25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、紅葉シーズンの「寒霞渓」を、混雑をかい潜ってスムーズに観光するためのガイドです。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
瀬戸内海まで見渡せる「寒霞渓」は、四国屈指の絶景紅葉スポット。

寒霞渓(かんかけい) DATA
寒霞渓(ロープウェイ山頂駅)
〒761-4433
香川県小豆郡小豆島町神懸通乙168(山頂駅)
☎0879-82-2171
8時~17時(季節によって変動)
「寒霞渓」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2014.11.23
2020.06.23
「寒霞渓」での現地調査は2018年6月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年1月に作成しています。
寒霞渓
寒霞渓のロケーションと概要

「寒霞渓」は約1300万年前の火山活動によって堆積した疑灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)が、度重なる地殻変動と風雨による侵食により、今日にいたる断崖や奇岩群を形成してきた奇勝だ。

「日本書紀」にも記述が残るこの奇勝には、崩れた崖や絶壁などを指す「鍵掛(鉤掛)」「神懸」「神駆」などの漢字が当てられ、長らく「カンカケ」の名で親しまれてきたが、明治初期の儒学者「藤沢南岳」により「寒霞渓」と命名された。
その後、1923年(大正12年)に「神懸山(寒霞渓)」として国の名勝に指定され、また1934年の「瀬戸内海国立公園」設置の契機となった。
この東西7キロメートル、南北4キロメートルに及ぶ大渓谷は現在、「日本三大渓谷」「日本三大奇勝」「日本百景」、さらには「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれ、「瀬戸内海国立公園」を代表する景勝地のひとつとして、特に紅葉の季節には多くの観光客で賑わっている。
それゆえ…

ハイシーズンの駐車場やロープウェイの混雑ぶりは、すざましい(笑)。
インバウンドが増え続けている今は、かつてのように『平日なら空いている』という”定説”が通用しなくなってきており、紹介している絶景を満喫するには、しっかりした予習と対策が、以前にも増して必要だ。
寒霞渓の登山ルート

出典:寒霞渓公式サイト
最初に知っておくべき話は、「寒霞渓」の登山ルートになる。
「寒霞渓」の山頂には、「ロープウェイ」以外に、表と裏の2つの「登山道」、そして「ブルーライン」と呼ばれる、クルマが通れる一般道が通じている。

車中泊の旅人は、この3つの選択肢を組み合わせることができるので、そのメリットを最大限に生かして激戦を乗り切りたい。

いずれにしても、撮影のチャンスは午前中になる。午後からは日が当たりすぎて山全体が霞んでしまうので、「寒霞渓」に時間をまわすのはもったいない。

なおインバウンドやツアー客はクルマを使わないので、3つのルートでは確かに「ブルーライン」がもっとも空いているのだが、観光としては山頂エリアの展望台を観て帰るだけになるだろう。
紅葉の寒霞渓 ベストコースガイド

そんなわけで結論は、朝一番に「ロープウェイ」で山頂まで登り、徒歩で「表登山道」を下山するのがベストコースになる。

このコースだと、ロープウェイの窓からスケールの大きな「寒霞渓」の紅葉絵巻を堪能しながら山頂に至り、そこで瀬戸内海を見渡す眺望を観て、「12景」と呼ばれる「寒霞溪」の見どころを、”線”で楽しみながら下山してくることができる。
すなわち、『一粒で3度おいしい』思いができるというわけだ。

そのためには、朝一番で「こううん駅」の無料駐車場にクルマを停める必要がある。

収容台数は40台だが、紅葉時期の休日は、始発便が出る朝8時にはもう満車になる。
後は延々と路上に縦列駐車が続くが、個人客の多くは「表登山道」を歩いて下るため、なかなか空きが出ないようだ。
なお「寒霞渓ロープウェイ」の料金は、紅葉時期はおとな片道1500円(往復2700円)で、営業時間は8時~17時だが、いずれもシーズンによって異なるので、公式サイトでご確認を。

駐車場さえ確保できれば、後は簡単。
「寒霞渓」にはロープウェイを挟むように、「表12景」「裏8景」と呼ばれる2つの景観群に沿った2本の登山道があるが、利便性が高いのはマップの左側にエンジ色で示された「表登山道」で、クルマを停めた「こううん駅前」の駐車場に自然と戻って来ることができる。

「表登山道」は約2キロで、ゆっくり歩いて下れば1時間ほど。ただ低山とはいえ、登りはけっこう険しいと思う。
ちなみに、儒学者の「藤沢南岳」によって命名された「寒霞渓12景」とは、
①通天窓(ツウテンソウ)
②紅雲亭(コウウンテイ)
③錦屏風(キンビョウブ)
④老杉洞(ロウサンドウ)
⑤蟾蜍巖(センジョガン)
⑥玉筍峰(ギョクジュンポウ)
⑦画帖石(ガチョウセキ)
⑧層雲壇(ソウウンダン)
⑨荷葉岳(カヨウガク)
⑩烏帽子岩(エボシイワ)
⑪女蘿壁(ジョラヘキ)
⑫四望頂(シボウチョウ)

それぞれの場所には説明書きが立っているが、正直「云われなければ素通りしてしまう程度」のものもあった(笑)。
ちなみに写真は「玉筍峰」。これはなんとなく分かるよね(笑)。

その中で気になったのは、④老杉洞(ロウサンドウ)のところにある、愛媛県出身の「正岡子規」の句碑で、「頭上の 岩をめぐるや 秋の雲」と刻まれている。
「正岡子規」は、1902年に肺結核による脊椎カリエスのため、35歳の若さで生涯を閉じたが、30歳を前に病が悪化し、ほぼ寝たきりに近い状態になっていた。
そのため「松尾芭蕉」や「与謝野晶子」に比べると、その足跡を残す句碑が残されていない。
1891年に「寒霞渓」を訪れた時に詠んだ句を刻んだこの句碑は、まだ結核を発症する前の若き「正岡子規」の、希少なものと云えるだろう。

また「寒霞渓」で、香川県の天然記念物に指定された野生のサルの群れがいるのも、同じ「老杉洞」の付近。
ここの餌付けされた群れのサルはおとなしいが、「こううん駅」周辺に居ついている個別のサルには注意が必要だ。

さて。
こちらは、「寒霞渓山頂駅」にある無料駐車場で、収容台数は200台。
車中泊もできるようだが、早朝に朝日を撮るとか「星ヶ城」に登る人は別として、一般の観光客がここで車中泊をする必要性は見当たらない。
それより…
この駐車場は、朝出遅れて「こううん駅」の駐車場に8時前に到着するのが難しくなった人にお勧めだ。

出遅れた時はロープウェイをあきらめて、自力で山頂まで走り、展望台からの絶景をモノにするのが、車中泊旅行者にできる”裏技”になる。

出典:寒霞渓公式サイト
というのは、ロープウェイ、クルマのいずれで来ても、「寒霞溪」最大の見どころはこの山頂付近になる。
ただし、さすがに10時を回ればクルマも増える。ここは日中に渋滞にハマると抜け道がないため、油断はできない。
寒霞渓の車中泊事情

「寒霞溪」の「こううん駅」に朝から向かうには、約8キロ・クルマで15分ほど離れた日帰り温泉を併設している「道の駅 小豆島オリーブ園」か、その近くにある「オリーブナビ小豆島」での車中泊が最適で、マップで見るより、実際には近い。
島の反対側にも「道の駅 大阪城残石公園」があるが、そこからはマップに書かれたように走りづらい県道31号でアクセスする必要があるので勧めない。

なお「こううん駅」無料駐車場は、屋外にトイレはあるが、2025年1月にネットで調べたかぎり、残念ながら車中泊が可能かどうかまではわからなかった。
もし可能なら、早起きが苦手な人は、ここで車中泊をするのが確実かも知れないが、それは自力で調べてくれたまえ(笑)。
寒霞渓(ロープウェイこううん駅)のアクセスマップ
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