車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、城崎温泉街の楽しみ方とグルメスポットに関する情報です。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
城崎温泉の、いちばんいい楽しみ方は「そぞろ歩き」

「城崎温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2006年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.11.07
2010.12.27
2014.02.12
2015.11.28
2016.08.13
2019.11.17
2025.06.20
※城崎温泉での現地調査は2025年6月が最新です。
城崎温泉街の楽しみ方とグルメスポット

温泉街はひとつの旅館、道は廊下、お風呂は外湯

城崎温泉は一度到着すれば、移動手段としてのクルマは不要だ。
『温泉街はひとつの旅館、道は廊下、お風呂は外湯』。
近頃では、他の温泉地でも使われるようになったこの名文句は、自ら「外湯めぐりの発祥地」と名乗る、城崎温泉にこそ相応しいと筆者も思う。

具体的には7軒の外湯をめぐりながら、カフェやビストロで火照ったカラダを鎮めたり、土産屋さんをのぞいたり、あるいはかつて当地を訪れた偉人ゆかりの石碑を探してみたりと、いわゆる「そぞろ歩き」を楽しむことが『城崎温泉のキホン』になる。
なお外湯めぐりについては、別途詳しい記事を用意しているので、ここでの楽しみ方は、それ以外ということで。
城崎温泉には6つのお散歩コースがある。

城崎温泉は、普通に温泉街を歩けば1時間もかからずに、マップ右端の「JR城崎温泉駅」から左端にある「温泉寺」まで歩けてしまうが、「そぞろ歩き」を楽しむなら、次の6つのコースがお勧めだ。
当サイトでは、その6つのコースごとに見どころと食べどころを紹介しているのだが、世の一般的な城崎観光ガイドと違い、車中泊クルマ旅で城崎温泉を訪れる人を対象としている。
そのため、筆者がベスト車中泊スポットに推している「市営城崎鴻の湯駐車場」を起点に、そこから近い順の案内となる。

初めてクルマで「JR城崎温泉駅」前を通って、上記の「市営 城崎鴻の湯駐車場」に向けて城崎温泉街を抜けて来ると、ランドマークの「一の湯」から浴衣姿の老若男女で賑わう「湯の里通り」を過ぎて、名宿「西村屋」の先の角を右折した途端に、ここが『城崎温泉の終着点』であることに気がつくと思う。
つまり車中泊の旅人は、公共交通機関やバスツアーで城崎温泉を訪れる人と、真逆に温泉街を歩くことになるわけだが、筆者はむしろそのほうがいいと思っている。

一般的に見て、城崎温泉のエントランスとも云える「駅前通り」は、一部が世俗化していて、本来の城崎温泉が守り続けてきた温泉風情を感じることは難しい。
桜小路

出典:城崎温泉観光協会
残念ながら、筆者はこの季節に城崎温泉を訪ねたことがないのだが、「鴻の湯」の前の道は「桜小路」と呼ばれる並木道になっていて、並木の左側に「薬師公園ポケットパーク」と名付けられた広場が設けられている。

「薬師公園ポケットパーク」には、城崎温泉の元湯に浸れる足湯や、茹でたての温泉卵やジェラードが食べられる「城崎ジェラードカフェchaya」がある。

この店の人気商品は、店名にもなっている「城崎ジェラート」かと思いきや、実は自分で茹でて食べる「ぷるぷる温泉たまご」だった。
しかし、なんといってもユニークなのはその食べ方だろう。

ごくありふれた「温泉卵」だが、こうして殻の上部をカットしてスプーンで食べると、ちょっとイケてるデザートに見えてくるから摩訶不思議。
ただし、テイクアウトのテーブルには塩が置かれていないので、まず殻を切ったら塩を振り、席に着いたらスプーンでまぜまぜしてからお口へ運ぶ…
とはいえ、所詮はゆで卵の類なので、ここで食べないと、さほど「おいしい気分」にはなれないかもしれない(笑)。

なま卵はネット入りで3個300円。
スーパなら10個は買えると思えば割高だが、余興なので気にしない(笑)。もちろんここは、持ち込み禁止になっている。
そのまま、先ほどの茹場にチャポンと漬けて待つこと10分… その間を利用して、噂の城崎ジェラートを戴くことにした。

選んだのは「よもぎ黒豆」。
ジェラート本体の甘みを抑えてあるので、ヨモギの風味がはっきり分かり、黒豆の甘さを引き立たせる粋な計らい。
2010年に食べた時は、観光地にしては上出来だと思ったが、今では城崎温泉を代表するスイーツの名店になっているようだ。
さて、注目は卵の開け方だ。

細いほうに軽くかぶせて、ギュッと握ればご覧の通り。

よもや、こんな便利なアイテムがあろうとは知らなかった。パートナーを喜ばせるには、実に「安上がり」な演出だろう。
特注なのかな? と思いつつ
売っているならぜひとも欲しいとアマゾンで探したら、あっさり出てきた(大笑)。
城崎ジェラートカフェChaya
☎0796-29-4858
9時30分~17時30分
木曜定休

『そんな、若い子が喜ぶようなことに関心はない』とおっしゃる御仁は、そのまま奥の「温泉寺」へと足を運ぼう。

城崎温泉街の一番奥にある「温泉寺」は、城崎温泉を開いた「道智上人」により、738年(天平10年)に開創されたと伝わる高野山真言宗の古刹だ。
そのため、かつては温泉に入湯する前に参拝し、お湯に感謝して入湯することが作法とされていた。

現在の本堂は、室町時代初期の1384~87年に、「清禅法印」によって造営されたもので、国指定の重要文化財。
南北朝時代を代表する建造物で、和様、唐様、天竺様の三様式が融和する折衷様式で建てられている。

また本尊の「十一面観音立像」は、国指定の重要文化財で、33年に1回開帳される。
温泉寺
☎0796-32-2669
拝観料300円 ※境内の見学は無料
(城崎美術館との共通券400円)
9時~17時
薬師堂は夏季8時30分~17時
冬季9時~16時30分
第2・第4木曜日は休館の場合あり
なおその手前には「城崎ロープウェイ」の乗り場もある。

筆者は乗ったことがないが、山頂からはこういう景色が見られるようだ。

出典:旅色
詳細は公式サイトで。
湯の里通り

本音から云えば、真っ先に歩いてみたいのが、この通りだと思う(笑)。
「湯の里通り」は、前述した「桜小路」から左に角を曲がったところから始まり、7つの外湯でもっとも人気の高い「御所の湯」の前を通って、城崎温泉の代名詞こと「一の湯」へと至る、約500メートルの目抜き通りだ。

とりわけ風情を感じるのは日没後で、通りに並ぶ土産屋と飲食店、さらには昭和チックな射的屋に明かりが灯り、浴衣を来た温泉客が行き交う姿に、温泉情緒を掻き立てられる。

また「御所の湯」の向かいには、「和のにぎわい」をテーマに2008年にオープンした、横丁的な「木屋町小路」があり、その界隈が城崎温泉街でもっとも活気が感じられる場所になっている。

「木屋町小路」の中はパティオのようになっていて、雑貨屋や飲食店が並ぶ。

そんな「湯の里通り」で、筆者がお勧めしたいグルメスポットが、「御所の湯」の斜め向かいにある、創業以来70余年の歴史を持つ、老舗の寿司店「をり鶴」だ。
本来は寿司屋だが定食もやっており、気さくで夜も比較的リーズナブルに楽しめる。

料金を明記したメニューが、店頭にきちんと掲示されているのも好印象。
「るるぶ」などのガイドブックでもよく紹介される店だけに、お客の気持ちをよく心得ており、おかげで昼間は若い女性客で大盛況だった。
筆者の場合は、丼があまり好きではないので、こういう定食が夜の時間帯でも食べられるというのが入店の決め手になった。

2010年にオーダーしたのは、中高年が車中泊の食事として食べるのに妥当なメニューと思われる「をり鶴定食」。
これにビールとお酒を加えて、夫婦で3500円ほどのお代だった。
なお、今でも「をり鶴定食」は、ランチ限定ではあるものの1200円で食べられる。
最新のメニューはこちらでご確認を。
をり鶴
☎0796-32-2203
ランチ:11時〜14時(LO/13時30分)
ディナー:17時〜21時(LO/20時)
火曜及び第2・第4水曜日 定休
さて。

2012年にキャンピングカーに乗り換えた筆者は、今は外食をする必要がなくなったのだが、その代わりに城崎温泉に来ると、楽しみにしているものがある。

それは但馬の地酒「香住鶴」。
家の近所でも手に入るのだが、城崎温泉まで来ると期間限定などの希少なアイテムも売っている。

今はそれを求めて、「湯の里通り」にある「花兆庵」を訪ねるのが楽しみだ。
いっぽう、
「湯の里通り」にあるのは賑わいだけではない。

写真の「つたや旅館」が建っている場所には、かつて「松本屋」という旅篭があり、幕末に京都で起きた「禁門の変(蛤御門の変)」の後、長州藩の家老「桂小五郎(後の木戸孝允)」が身を隠していたことで知られている。

その「松本屋」で「桂小五郎」が隠れていた部屋は、1925年(大正14年)の北但大震災で焼失し、現在は「つたや旅館」の玄関横に記念碑だけが残されている。
少し深堀りすると、

「桂小五郎」は、若き日に「吉田松陰」から学問と思想を学び、幕末には尊王攘夷派の中心人物として、土佐の脱藩浪士であった「坂本龍馬」の仲介で、「西郷隆盛」率いる薩摩藩との「薩長同盟」を締結した人物で、藩政時代には、幕府側から常時命を狙われていたにもかかわらず、果敢に京都で活動していた。
しかし「禁門の変」で長州軍が敗れると、「桂」は恋人の「幾松」の”つて”を頼って但馬に落ち延び、しばらく出石(いずし)に潜伏していた。
その時の潜伏先が、今は「よしむら」という「出石そば」の名店になっている。

しかし追っ手の追及は厳しく、9月には城崎の「松本屋」に身を移し、ここで献身的な世話を受けたといわれている。

また昭和41年春には、司馬遼太郎が「竜馬がゆく」の取材に訪れ、同作品中の「希望」の章を、逗留しながら執筆した。
ちなみに「名探偵コナン」にでてくるのは、同じ「小五郎」でも、「桂」ではなく「毛利」だ(笑)。
なお、出石は城崎温泉から約23キロ・40分ほどなので、興味があれば帰りにでも寄ってみるといい。
出石そばは松江や会津と同じく、本場の信州仕込みなので、近畿では際立ってうまいと思う。
木屋町通り

「木屋町通り」は、「桜小路」から近い「まんだら湯」の前から、大谿川に沿って始まる細い通りで、云ってみれば「湯の里通り」の裏道だ。
「木屋町小路」を経て、「市営城崎木屋町駐車場」の前を通り、「一の湯」に向かって大谿川を渡る「王橋」の袂で、太い「柳通り」と合流する。

出典:城崎温泉観光協会
春には大谷川沿いに桜が咲くので、特に「木屋町小路」周辺が賑わうようだが、それ以外の季節は空いていて歩きやすく、落ち着いた佇まいを見せている。
湯冷ましを兼ねてぶらぶら歩く時には、木陰の多いこの道がいいと思う。

出典:城崎温泉観光協会
とりわけお勧めなのは、ホタルが舞う姿が見られる6月中旬から下旬頃で、「木屋町小路」と「まんだら湯」の間の大谿川岸で、夜の8時半から9時頃に見ることができる。
ただ数は少なく、ホタルの名所というほどではないため、宿泊客もそれが目当てというより、『たまたま来た時期が重なって見られた』という人のほうが多そうだった。

筆者も撮影を試みたのだが、如何せん数匹ではどうにもできず、とりあえずスマホで証拠写真だけ撮ってきた(笑)。

なお観光スポットとしては、「市営城崎木屋町駐車場」の前に、300年の歴史を持つ伝統芸能を現在に伝える「城崎麦わら細工伝承館」がある。
館内には現代の職人の作品(約40点)だけでなく、約200点の明治・大正・昭和初期などの作品が展示されている。
城崎麦わら細工伝承館
☎0796-32-0515
大人300円
10時~16時(受付最終15時30分)
水曜日、年末年始
北柳通り

「木屋町通り」との合流点から、ファミリーマートがある「地蔵湯前」の交差点で「駅通り」とクロスするまでの区間が「柳通り」だ。

「北柳通り」は、その「柳通り」の横を流れている大谿(おおたに)川を、橋で渡った対岸(上の写真の右側)の通りを指している。

「北柳通り」は、「一の湯」から「地蔵湯」に至るまでのわずか300メートルほどしかない短い通りだが、対岸の「柳通り」はクルマの往来が多いため、途中に「柳湯」もある「北柳通り」を歩く人が多い。

賑わいでは「湯の里通り」と「駅通り」に遠く及ばないため、ここには端正な旅館と、数件の食事処しかないのだが、それがかえって城崎温泉らしい温泉情緒を醸し出し、特に夕暮れはフォトジェニックな場所になる。
文芸館通り

「文芸館通り」は、「木屋町通り」の途中から「柳通り」を回避しつつ、それと並行するように「駅通り」へと通じている閑静な通りだ。
「歴史と文学といで湯のまち」という、城崎温泉が使うもうひとつのキャッチコピーを象徴するように、その途中に「城崎文芸館」がある。

左に見えるのは、「城の崎にて」「暗夜行路」の著者「志賀直哉」の顕彰碑。
この写真は2014年に訪れた時のものだが、「城崎文芸館」は2016年(平成26年)に開館20周年を記念して、展示が大幅にリニューアルされ、城崎温泉の歴史や文学との関わりを、より深く愉しく親しめる施設になっているようだ。
駅通り

最後は「駅通り」についてだが、冒頭で記したように、電車や観光バスで城崎温泉に訪れる人には、「JR城崎温泉駅」が玄関口にあたる。

駅のすぐ近くには、外湯の「さと湯」(2024年3月以降、無期限休館中)が建っており、その前に城崎温泉名物の「下駄奉納板」がある。

通りも太く、店数も多いことから、実際はここがメインストリートのようだが、車中泊の旅人には、ここより「湯の里通り」のほうが、そう呼ぶにふさわしいように感じられるのではないだろうか。
ただ明るい時間帯に食事をしたり、お土産を買うのなら、狭くてバスやクルマの往来が激しい「湯の里通り」より、「駅通り」の方がまだ歩きやすい。
「市営 城崎鴻の湯駐車場」から歩いてくると約1キロ、面倒なら一本線路側に入った道沿いに、「市営 城崎温泉駅前駐車場」があるので、そこにクルマを停めて歩いてもかまわない。
「さとの湯」が休館している間は、外湯めぐりが目的の人には、用のない場所かもしれないが、ここにはメニューが豊富で、定食の値段もリーズナブルな、魚のおいしい店がある。

店の名前は「おけしょう鮮魚海中苑」。

「おけしょう鮮魚・海中苑」は、同じような造りの店舗が少し離れて2軒ある。
知らないと『あれれ??? これさっきも見たお店のような気がする…』ということになりかねないのでご注意を。
筆者らは2010年にランチで立ち寄り、「のど黒の塩焼き」と「本かしら(かれい)の煮つけ」を食べた。

ただ15年も経てば、値段だけでなくメニューも変わる(笑)。
ということで、最新のお品書きはこちらでご確認を。

ちなみに「おけしょう鮮魚・海中苑」の一階は鮮魚店で、お土産を買ったり宅急便で送ることができる。
また、こちらで買った魚を料理してもらって二階で食べることも可能だ。
おけしょう鮮魚・海中苑
☎0796-29-4832
11時~18時45分(LO/18時)
正月三ヶ日以外は無休
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