「車中泊の定義」と、その「共通認識」なくしては語れない話
「グランドデザイン」という言葉がマスコミでよく使われていたのは、東日本大震災の復興がちょうど始まろうとしていた頃だ。
大津波によって壊滅的な被害を受けた三陸海岸一帯を、ただ復興させるだけでなく、どんな「まちづくり」のビジョンを描き、それに向けたアクションプランを立てていくのか… 連日そんな話題がニュースで語られていた。
グランドデザインは、日本語では「全体構想」と置き換えると理解しやすい。
では我々が今楽しんでいる「(車中泊)クルマ旅」に、そのグランドデザインはあるのだろうか…
もしかすると、それは筆者の知らないところで描かれ、知らないまま進んでいるのかもしれない。
筆者が想う「クルマ旅のグランドデザイン」は、日本人だけでなく外国人観光客をも含む、「日本の個人旅行の新たなカタチ」だ。
既存の宿泊施設に「車中泊」と「リアル・オートキャンプ」を加えた自由度の高い「クルマ旅」は、電車やバスを使うこれまでの個人旅行を凌駕し、旅行会社が企画するパックのツアー旅行をも抜き去る可能性があると思っている。
「クルマ旅」はその2つに、ビジネスホテルなどの宿泊施設を交えつつ、日本各地をドライブしながら訪ねる「個人旅行の手法」である。
筆者はそういうクルマ旅を、同じように徒歩で実践している「バックパッカー」に準じて、「オートパッカー」と呼んでいる。
バイクや自転車の個人旅行者も、乗り物が異なるだけで本質は変わらない。
その背景にあるのが「自由」だ。
考えてみれば、オートパッカーだけでなく、バックパッカーやバイクパッカーには、学生や自営者、あるいは定年を迎えたシニア世代が多い。いずれもサラリーマンに比べると「自由の身」であり、長期の旅ができる立場だ。
彼らはいまさら筆者に云われなくても、既に「クルマ旅のグランドデザイン」に気づき謳歌もしている(笑)。
ここからは「車中泊クルマ旅」の話になるが、クルマはホンダを筆頭に「車中泊クルマ旅」市場を自動車メーカーが意識し始め、車中泊スポットも、道の駅以外に新たな施設が作られつつある。
もっともそれには、相次ぐ地震災害の「避難方法」として、「車中泊」がクローズアップされていることも無関係ではあるまい。
ゆえに現在遅れているのは、クルマや宿泊施設などの「ハード」よりも、短期で「車中泊クルマ旅」を楽しむためのノウハウやガイドブックといった「ソフト」だと思う。
たとえば、岡山県の倉敷には大原美術館やアイビースクエアが建つ「美観地区」という素晴らしい観光資源があるが、ここを車中泊の旅行者がどこに泊まって、どう旅すればいいのかは、未だにほとんど示されていない。
中にはネットを見ればわかるという人もあるだろうが、それは「食べログ」と同じく、あくまでも旅をした一般人の感想であって、プロが作成した「ガイド」と呼べるものは極めて少なく、また質の良いページはSEO対策された「おまとめサイト」などに埋もれて、簡単には探せないのが実情だ。
筆者のホームページと、書籍化された車中泊コースガイドは、そのエアポケットを埋めるひとつのパーツにすぎない。
それでも、残りの人生をかけて取り組もうとしている「ひとりるるぶプロジェクト」(笑)は、微速ながら着実にその歩みを進めている。
2020年2月時点での、車中泊コースガイド出版実績
■全国車中泊コースガイド 春夏 2020年2月初版
■日本縦断・車中泊コースガイド(※東日本編・西日本編を統合して重版出来)
■日本一周・車中泊コースガイド 本州日本海ルート
■日本一周・車中泊コースガイド 本州北海道ルート
■温泉・車中泊コースガイド(※情報を追記して重版出来)
■北海道・車中泊コースガイド(※情報を追記して2017年6月重版出来)
■信州・車中泊コースガイド
■寺社仏閣・車中泊コースガイド
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