車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、車中泊で旅する京都の嵐山と嵯峨野のモデル散策コースをご紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
嵐山・嵯峨野の真の魅力は「景色」にあり
中高年のための嵐山・嵯峨野 モデル散策コース

プロローグ
嵐山・嵯峨野観光の「本筋」
散策コースのガイドに入る前に、嵐山と嵯峨野の本来の姿の話をしよう。
嵐山・嵯峨野は平安時代の貴族が別荘を構えた「隠れ里」で、日本史に名を残す著名人ゆかりの古刹が、数多く残っている。
この地が紫式部の書いた源氏物語の舞台であることは有名な話だが、それ以外にも、西行や芭蕉などの文人が訪れては、その美しい風景を和歌や俳句にしたためてきた。
つまり嵐山・嵯峨野観光の「本筋」は、古刹をめぐることよりも、むしろ景色を愛でることにある。
ただ、だからといって高名な寺社仏閣を訪ねることは否定はしない。
例えば世界遺産の天龍寺は、室町幕府を興した「足利尊氏」が、南北朝時代を生きた「後醍醐天皇」の菩提を弔う為に、莫大な費用をかけて創建した寺院だし、二尊院には「藤原定家」が、小倉百人一首の撰定をした地とされる「時雨亭跡」がある。
また祇王寺は「平清盛」ゆかりの尼寺として、平家物語に登場する。
京都はそういった歴史的背景を知って行くのと、知らずに行くのとでは、おそらく見どころが大きく変わる。
つまり、どうせ行くなら”予習をしてからのほうがいい”。
特に嵐山・嵯峨野は、京都が誇る”屋外古典ミュージアム”なのだから…
嵐山・嵯峨野へのマイカーアクセス
さて。嵐山・嵯峨野へのアクセスだが、車中泊で行くなら亀岡駅前のコインパーキングにクルマを置いて、JRでパーク&ライドするのが一番いい。
それがスケジュール上難しいという場合は、普通車(105台分)が1日1回につき1040円で停められる、京都市営の嵐山観光駐車場があるにはある。
しかし休日の利用は薦めない。
モデルコースの発着点は、JR嵯峨嵐山駅(トロッコ嵯峨駅)
筆者のお勧めモデルコースは、車中泊旅行者向けに、亀岡からのパーク&ライドを前提にしている。
ということで、発着点はJR嵯峨嵐山駅なのだが、この駅はトロッコ嵯峨駅と隣接しており、どちらの線を利用してもこのモデルコースは使える。
モデルコースの概要
JR嵯峨嵐山駅(またはトロッコ嵯峨駅)
↓ 移動時間:徒歩約15分
❶嵐山公園・臨川寺地区
↓ 移動時間:徒歩約10分
❷嵐山公園・中之島地区
↓ 移動時間:徒歩約30分
❸嵐山公園・亀山地区(春日山展望所)
↓ 移動時間:徒歩約20分
❹天龍寺
↓ 移動時間:徒歩約5分
❺竹林の道
↓ 移動時間:徒歩約15分
JR嵯峨嵐山駅(またはトロッコ嵯峨駅)
文字で見ると大変そうだが、若者ならたぶん半日で終わるだろう。
しかしアップダウンが多いので、中高年にはこの程度がちょうどいい(笑)。
コースのほとんどは無料で見学できるが、唯一の有料施設として世界遺産の天龍寺を組み入れている。
なお❶~❸の「嵐山地区」には、お弁当が広げられる無料の場所が幾つかあるので、晴れていれば昼食の持参を勧める。
もちろん食事処は充実しているが、昼時はどこも満員でなかなか席にはつけない可能性が高いと思う。
見どころガイド❶~❸ 嵐山公園
この景色が見られるのはマップ❶の「臨川寺地区」。嵐山については以下の記事に詳しく見どころを記載している。
見どころガイド❹ 天龍寺
このルートでは、天龍寺へは北門からの入場になる。なお、帰りは総門や南門から出てもかまわないが、その場合は次の竹林の道を通ることができなくなる。

見どころガイド❺ 竹林の道
誰もがこういう景色を期待していると思うが、人が起きている時間帯には、まずもって撮ることは難しい。
今の京都は、こういう時でも平気で待てる人にならなければ歩けない(笑)。
ところが2015年の秋、野宮神社の少し北に「竹林の散策路」という新たな観光スポットが誕生した。
入場は無料で9時から17時まで解放されている。
この「竹林の散策路」を管理しているのは、なんと「人力車のえびす屋」らしい。
なるほど、これは日本人でも喜びそうだ。
最後に。
今回紹介したのは、初めて嵐山・嵯峨野をじっくり旅したい人に向けた「入門コース」だが、車中泊からの流れは次回のリピート時にも使えるはずだ。
このコースをしっかり歩けば、リピートの際にどのくらいの観光スポットに足が運べるかの予想もつくようになる。
本格的な嵯峨野めぐりは、それからの話。
京都の「観光密度」は驚くほど濃い。
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