25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、福島県・いわき周辺の見どころと車中泊事情です。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
映画「フラガール」の舞台で知られる「いわき」の町は、福島県・浜通り最大の観光スポット。

「いわき」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2015.07.19
2016.09.07
2025.05.28
いわき周辺での現地調査は2025年5月が最新です。
福島県・いわきの見どころと車中泊事情

いわきのロケーション

出典:ふくしまの旅
福島県東部の太平洋岸に沿って南北に伸びる「浜通り」の、最南端に位置する「いわき」は、”東北の玄関”と呼ぶにふさわしい大きな街で、面積は福島県下最大、人口は郡山市に次ぐ第2位、東北地方でも仙台市、郡山市に次ぐ第3位を誇っている。

「東京インター」から、ウォーターフロントとして開発された「小名浜港」にある「いわき・ら・ら・ミュウ」までは213キロ、渋滞がなければ3時間ほどで行くことができる。
そのため、首都圏在住の車中泊旅行者にとって「いわき」は、金曜の夜から週末2泊2日で行ける、ほどよい車中泊の旅先といえるのだろう。
しかし、東海・北陸以西に住む車中泊旅行者が「いわき」に抱いているイメージは、当然ながらまったく違う。

遠いという物理的なことは別にしても、特に中高年の場合は、福島の観光地と云えば、やはり「会津」がアタマに浮かぶ。
大河ドラマを筆頭に、幕末から明治維新を描いた時代劇には、「会津」が戦場となった「戊辰戦争」が付き物だけに、それは仕方のない話でもあるのだが、加えて地の利も大きい。

「会津」へは「新潟中央ジャンクション」で「北陸自動車道」から「磐越自動車道」に乗り継げば、首都圏をまったく通らずにアクセスでき、そのまま「喜多方」「米沢」「尾花沢」と北上していけば、最後は青森までクルマで旅することが可能だ。
また「猪苗代」に出れば、紅葉で有名な「裏磐梯」にも容易に行ける。
実際に筆者は、「会津」にはこれまで5度足を運んでいるが、「浜通り」にはまだ3度しか行けていない。

もちろんその背景には、「浜通り」が「東日本大震災」で大きな被害を受けた地であることも否めない。
しかし、あれから15年近くが経ち、「原発事故」の後始末は未だに終わってはいないものの、「浜通り」の復興はずいぶん進み、4件あった道の駅はすべて再開し、さらに新しい道の駅も誕生している。
車中泊旅行者なら誰もが夢見る「日本一周」を考えると、「浜通り」は避けては通れないエリアだけに、もうそろそろ遠慮するのをやめてもいい頃だろう。

これは2014年に東北を旅した時に、遠野の道の駅のトイレに貼られていたポスターだが、気負わず、押し付けがましくもなく、妙に力が抜けていて、筆者はとてもいい提案だと思った。
人が足を運べば、ご飯も食べるし、お土産も買う。しかもクルマ旅ならガソリンも入れるし、コンビニやスーパーでいろんなものを買う。
被災地を旅することには、こういうプラスの要因も付随している。
いわき周辺の見どころ

出典:いわき・ら・ら・ミュウ
結論から云うと、「いわき」の見どころは、「いわき湯本温泉」と「小名浜港」の2つのエリアに集中している。
いわき湯本温泉

「いわき湯本温泉」は1300年前の奈良時代に起源を持つと伝わる古いおゆばで、江戸時代には陸前浜街道の宿場として栄えていたという。
しかし明治時代に入って石炭採掘が始まると、地底の泉脈が破壊されてしまい、坑内から温泉が多く出水したことで、1919年に温泉の地表への湧出が止まってしまった。
それでも「いわき」は、本州最大で東京にもっとも近い炭鉱の町として栄え、その後炭鉱側との協議により、1942年に「いわき湯本温泉」は復活を遂げる。

しかし高度経済成長期に入ると、今度は石油へのエネルギー革命が進み、石炭産業は急速に衰退し、町は活気を失っていった。

そこで炭鉱会社の「常磐炭礦(現:常磐興産)」が、命運をかけて1966年に開業したのが、「常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)」だ。
結果的にそれが功を奏し、「いわき」は炭鉱の町から観光都市への転換に成功するのだが、その波乱万丈の実話を映画化し、大ヒットしたのが「フラガール」で、今でも『いわき湯本温泉のランドマーク』と呼ばれる所以となっている。
下の記事には、その経緯と「フラガール」及び現在の「スパリゾートハワイアンズ」の見どころを詳しくまとめている。

なお「フラガール」を見た人は、時間に余裕があれば「スパリゾートハワイアンズ」に行く前に、「常磐炭田」の125年に及ぶ歴史を現在に伝えている、「いわき市石炭・化石館ほるる」に立ち寄っていくほうがいいと思う。

館内には常磐炭田の採掘の歴史と、昭和10年頃の炭住や戦後の世話所・共同炊事場を復元した生活館と映像ルームがあり、トヨエツらが演じた、無骨な炭鉱夫の姿が記憶の中から蘇る。
いわき市石炭・化石館ほるる
☎0246-42-3155
おとな660円
営業:9時~17時(入館16時30分まで)
毎月第3火曜定休
無料Pあり

また「いわき」では「元湯温泉郷」以外に、車中泊旅行者にお勧めできるリーズナブルな日帰り温泉施設が見当たらないので、「スパリゾートハワイアンズ」に行かない人も、入浴は格安で江戸末期の建物様式を再現した風情ある共同浴場、「さはこの湯」を利用するのがお勧めだ。
いわき湯本温泉 さはこの湯
おとな300円
☎0246-43-0385
10時~22時(受付最終21時)
毎月第3火曜日 定休
Pあり 50台
さて。
少し余談になるが、「いわき」を舞台にした有名な映画はもうひとつある。
「佐々木蔵之介」主演の「超高速!参勤交代」 と、続編の「超高速!参勤交代 リターンズ」は、江戸時代の「いわき」に実在した所領1万石の貧しい「湯長谷藩(ゆながやはん)」の物語で、家臣が団結して苦難の道のりを、抜群のチームワークで乗り切っていく。
筆者は両方見たが、ロケ地を訪ねたくなるほど痛快な映画だった。
ただ「いわき」でロケ地と云えるのは、「いわき市暮らしの伝承郷」くらいしかないらしく、筆者もそこまでは足を運んでいない。
また「浜通り」の北部にある、伝統行事の「相馬野馬追」で有名な南相馬市では、1979年に公開された角川映画の「戦国自衛隊」が撮影されている。
「相馬野馬追」については、「道の駅そうま」の記事の中でふれているが、そう云われて見ると「なるほど!」と納得。
主役を演じた若き日の「千葉真一」は本当にカッコいいが、この映画はほかに、「夏木勲」「渡瀬恒彦」「真田広之」「草刈正雄」らに、「薬師丸ひろ子」「小野みゆき」などのキャスティングもすごいし、なんせ総製作費11億円という桁違いのお金がかかっている(笑)。
小名浜

「いわき元湯温泉」エリアから約14キロ、クルマで30分ほど離れたところにあるのが、「いわき」のウォーターフロントとして人気を集める「小名浜(おなはま)」で、その核となっている施設が「みなとオアシス」と「道の駅」に指定されている「いわき・ら・ら・ミュウ」だ。

館内には、地元で水揚げされる鮮度の高い海鮮料理が食べられる店も揃っているので、食事をするならここが無難だろう。
「小名浜」エリアは飲食店の新陳代謝が進んでおり、「食べログ」に出ている店を訪ねる場合は、記事が書かれた日付けをよく確認しないと、閉店している場合も少なくないのでご注意を。

沖合に親潮と黒潮がぶつかる豊かな漁場を持つ「小名浜港」は、古くから漁港として利用されてきたが、江戸時代に磐城各藩の年貢米の積出港として基礎が築かれ、明治以降は「常磐炭鉱」から産出する石炭を京浜方面へ輸送する基地としての役割を担ってきた経緯を持つ。

「いわき」が観光都市へと変貌を遂げていく中で、「いわき・ら・ら・ミュウ」とともに「小名浜」を支えてきたのが、こちらの黒潮と親潮が出会う潮目の海をテーマにした、環境水族館と呼ばれる「アクアマリンふくしま」だ。

館内には大水槽の前に寿司バーがある奇抜な仕掛けもあり、おとなも十分楽しめる。
興味のある人は「道の駅 いわき・ら・ら・ミュウ」で車中泊すれば、朝一番の空いている時間帯に行くことができるので、その特権を活かすといい。
アクアマリンふくしま
☎0246-73-2525
おとな1,850円
9時~17時30分
※12月1日~3月20日は17時に閉館。入館受付はいずれも閉館1時間前まで。
年中無休
いわきの車中泊事情と車中泊スポット

「いわき」に限って云うと、無難な車中泊スポットは2件の道の駅になるが、「スパリゾートハワイアンズ」で夜まで過ごすのなら、さきほど紹介した「小名浜」にある「道の駅 いわき・ら・ら・ミュウ」が、やはり近くてお勧めだ。

また、「スパリゾートハワイアンズ」に興味はなく、「小名浜」でたっぷり遊んだ後、もう少し静かな環境で車中泊がしたいという人には、少し北に進んだ「四倉海岸」に「道の駅 よつくら港」がある。
最後に、もう少しエリアを広げた、「浜通り」の話にもふれておこう。

「いわき」の「道の駅 いわき・らら・ミュウ」から、「相馬市」の「道の駅 そうま」に至る、南北約100キロに及ぶ「浜通り」には、その間に4件、合計6件の道の駅が点在している。
概要と詳細はさすがに長くなるので以下の別記事にまとめてあるが、残念なことに、「いわき」より北には「仙台」までメジャーな観光スポットは見当たらない。

そのため、「いわき」だけでは時間を持て余しそうであれば、逆に南にある茨城県に着目し、「水戸」や「日立」、あるいは「袋田の滝」あたりとの抱合せを考えるほうがいいと思う。
車中泊で旅する福島県
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門
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