないが、ここは「弘前ねぷたまつり」のスタート地点に近く、その日に登場する「ねぷた」が、お堀沿いで待機している様子を間近で見られる。
弘前城の石垣改修工事状況

本来ならこの機会に、「現存12天守」の弘前城見学をお勧めしたいところだが、

弘前城では、石垣が外側に膨らむ「はらみ」が見つかり、崩落の危険を回避するため、2015年から約100年ぶりにその解体・積み直し作業が行われている。

これが正しい姿で、写真は石垣改修工事前の2012年5月に撮影したもの。

2025年7月現在は、石垣の改修工事に伴い、天守は元の位置から北西へ約78メートル離れた本丸中央部に移動している。
ただ2024年12月に石垣の積み直し作業は完了しており、2026年秋には元の場所へ曳家で戻される予定となっている。

そのため2025年内にこちらの展望デッキも解体され、天守周辺にバリケードも設置されるようだ。

いずれにしても、岩木山を背景に弘前城の天守が撮れるのは2026年までのようなので、興味があれば足を運んでみてもいいかもしれない。
100年ぶりの積み直しなので、もう次はたぶんお目にかかれない(笑)。
工事の進捗と詳細は、以下の公式サイトで確認できる。
ちなみに筆者は、桜の季節の弘前城についても、この記事と同じくらい詳しい車中泊旅行ガイドを用意している。
「弘前ねぷたまつり」の運行コースとスケジュール

まず「弘前ねぷたまつり」の運行は、毎年「土手町コース」と「駅前コース」の2つのコースに分かれて行われている。
2025年の運行予定
8月1日~4日 : 土手町コース 19時~
8月5日・6日 : 駅前コース 19時~
8月7日 :土手町午前コース10時~

出典:弘前公園
そして最終日の8月7日には、岩木川沿いの土手を十数台の本ねぷたが運行する「ねぷた流し」と、ねぷたを炎で清め送る「なぬかびおくり」が行われる。
「なぬかびおくり」開催内容
17:00~ 開場(露店営業開始)
17:30~ ステージイベント
18:00~ ねぷた展示
19:30~ ねぷた流し
20:00~ 主催者あいさつ
20:10~ ねぷたおくり(燃やし)
会場
岩木川河川敷(悪戸字鳴瀬) ※茜橋付近
「弘前ねぷたまつり」のベスト見学スポット

最終日に行われる「なぬかびおくり」は別として、連日行われる「弘前ねぷたまつり」では、「パレード」よりも夜空浮かび上がる、見目麗しいアート作品をしっかり見ることのほうが大事なように思う。

それにはイスにどっかりと腰を下ろし、すべての出し物が目の前を通り過ぎていくのをシンプルに眺めるのがいちばんいい。

そのためのベストポジションは、「弘前ねぷたまつり」の出発地点にあたる、「追手門通り東」から伸びる県道3号沿いだ。
★マークの左の細い路地は、祭りの開始時刻の直前に「通行止め」になるため、それまで真横で待っていれば確実に「一番前」が押さえられる。
ただしこれは「土手町コース」の話で、「駅前コース」については、残念ながら見ていないのでわからない。
「弘前ねぷたまつり」会場周辺の駐車場事情
「弘前ねぷたまつり」の開催中は、9時から18時まで岩木川沿いに2ヶ所の無料駐車場が開設されるが、いずれも弘前公園まで徒歩約20分と近くはない。
そのため長く歩くのが嫌な人は、市内のコインパーキングを自力で探す必要がある。

筆者が利用したのはホテル「ドーミーイン弘前」前の「マイパーク本町」で、1時間100円(7時~19時までのみ最大300円)だった。
だが、後で近くにもっと安いコインパーキングがあることに気がついた(苦笑)。
本町駐車場第2 ドーミーイン前
1時間100円(5時間250円、12時間350円、24時間700円)
いずれにしても探すポイントは、「ドーミーイン弘前」から「弘大医学部付属病院」の周辺。上で紹介したベストスポットまでは約500メートルほどになる。
「弘前ねぷたまつり」見物後のお勧め車中泊スポット

「弘前公園」に最寄りの車中泊スポットは、約10キロ・20分ほど離れたところにある「道の駅ひろさき」だが、名前に弘前がつくため、特に旅慣れていない車中泊の初心者はここに集中してくる。
ただし収容台数は80台と少なく、桜まつりとねぷた祭りの際は、需要のほうが収容台数よりも多くなりがちだ。
また農産物の加工場を兼ねているため、さほど車中泊に適しているとは思わない。

ただ、ここは隣に夜11時まで営業している日帰り温泉「花の湯」があるので、捨てがたいのは事実だろう。

いっぽう、普通車183台と収容台数が多く、「弘前ねぷたまつり」の期間中でも比較的安心して車中泊ができそうのは、弘前公園から約11キロ離れたところにある「道の駅いなかだて」だ。

ここは有名な「田んぼアート」の会場に隣接しており、一度は寄ってみるだけの価値がある。
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