「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
オートキャンプ場を含む、下北山スポーツ公園の一画にある「美肌の湯」
下北山温泉は、バスフィッシングで有名な池原ダムの前に整備された下北山スポーツ公園の中にある。
ここにはテニスコート、多目的グランド、オートキャンプ場、コテージなどが備わり、家族連れやグループがスポーツ・レジャー・アウトドアを楽しむ拠点となっているほか、研修・合宿等にもよく使用されている。
ちなみに《きなり=生成り》とは、純粋、素朴、まざりけのないと言った意味で、”本物の暮らしのある村づくりを”という願いを込めた言葉らしい。
温泉の大浴場は、天然木造りの「槙の湯」と、自然石造りの「栃の湯」があり、男女日替りになっている。
写真は「栃の湯」の露天風呂で、ほかには泡湯・うたせ湯・サウナもある。
形態からすれば、「スーパー銭湯」に近いうえに、源泉掛け流しではないため、温泉フリークのサイトでは、あまり取り上げているのを見かけない。
だが、「きなりの湯」は、「pH7.5のナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」という平凡な表記からは到底想像できない、トロトロ感に満ちた優しい肌触りがする「美肌の湯」だ。
奈良県には、曽爾高原に「お亀の湯」という評判の日帰り温泉があるが、そこと遜色のないヌメリを感じた。
車中泊について
冒頭にも記した通り、「きなりの湯」はオートキャンプ場を併設する下北山スポーツ公園内にあるので、そこに泊まれば電源もあるし自炊も可能だ。
大阪方面から来て、大台ケ原をハイキングした後、ここをゴールにするなら、それがベターだと筆者も思う。
しかし、国道169号で紀伊半島を南下する車中泊の旅人の中には、そのまま尾鷲に出て、那智勝浦を目指す人も多いはずだ。
ここからは熊野灘までは30分ほどで到達できる。
だが、その前に吉野山や大台ケ原に寄り道すれば、温泉がある上北山の道の駅あたりで陽が傾き、中高年ならそこらで1泊したくなるに違いない。
だがそうするなら、レストランが午後9時まで営業しており、畳の休憩室が無料で使える「きなりの湯」で寛ぎ、写真の下北山スポーツ公園入口近くにある無料駐車場で車中泊をするほうがいい。
ここにはキレイなトイレがある。
ただし、いうまでもなく連泊や自炊は控えよう。
下北山温泉 きなりの湯
〒639-3805 吉野郡下北山村上池原(下北山スポーツ公園内)
☎07468-5-2001
【施設概要】
•所在温泉地 :下北山温泉
•業態 :日帰り温泉
•泉質 :ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
•お湯:循環濾過
•お風呂:内湯2・露天風呂2(男女交代制)
•休憩スペース :あり(無料)
•飲食施設:あり
•駐車場 :あり(約70台・無料)
•シャンプー・石鹸等:あり
•ドライヤー:あり
【利用データ】
1.営業期間:通年
2.営業時間:11時~21時30分(受付最終21時)
3.定休日:第2第4火曜
4.入浴料:大人650円・小学生350円
車中泊で訪ねた近畿各地の秘湯・名湯の入湯レポート。