「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
それほどこってりしてない、関西の中高年向きの味わい
「福龍」の横手やきそば【目次】
「B-1グランプリ」で優勝1回、準優勝1回の実績を誇る「横手やきそば」の特徴は、目玉焼きのトッピングで、その黄身を崩して、ちょっと多めのソースと絡めて食べるのが「地元の流儀」らしい(笑)。
出汁入りウスターソースで味付けされるため、味は甘めで若干水気が多い。
具材にはキャベツや豚のひき肉などを用い、麺は縮れた蒸し麺ではなく、茹でたストレート麺を使う。
また付け合せとして、紅しょうがではなく福神漬けが付いてくるのも、「横手やきそば」の特徴のひとつだろう。
そもそも「横手やきそば」は、焼きそば好きの横手市職員が作ったウェブサイトが、マスコミに取り上げられてブームのきっかけになったB級グルメの典型例だ。
写真は「横手やきそば」の生みの親とされる「元祖神谷焼きそば屋」。
残念ながら2012年に訪ねた日は「定休日」で実食未遂に終わった。
筆者はグルメのコンテンツも旅の中に取り入れてはいるが、それがメインというわけではない。
ましてや還暦を過ぎてまで、こういうことがありがちな有名店を改めて追うのは、明らかに重荷になってきた(笑)。
B級グルメについては、「アバウトどういうものか」を知り、それなりの店で賞味できれば十分満足。
今はそれが本音だね!(笑)。
「福龍」の横手やきそば
というわけで、今回は「道の駅 十文字」で食べられる、四天王に輝いた実績を持つ、昭和46年創業の老舗食堂「福龍」の「横手やきそば」を紹介したい。
なぜなら「道の駅 十文字」は、車中泊の旅の駅に好適で、東北を旅する人が立ち寄る機会の多い道の駅でもあるからだ。
さて。
「福龍」の「横手やきそば」は、食感にこだわった自家製の茹で麺が自慢で、オリジナルソースを使用したコスパの良さで人気があるとのこと。
実はこの時の気分は「ホルモン焼きそば」だったのだが、さすがにここまできて「定番」を外すわけにもいかず、書かれた通りに「肉卵やきそば」を注文した。
こちらは卵を絡める前のそば。
麺は想像していたよりやや細めで、甘みの強いソースは酸味が控えめなせいか、見た目よりもアッサリ感じた。
筆者は「福龍」以外では、秋田ふるさと村に出店している、「第一回横手やきそばグランプリ」を獲得した「出端屋」の「横手やきそば」を賞味したことがあるのだが、卵を絡めた味の濃厚さでは「出端屋(いではや)」のほうが一枚上という気がした。
その意味からすると、「福龍」の「横手やきそば」は関西在住の中高年には食べやすいものだと思う。
また道の駅のフードコートにあるせいか、「横手やきそば」以外にも品揃え豊富なラーメンが人気のようで、「福龍」は地元の人からも愛されている店のようだ。