「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
「有馬温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.12.04
2014.12.02
2015.12.12
2016.11.25
2026.01.18
※有馬温泉での現地調査は2026年1月が最新です。
有馬温泉 観光&グルメスポット

「瑞宝寺公園」は
”温泉観光地あるある”
有馬温泉ってどんなとこ?

この記事をご覧になっている貴方は、すでに「有馬温泉」がどういう温泉地なのかはご存知だと思う。
もしまだ、太平洋の沖合にあった海水が、約600万年という気の遠くなるような年月を経て、六甲山の北側に湧き出してきた、世にも稀なる名湯「金泉」のことをよく知らないという人は、先にこちらの記事をご覧いただいたほうがいいかもしれない。
飛鳥時代から、皇族・貴族・武士・文化人らに愛され続けてきた、「有馬温泉」が楽しめるところを知るのは、それからでも遅くはないだろう。
有馬温泉に着いたら、まず最初に行くところ

さて。
「有馬温泉」に到着し、駐車場にクルマを停めたら、まずは「太閤橋」の角にある「観光総合案内所」に足を運ぶといい。
お目当てはウォーキングマップだ。

「有馬温泉街」はどこへ行くにも坂道なので、適当に歩けば普通の温泉地の倍以上は疲れると思っていい(笑)。
なのでロスを避けるためにマップは必須だが、下のマップには5つのハイキングコースが載っており、終日滞在する人なら全部を周ることもできると思う。
筆者のイチオシは、有馬温泉のランドマーク「金の湯」「銀の湯」を通る「歴史コース」で、距離は約1.5キロ。日帰りで有馬温泉を楽しみたい人にはちょうどいい。
ちなみに「有馬温泉」にある、日帰り入浴施設の詳細はこちら。
これもすでにご存知のことと思うが、

「有馬温泉」は、あの「大坂城」を打ち立てた天下人が、惜しみなく財を注ぎ込んで築いた、桃山時代の一大リゾート地だけに、奥行きが深いのは当たり前。
「秀吉」は、質素倹約がモットーの「家康」とは正反対の大浪費家だ(笑)。
温泉入湯と”そぞろ歩き”の前に、「有馬の工房」へ

もうひとつ「有馬温泉めぐり」を始める前に訪ねておきたいのが、「金の湯」と「太閤の湯殿館」の中間に位置し、温泉寺の向かいに建つ「有馬の工房」だ。

ここは、「旧有馬保養所」の建物を改修し、2003年6月に作られた複合型の観光拠点で、有馬温泉の入湯法と見どころを無料で紹介しているほか、暑さ・寒さ、さらには急な雨などで、少し休憩したい時にも気軽に利用できるお勧めの施設だ。

日帰り客にお勧めなのは、有馬温泉の歴史や文化を紹介する「温泉ギャラリー」と、伝統工芸の「有馬籠」や「人形筆」を常設展示している「多目的ホール」、さらにはこだわりのそば処「全寿庵ごんそば」がある1階と、2階の有料の休憩室になる。

無料の「温泉ギャラリー」では、「金泉」の詳細や入湯法が紹介されているので、できれば入湯する前に見たほうがいい。

同じく無料の「多目的ホール」は、温泉街を”そぞろ歩き”する前に見ておくと役に立つと思う。
有馬温泉の観光ガイドを見ると、入場無料のせいか『ちょっと扱いが粗末』に思えるのだが(笑)、利用する側からすれば、喉も乾いてないのに、わざわざカフェに入って休まなくて済むのはありがたい。

なお「温泉ギャラリー」の奥には、イートイン・スタイルながら、「そば通」を唸らせる「全寿庵ごんそば」があるので、もし空腹であれば、ここでもお腹を満たすことはできる。
「全寿庵ごんそば」を始めたのは、有馬川に蛍を復活させた有馬小学校の名物校長「北村忠敬」氏で、筆者は2度足を運んでいるが、『根っからそばが好き!』というのが伝わる温かい人だった。
すでに本人は他界されてしまったが、その想いはこの公式サイトに残されており、今は奥さんが店を切り盛りしている。

こちらが、店主自慢の「たたらそば(韃靼そば)」だ。
「韃靼蕎麦」と云えば、蕎麦茶によく使われる品種だが、「強い苦味」があるため好みが分かれることと、伝統的な栽培地域が限定的(高地)であったこと、そして皮が硬く加工が難しいという3つの要因から、そばの本場信州でも扱う店は少ない。

なお2階の休憩室は、洋室が1時間につき700円で、和室は1時間につき1000円(延長も同額)になる。
最後は3階にある素泊まり部屋の「小宿とうじ」だが、ネットを見るかぎり部屋はすこぶるキレイで、料金はシングル(1人利用)でも、ツイン(2人利用)でも同額で、平日は11000円、それ以外は17600円となっている。
予約は各種旅行予約サイトから普通にできるようだが、公式サイトはほとんど役には立たず(笑)、こちらに素晴らしく分かりやすい記事があるので、ご利用の際は参考にしていただきたい。
ミニバンや軽自動車の車中泊旅行者には、検討の余地があるプライスでは。
イチオシは「神戸市立太閤の湯殿館」

入湯の先でも後でもかまわないのだが、ここへは足を運んでおくといい。
「神戸市立太閤の湯殿館」は、「有馬温泉」の歴史と「豊臣秀吉」とのゆかりを展示する博物館で、安土桃山時代に「秀吉」の別荘として使われていた「湯山御殿」の遺構が保存されている。
興味深いのは、「神戸市立太閤の湯殿館」が誕生した経緯だ。
「秀吉」が亡くなって以降、「湯山御殿」は解体されて、その在り処すら記録には残されていなかったのだが、それからおよそ400年を経た1995年(平成7年)の「阪神・淡路大震災」で、損壊した「極楽寺」の庫裏(くり/寺の調理場)の下から、その遺跡が発見された。
”そぞろ歩き”を楽しむなら「湯本坂」

基本的にこのマップの「歴史コース」が、「有馬温泉街」に該当するわけだが、

伝統工芸品と炭酸煎餅や松茸昆布などの特産品の店が軒を並べる「湯本坂」が、その「メインストリート」になる。
さて。
”そぞろ歩き(漫ろ歩き)”とは、『特にこれという目的もなく、ぶらぶらと歩きまわる』という意味だが、それにはやはり”食べ歩き”が付き物だ。
そこでまずは、「湯本坂」で”食べ歩き”ができる有馬温泉名物を紹介しよう。
ありまサイダー てっぽう水

その筆頭に挙げたいのは、この「ありまサイダー てっぽう水」だが、味はもとより、驚くべきはその歴史。
といっても、現在発売中の商品はその復刻版で、当時のオリジナルとは材料も味も違うようだ。
それでも自慢の強炭酸は健在。
これの話を読めば「スカッと爽やか」に有馬温泉が楽しめるに違いない(笑)。
三津森本舗の手焼き炭酸煎餅

「炭酸煎餅」は「有馬温泉」の炭酸泉を利用したシンプルな薄焼きのお菓子で、名前は和風だが味は洋風という、「文明開化」の明治生まれらしいお土産品だ。
歯ざわりがよいうえに、老若男女にマッチする適度な甘さに仕上げてあるため、誰にあげても「嫌がらずに食べてもらえる」。
しかも安くて、持ち帰るのに軽いとくれば、「敵なし」になるのも頷ける。
だが、そんな「炭酸煎餅」にもブランドは存在する。

それが元祖を自負する「三津森本舗」だ。
「湯本坂」にあって、一際目を引く店構えをしているので、すぐにわかると思う。
「三津森本舗」では、「炭酸煎餅」の”焼き立て”が試食ができるが、いちばんの魅力は、「手焼き」にあるという。

「三津森本舗」の暖簾をくぐると、まずは愛想よく焼きたての炭酸煎餅を手渡してくれる。今は試食に感動する日本人は少ないと思うが、それでも”焼きたて”には誰でも心が揺れる。
そこには日本人が好む「さりげないおもてなしの精神」が宿っているからだ。
実はこれこそが、店頭で「炭酸煎餅」を焼く「三津森本舗」にしかできない、オンリーワンのサービスになっている。
云われなければ気がつかないが、『聞けばなるほど!』という話だった。
竹中肉店のコロッケ

「湯本坂」の途中にある「竹中肉店」のコロッケは、黒毛和牛のミンチを使い、じゃがいもの甘さを際立たせている絶品で、小腹が空いた時にお勧めだ。

筆者が食べた2015年は、この程度で買えたのでブログでも紹介していたのだが、

2026年にはこうなっていた!
もう筆者には無理だね(笑)。

続いてはランチだが、温泉街を歩きながら美味しそうな店を探す… というのは、筆者の経験上、簡単そうで難しい。
有馬温泉に限らず、雑誌に出ている店は平日でもお昼前後には行列ができる。
それを見てしまうと、誰も並んでいない店に入ることに躊躇が生じる(笑)。
そうなると、もうなかなか決まらない。
それが煩わしい人は、あらかじめ行く店を決めておくといい。
といっても筆者は、前述した「有馬の工房」の中の「全寿庵ごんそば」と、これから紹介する釜飯専門店「くつろぎ家」しか知らないのだが、どちらも10年以上続いているので、それほど悪い店ではあるまい。
釜飯専門店くつろぎ家

「くつろぎ家」は「池坊有料駐車場」のすぐ近くにある、一軒家を改装した食事処で、淡路島近海や瀬戸内で水揚げされた魚介類と、山の幸を使った釜飯専門店として、昔から「るるぶ」などの観光ガイドでお馴染みの老舗だ。

2026年1月撮影
メニューにはゴージャスな「まんぷくコース」と、リーズナブルな「いっぷくコース」の2つがある。

2010年12月撮影
写真は「いっぷくコースのくつろぎ釜」で、釜飯はそこそこボリュームがあり、風呂上がりに中高年が食べるランチとしては、十分に満足がいく内容だった。

ちなみに注文してから釜飯が炊けるまでの時間は約25分。先にこのデザートのような茶碗蒸しからいただくといい。
☎078-903-1550
11時~17時
火曜 定休
※駐車場はないが、「池之坊有料駐車場」から徒歩1.2分
最後に。

時間があれば「金の湯」の向かいにあって、グリコのおもちゃデザイナーであった「加藤裕三」氏が、子どもや遊びに関わる仕事をしてきた集大成として設立し、ヨーロッパで世代を超えて遊ばれているおもちゃを約4000点収蔵している、「有馬玩具博物館」にも立ち寄ってみるといい。
ちなみに玩具館は、湯郷温泉(岡山県)・伊香保温泉(群馬県)・鳴子温泉(宮城県)でも見かけたが、それが温泉地に多いのには、次のような理由があるらしい。
① 湯治・長期滞在と相性がいい
昔の温泉地は「1泊2日」ではなく、湯治で何日も滞在する場所だったため、湯に入らない時間や子どもや付き添いの人が暇になりがちで、室内で楽しめる玩具館は格好の娯楽施設だった。
② 温泉地は家族の観光地
かつては温泉は、家族でも特に三世代の旅行者が多く、子どもを引きつける玩具館が集客の役割を担っていた。
もっとも現在は『華やかなりし昭和』を懐かしむ、「レトロな観光資源」として活かされているケースが多い。
癒し・ノスタルジー・ゆっくり流れる時間等々、昔の「おもちゃ」や「からくり」は、温泉の「非日常さ」や「ぬくもり」と感情的に相性がいいようだ。
湯上がりには、「太閤橋」周辺がお勧め

人ごみは苦手だが、「有馬温泉街」の中を少し散策したいという人にお勧めなのは、「金の湯」から「太閤通」を下ったところにある「湯けむり広場」と「親水公園」で、両者は「太閤橋」の下で有馬川伝いに通じている。

「湯けむり広場」は、「有馬温泉駅」から「有馬温泉街」へ向かう道路沿いにある小さな広場で、中央には温泉の湯けむりに見立てた滝のモニュメントがあり、その傍らに「有馬温泉」とゆかりの深い「太閤・豊臣秀吉」が鎮座している。

そして「湯けむり広場」の前を流れる有馬川の、「太閤橋」と赤い欄干の「ねね橋」の間の河川敷を整備したスペースが「親水公園」になる。

また「ねね橋」の袂には、有馬川をはさんで向かい合うように、「秀吉」の正妻「ねね」の像が佇んでいる。
一帯は「有馬さくら祭」や「有馬涼風ビアガーデン」などのイベント会場としても使われ、湯あがりに涼むベストスポットになっているが、雨天時には急に増水することがあるので注意が必要だ。
増水の危険を知らせる回転灯が点灯している時は、河川敷に下りないようにしよう。
湯けむり情緒が味わいたいなら、「天神泉源」へ

「天神泉源」は、1948年(昭和23年)に掘削された比較的新しい泉源で、学問の神様を祀る「有馬天神社」の境内にある。

地下約185メートルから湧き上がってくる、摂氏98度のお湯がたぎる給湯装置の煙突からは、随時白い湯けむりが立ち昇り、温泉情緒を掻き立ててくれる。

「天神泉源」は、SNSでも人気の撮影スポットになっているようで、昔は中高年しか見かけなかったが(笑)、近年は若いカップルの姿が目立つようになり、2025年7月には、境内に自家製の有馬温泉玉子・おやき・各種飲み物を提供する、休み処の「有馬天神茶屋」もできている。

また「有馬温泉」では「天神源泉」の他にも、「有明泉源」「御所泉源」「極楽泉源」「妬(うわなり)泉源」及び、「炭酸泉源公園」を見学することができる。
なかなか味わえない「泉源めぐり」は、温泉好きにはいい余興になるだろう。
主な泉源はこちらで確認を。
「瑞宝寺公園」は、”温泉観光地あるある”

ラストは「有馬温泉」の高台にあり、約2500本もの落葉樹が色づき始める、毎年11月の2日・3日に、盛大な「有馬大茶会」開催される「瑞宝寺公園」について。
写真の山門は、京都の「伏見桃山城」から移築されたもので、「秀吉」とのゆかりが深いのは確かだが、観光客にとって『行く価値ありかどうか』は疑問だ。
以下の記事ではその詳しい理由とともに、『温泉地の観光情報あるある』についても言及している。

なお「包ヶ滝公園」についても、同様の理由から割愛させていただいた。
筆者は取材を兼ねて訪ねてみたが、普通はそこまで行かないと思う(笑)。
有馬温泉 車中泊旅行ガイド

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