この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
セルフのガソリンスタンドがある、新名神高速道路上のサービスエリア
「土山サービスエリア」のロケーション
土山SAは三重県との県境に近い滋賀県甲賀市土山町にある大型のサービスエリアで、近くには忍者発祥の地とされる「甲賀の里」がある。
全盛期には約70もの流派があり、「間者(かんじゃ)」「隠密(おんみつ)」、また女性は「くノ一(くのいち)」とも呼ばれた忍者だが、とりわけ有名なのが三重県の伊賀流忍者と滋賀県の甲賀流忍者だ。
「本能寺の変」が起きた際に、家康を無事に堺から逃すための道案内をしたのが、伊賀の忍者「服部半蔵」。
以降、伊賀流忍者が徳川家に重宝されてきたのに対し、甲賀流忍者は豊臣秀吉の指示により、徳川家を監視する役目を担っていたという。その伊賀と甲賀の町は山一つ隔てたところにあり、クルマなら30分ほどで行き来できる。
ちなみに、日本で最初に忍者を使ったのは「聖徳太子」だとか。忍者も調べてみると、なかなかおもしろい(笑)。
また2019年秋から2020年春にかけて放送された、NHKの朝ドラ「スカーレット」の舞台となった信楽の町も近い。
「土山サービスエリア」の施設
新東名高速が開通した今では珍しくなくなったが、土山サービスエリアの施設は上下線共用になっている。
こういうレイアウトは、逆方向から来る友人と高速上で待ち合わすのに適していて、預かっていた忘れ物を渡したりする際にはとても便利(笑)。
フードコートは思っているより狭く、休日はご覧の通りの混雑ぶり。
ただ、ありがたいことにセブン・イレブンがある。
また、屋外に広々とした休憩スペースと屋台ゾーンも用意されていて、晴れた日は心地良く過ごすことができる。
敷地の一画には、子供やペットが羽を伸ばせる公園もある。
セルフのガソリンスタンドを含め、土山SAは旅行者の「財布にやさしい道路休憩施設」といえるだろう。
今度は駐車場について。
駐車場は上下線ともに平坦で、車中泊に支障はない。
ただしトラック・クレーンが近いので、夜間はエンジン音が気になる。
実は、開業当時の土山SAには、トラック用の「給電スタンド」があった。
これは中央自動車道の「談合坂SA(上り)」とともに、実験的に導入されたエコのための設備だったが、トラック側にスタンド対応の冷暖房装置等を別途取り付ける必要があったことも影響して、ほとんど用を果たさないまま、いつしか消えて失くなった(笑)。
たぶん車中泊をする多くの人は、運送会社がこういうものにお金をかけるとは思ってなかったと思うし、事実そのとおりだった。
現在のサービスエリアにおけるトラックのアイドリング実態を見れば、車中泊旅行者の暑さ・寒さ対策は「切ない努力」に思えてならない。