歴史が好きで経験豊かな「車中泊旅行家」が、国宝で日本100名城にも選ばれている「松江城」の概要と歴史及び、駐車場を詳しくご紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づきまとめた、『一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台』をクルマで旅するためのガイドです。

~ここから本編が始まります。~
松江城は平成になって「国宝」に再認定された、”筋金入りの戦うために築かれた城の史跡”

松江城 DATA
松江城
〒690-0887
島根県松江市殿町1-5
☎0852-21-4030
天守以外は入場無料
本丸開門時間
4月~9月:8時~18時30分
それ以外の時期は17時30分で閉門
天守入場料
おとな800円
※2026年7月から1200円
4月~9月:8時~18時
それ以外の時期は17時
受付は閉館30分前まで
年中無休
「松江城」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.03.19
2013.02.25
2016.10.09
2019.06.08
「松江城」での現地調査は2019年6月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2026年4月に更新しています。
「松江城」の概要と歴史&駐車場

松江城 築城のあらまし

出典:八雲立つ風土記の丘
古代に一大勢力を誇った「出雲国」の、政治・経済の中心地として栄えた「松江」には、巨大古墳が今でも残る。

平安・鎌倉時代には出雲守護の領地となるが、やがてその守護代たちが抗争を繰り広げ、戦国時代に下剋上が起きて、前半は「尼子氏」、そして後半はその「尼子氏」を滅ぼした「毛利氏」が支配者となった。

ただ「尼子氏」「毛利氏」が居城としたのは、現在の安来市にある難攻不落を誇った「月山富田城」で、今の「松江城」が建つ一帯は、小さな農村集落がある湿地帯だったという。
その「松江」を、劇的に作り変えたのがこの武将だ。

「松江開府の祖」とされる「堀尾吉晴」は、「豊臣秀吉」「徳川家康」の二人の天下人に仕え、特に豊臣政権下では三中老のひとりとして功績を残した人物で、城普請の名人と呼ばれていた。

「吉晴」は東軍として出陣した「関ヶ原合戦」後、浜松(静岡県)から嫡男の「忠氏(ただうじ)」とともに、恩賞として拝領した出雲・隠岐両国を統治する「月山富田城」に入ったが、水辺の開けた「松江」の将来性に着目し、居城の移転を決意する。
息子の「忠氏」は享年27歳で病死するが、「吉晴」は孫の「忠晴」を助けて「松江城」と城下町を造営し、現在の松江市の礎を築いた。
松江藩の系譜

出典:ウィキペディア
跡継ぎに恵まれず、3代で改易となった「堀尾家」の後を継いで松江に入国したのは、若狭国(福井県)の領主だった「京極忠高」だった。
「忠高」の父「京極高次」の正室「初」は、「浅井三姉妹」の長女「茶々」の妹であると同時に、徳川二代将軍「秀忠」の正室「江」の姉になる。
「忠高」は「初」が生んだ子ではないが、引き取られて京極家の「嫡男」として育てられたため、あろうことか、徳川2代将軍「秀忠」の義理の甥、さらに関白「秀吉」から見ても義理の甥、また三代将軍「家光」と「豊臣秀頼」の義理の従兄弟という、とんでもない立場になることに。
そのうえ正室まで、「秀忠」と「江」の四女「初姫」なのだから、もう気の毒と云うしかない(笑)。
ただその甲斐あって、3年余りの短い統治期間中に、幕府の直轄領であった「石見銀山」の監督権を与えられるなど、俸禄は「小浜城主」だった時の約9万石から、約24万石へと大幅に加増された。
しかしその「京極家」も、「忠高」に跡継ぎが生まれず改易となる。

その後釜として松本(長野県)から転封されてきたのが、「徳川家康」の第二子「結城秀康」の第三子、つまりは大御所の孫にあたる「松平直政」で、まさに「真打ち」の登場となった。

1614年(慶長19年)、
「松平直政」は14歳で「大阪冬の陣」に参戦し、初陣で力戦奮闘する。
写真は敵将の「真田幸村」がその武勇を讃え、「真田丸」から「直政」に直接投げ与えた軍扇(レプリカ)で、今でも本物が「松江歴史館」に保管されている。
以降、「松江城」は明治維新まで「松平家」が城主をつとめたが、明治8年になって、広島鎮台がその建造物と三の丸御殿を民間に払い下げることを決定し、天守は180円で落札されようとしていた。

それを救ったのが、元藩士の「高城権八」と、出東村の豪農「勝部本右衛門」だ。
ふたりは資金を調達し、落札額を納めることでその確保に成功。以降天守は保護され、今日に至っている。
松江城の見どころは天守の機能と構造

「松江城」の天守は「五重六階」で、現存する天守の中では、大きさ(平面規模)で2番目、高さ(約30m)では3番目、古さでは6番目にあたる。

出典:NHK
「松江城」は、よく「正統天守」と呼ばれるが、それは「安土城」の流れを汲む『望楼型の天守』であることを意味しており、他では「大阪城」や「岡山城」も該当していたが、「松江城」と「姫路城」以外は、既にその原型を失っている。
実は、今見られる日本の天守は、大きく2つに分けられる。
ひとつは現代建築による再建天守で、中が博物館になっているパターンだ。

写真は近年リニューアルされた「岡山城」だが、それはそれで『見る価値あり』だと筆者は思っている。
もうひとつは、この「松江城」のような築城当時の姿を現在に伝える「史跡」で、世の中では「現存12天守」と呼ばれている。

当然ながら建物の中は薄暗く、空いたスペースにわずかな展示があるだけで、ほとんど触られておらず、正直云って『知識がなければ見ても何もわからない』(笑)。

しかも階段は急角度なので、できればジャケットの要らない季節に、手ぶらに近い格好で行くほうがいい。
すなわち
歴史やゆかりの”お宝”は、別の博物館で見て、天守は当時のリアルな姿を確認する場になっているということだ。
お城はそのことをわきまえて行かないと、見方を誤ることになる。
松江城の解説とお宝が見られるのは「松江歴史館」

ということで「松江城」では、天守に登るなら、その前に「松江歴史館」に足を運ばれることをお勧めする。

そもそも天守の中は、狭いだけでなく空調も悪く、冬は寒くて長居はできない。
同じ展示物を見るなら、近代設備の整った歴史館のほうが断然いい(笑)。

なお「松江城」天守の最上階のテラスからは、宍道湖も見渡せるが、雑多な建物だらけの現在は絶景というほどではない。
多くの観光ガイドは、『そこくらいしか観光客に分かりやすい長所がない』ため、あえて大袈裟に書いているようだ(笑)。
さて。
冒頭で松江城を、”筋金入りの戦うために築かれた城の史跡”と紹介したが、その最たる特徴と云えるのが、この石垣から前に張り出した「付櫓(つけやぐら)」だ。

地上1階、石垣の上に建つ天守から見ると、地下1階部分に位置する「付櫓」は、天守の入口を守る最終防御施設で、敵が一気になだれ込むのを防ぐだけでなく、籠城時の倉庫スペースを兼ねていた。

しかも「松江城」では、ここに井戸まで用意されているから準備周到だ。
「松江城」の「付櫓」は、天守とともに国宝指定されており、その無骨で実戦本位な外観は、まだ戦乱冷めやらぬ江戸時代への過渡期に築城された、「松江城」の事情をよく表していると云えるだろう。

もうひとつの見どころは、「牛蒡(ごぼう)積み」と呼ばれる頑丈な石垣だ。
「牛蒡積み」は、長い石を石垣の内部に深く突き刺して積む手法で、外見がごぼうの束に似ていることからそう呼ばれる。
戦国時代の城に多い「野面積み」の一種だが、地震に強く、排水性が高いとされ、他では「彦根城」や「会津若松城」などでも用いられている。
国宝再認定となった”決め手”

出典:NHK
実は「松江城」は、戦前の1935年(昭和10年)に一度国宝指定されている。
しかし文化財保護法の制定によって「国宝の基準」が変わり、1950年(昭和25年)に重要文化財に格下げされてしまった。

だが松江市は、格下げ後も地道な調査を継続し、60余年を経た2012年、ついに江戸時代初期に完成していたことを示す証拠を発見する。
それが写真の「慶長十六年」と記された2枚の「祈祷札(きとうふだ)」で、その後の検証により、天守が1611年(慶長16年)の完成であることが確定された。

出典:NHK
さらに2階分の通し柱や、包板を用いた特徴的な柱構造が解明され、世界遺産の「姫路城」に匹敵する、耐震性に優れた天守建築技法を用いた事例であることも判明した。
かくして2015年7月8日、「松江城」は再び国宝に再登録され、その名誉を回復することに成功している。
もちろんこの件も、「松江歴史館」に行けば詳しい解説を見ることができる。
松江城の”ばけばけ”

出典:NHK
ところで。
ご承知のように、2025年9月から2026年3月にかけて放送された、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」は、松江在住時代の「小泉八雲」夫婦をメインに描いたドラマで、「松江城」もロケ地として使われている。
特に写真の「宇賀橋」は、オープニングでふたりが赤い相合傘でたたずむ印象的なシーンに使われ、「松江城」を望む絶好のスポットとして登場していた。
ただ「松江城」の”ばけばけ”は、ドラマだけにとどまらない。
公式サイトには、この城にまつわる幾つもの「怪談」と「トリビア」が紹介されているので、ご覧になればおもしろいと思う。
ついでにドラマの主人公になった、「小泉八雲」はこんな人。
ご希望ならそのロケ地も、それなりにマニアックに案内できる(大笑)。
松江城の駐車場&アクセスマップ

駐車場は「松江城大手前駐車場」が近くて便利だ。
松江城大手前駐車場
67台・24時間利用可
8時~19時
普通車1時間未満500円
1時間以上2時間未満700円
以降は30分100円
※12月~2月のみ上限1,000円
19時~翌朝8時
30分未満 50円 30分以上 100円 以降30分50円
※上限600円
※普通車のみ指定観光施設利用により上限800円

いっぽう、土日限定で解放される島根県庁の「おもてなし駐車場」は無料で使える。
もちろん午前中には満車になるので、ここを狙うなら朝一番がお勧めだろう。
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