25年のキャリアを誇る車中泊旅行家が、徳島・香川・高知の県境近くにある「大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)」と「祖谷渓(いやけい)」の、見どころと車中泊事情を詳しくガイドしています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
大歩危・小歩危&祖谷渓は、紅葉シーズンにお勧めしたい秘境の峡谷

「大歩危・小歩危&祖谷渓」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2011.05.12
2014.11.24
2024.11.24
「大歩危・小歩危&祖谷渓」での現地調査は2024年11月が最新です。
大歩危・小歩危&祖谷渓

大歩危・小歩危&祖谷渓のロケーション

若い人には、冒頭の平家の落武者伝説が残る「かずら橋」より、こちらの「小便小僧」で有名そうな「祖谷渓」だが(笑)、それが四国のどこで見られるのか…
まずはその話から始めるとしよう。

「祖谷渓」に負けず劣らずの絶景に出逢える「大歩危・小歩危」を含め、「日本三大秘境」と呼ばれるこの地があるのは、徳島・香川・高知の県境に近い山の中。
お見せした「渓谷美」もさることながら、その集落にも驚かされる。

「祖谷」は急峻な山々がどこまでも連なっているが、その傾斜地に張り付くように、各集落が点在している。
1000年以上の歴史を持つと云われるこれらの「傾斜地集落」は、古くから秘境として文献などに紹介されてきた。
今もなお、その起源は明らかになっていないようだが、「祖谷」は圧倒的な質と量を誇る、「平家落人伝説」が語り継がれている地としても有名だ。

さて。
徳島県の三好方面から行く場合は、先に「祖谷渓」をめぐり、それから「大歩危・小歩危」に立ち寄ると、ロスの少ないスムーズなドライブが楽しめる。
ちなみに「徳島自動車道」の「吉野川ハイウェイオアシス」から、「祖谷渓」の「小便小僧」までは下道で約27キロ・50分。

「吉野川ハイウェイオアシス」には日帰り温泉とスマートインターがあるので、車中泊旅行者はここで前泊し、朝から出向くのがお勧めだ。
「祖谷渓」までの道は、夜は走らないほうが無難だと思う(笑)。
祖谷渓の概要と主な見どころ

「祖谷渓」は、暴れ川で知られる吉野川の支流「祖谷川」が形成した急峻な峡谷地帯で、秘境の名に相応しい深山幽谷の景観が、約10キロにわたって続いている。

こちらがその「祖谷渓」の拡大地図で、これに沿って上(北)から下(南)へと、「祖谷渓」の見どころを紹介していくことにしよう。

ただしマップで想像がつく通り、「祖谷街道」はなかなかに疲れる道だ(笑)。
これで「夜は走らないほうがいい」と書いた理由が、お分かりいただけたと思う。
祖谷渓展望台

前述した三好からのルートで行くと、国道319号から「祖谷街道(県道32号)」に進み、最初に出てくる展望スポットがこの「祖谷渓展望台」になる。

一応駐車場とトイレは用意されているが、ここは手前の木が育ちすぎて、期待の渓谷美はほとんど見られないので、用がないならパスしてもかまわない。
小便小僧

1968年に設置された「小便小僧」は、「祖谷渓展望台」から約3キロ、クルマで7分ほど南に走った、「祖谷街道」でいちばんの難所といわれる「七曲(ななまがり)」にある、高さ約200メートルの絶壁に突き出た岩の上に立っている。
この岩から谷底を見下ろせば足がすくむことから、昔は地元の子供や工事現場の作業員、また旅人が”度胸だめし”にあがったとも云われている。

ここにはクルマがないと簡単には来れないのだが、今は「祖谷渓」のシンボルになっていて、小さいながらも展望スペースが用意されている。
ただし駐車場はなく、代わりに路肩に3台ほど停められるスペースがあるだけ。
ゆえに行くなら、観光客が少ない平日の早朝がお勧めだ。
ひの字渓谷展望所

大きく曲がりくねった「祖谷川」の流れが、ひらがなの「ひ」の字に似ていることから、そう名付けらた「ひの字渓谷」は、「小便小僧」から南へ約3キロ・クルマで5分ほどのところにある。

ミシュラン・グリーンガイドで2つ星を獲得していることもあり、県道31号沿いに説明が書かれたボードが用意されている。
ただここも駐車場はなく、また付近は道が狭くて駐車することができないため、少し離れた路肩の広い場所から歩いて行く必要がある。
祖谷渓のランドマークは「かづら橋」

「祖谷渓」の本家本元のランドマークである「かずら橋」は、「ひの字渓谷」から約6キロ、クルマで15分ほど南に下ったところにある。

シラクチカズラ(重さ約5トン)で作られた、長さ45メートル・幅2メートルのこの橋には、「弘法大師」が「祖谷」に来た時、困っている村民のために架けた、あるいは平家の落人がこの地に潜み、追手が迫ってもすぐ切り落とせるように葛(かずら)を使って架設したとの伝説が残る。
現在は3年ごとに架替えが行われ、国指定重要有形民俗文化財に指定されている。
なお「かずら橋」の通行は有料で、大人は550円が必要だ。

加えて「かずら橋」周辺には駐車スペースがないので、手前にある「かずら橋夢舞台」か、その向かいの「かずら橋観光駐車場」にクルマを置き、歩いてアクセスする必要がある。
ちなみに「かずら橋」は2つある。

出典:四国地方整備局
もうひとつは「奥祖谷二重かずら橋」と呼ばれ、約800年前に平家一族が剣山、平家の馬場での訓練に通うため架設したとの伝承があり、かずら橋が2本並んで架かっている為、「男橋女橋」あるいは「夫婦橋」とも呼ばれている。
ただ「かずら橋夢舞台」から、さらに1時間ほど対向できない細い道を走り、戻ってこなければならないと聞いて筆者は諦めた。
コンパクトカー以外は、ここまで行くならバスに乗り換えるしかない。
琵琶の滝

出典:にし阿波
『平家の落人が、京の都を偲んで琵琶を奏でていた』という言い伝えから、その名がついた、落差50メートルの白糸のように美しく水が流れ落ちる滝。
「かずら橋」から上流へ1~2分歩いたところにあるので、合わせて訪ねよう。
かずら橋夢舞台

大型駐車場・イベント広場・物産館・食堂「かずら橋亭」からなる大型観光施設で、駐車場から場内を抜けて「かずら橋」に行くことができる。

土産品もたくさん揃っており、買うなら「道の駅にしいや」よりここがいい。
駐車料金
普通車1回500円
※キャブコンは大型車扱いで1540円。向かいの「かずら橋観光駐車場」は1回400円で、ハイエースベースのキャブコンも同額でいけたとのこと。ただジルとかクレアのようなトラックベースはわからない。
300台
営業時間
4月~11月:9時~18時
12月~3月は17時まで
※食堂「かずら橋亭」は11時~15時
大歩危・小歩危の概要

「かずら橋夢舞台」から約12キロ、クルマで20分ほどのところにある「吉野川」の渓谷「大歩危・小歩危」は、荒々しい奇岩や断崖絶壁の景観を持つ景勝地だ。
その語源は、『大きく歩いても危ない、小さく歩いても危ない』というのが”通説”のようだが、「歩危」とは吉野川沿いに続く断崖のような、そそりたつ険しい地形を指す古語の「ほき」「ほっけ」に由来するというのが”本筋”らしい。
ただ「嘘も方便」じゃないが、”本筋”より”通説”ほうが、話のネタとしてはいかにも本当らしいし、おもしろいね(笑)。
両者は2014年に国指定天然記念物に、翌年には国指定名勝に指定されているが、嬉しいことに、「大歩危」は「道の駅 大歩危」から無料で眺めることができる。

いっぽうの「小歩危」は、岩も小さく女性的と云われており、国道32号線から5分ほど入った場所にある「小歩危展望台」から同じく無料で眺められる(この写真は国道32号沿いの橋の上から撮影したもの)。
ただし「小歩危」は、「大歩危」よりも北に位置するため、紹介してきたルートで、高知方面に向かう人が観るには、少し三好方面に引き返すかたちになる。
大歩危・小歩危&祖谷渓の車中泊事情
最初に結論から云うと、このエリアにはお勧めできる車中泊スポットはない。
といっても観光には、普通なら半日あれば十分だと思う。
ゆえに無理に車中泊をする必要はないが、近くに2つの道の駅があるので、合わせてその車中泊事情についても記しておこう。
道の駅 にしいや

「道の駅にしいや」は、祖谷渓の「かずら橋夢舞台」から約3.5キロ、クルマで5分ほどのところにあり、1100円で日帰り入浴ができる「祖谷渓温泉ホテル秘境の湯」が隣接。またトイレにはウォシュレットが完備している。
そこまではいいのだが…
駐車場が17台分しかないうえに、坂の途中にあるため、ことごとく傾斜していて、そのレベルは筆者の車中泊許容範囲を超えている(笑)。
他にないのなら別だが、慣れた車中泊の旅人がここで泊まるとは思えない。
道の駅 大歩危

「道の駅 大歩危」は、「道の駅にしいや」から約8キロ離れた、吉野川に沿って走る国道32号沿いにある。
「道の駅にしいや」に比べれば駐車場は平坦で、道の駅らしさも感じられるが、こちらも駐車場に難がある。

というのは、公式サイトには総駐車場台数52台と書かれているが、そのうちの過半数を超える33台分は、高さ2メートルまでの地下駐車場になっており、営業時間も9時から17時となっている。
つまり車中泊ができるスペースは19台分しかなく、ハイシーズンは夜間満車になる可能性が高い。
いつの時代も、「車中泊はノープラン&ノー予習」が”かっこいい”と思っている人はいる。しかも得てして道の駅に頼りたがる。
「道の駅 大歩危」は、そういう人たちの溜まり場になる公算が高い道の駅の典型だ。
ゆえに明るい時間帯の利用をお勧めする。
なお場内には”お決まり”の「宿泊禁止」の表示があるが、車中泊の旅で訪れている人は、その対象には入らない。
気になる方は、以下の記事をご覧いただければ、その意味がよくわかるはずだ。
ただ、日が暮れてから車中泊をするつもりでここまで来てアウト!になったのでは気の毒なので、その場合の”緊急避難先”もついでに紹介しておこう。

「道の駅 大歩危」から国道32号を北へ3キロほど進んだところに、24時間営業のローソンを併設する、「リバーステーションWest-West」という施設がある。
ここは今のところ駐車場も24時間利用できるので、車中泊ができなくはない。
というより、「道の駅 大歩危」よりはるかに適しているというのが実際だ。
とはいえ、道の駅ではなく民間の施設なので、マナーの悪い車中泊利用者に手を焼くことがあれば、いつ禁止になってもおかしくはなく、「ここがあるから大丈夫」とは言い切れない。
筆者はここにこそ、RVパークを作ればいいと思うのだが…
そんなわけで、普通に観光がしたいという車中泊の旅人は、ワンデイで「大歩危・小歩危&祖谷渓」を後にするほうが無難。
ついでに云うなら、自然に囲まれて車中泊がしたい人はキャンプ場へ(笑)。
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門
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