車中泊旅行歴25年の現役のクルマ旅専門家が、普通車での車中泊におけるRVパークの使い勝手を詳しく解説しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド
この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
大半の「RVパーク」では、車外での調理や食事は禁止されている。
「RVパーク」の実態は、キャンピングカーのための車中泊スポット
「RVパーク」が、道の駅より安心・安全な車中泊スポットというのが”誇大広告”だと指摘する理由
必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集「RVパーク」の実態は、キャンピングカーのための車中泊スポット
「RVパーク」とは、「日本RV協会」が、車中泊旅行者に『快適に安心して車中泊ができる場所』を提供するために認定している、車中泊専用有料駐車場のことで、「日本RV協会」の直営施設ではない。
以下に定められた規定に沿って、「道の駅」や民間の「温泉施設」などが、駐車場の一画を改修することで認定が得られるしくみで、全国にあるその数は、2024年1月8日時点で411件となっている。
ただし、
「RVパーク」は、運営している「くるま旅クラブ」の経営母体である「日本RV協会」が、キャンピングカーディーラーの組合的な組織であるため、基本的にはキャンピングカー、それもどちらかといえば、ガタイの大きなバスコンやキャブコンを意識したものであることは確かだ。
筆者の記憶が正しければ、その誕生の背景にあったのは、20世紀の末に横行していた、キャンピングカーによる「道の駅」や「観光駐車場」でのマナー違反。
当時はまだ車中泊という言葉は使われておらず、キャンプ場以外の場所で泊まることを「Pキャン」と呼んでいた。
そして、その悪行が世間に晒されるきっかけとなったのが、1999年に起こった「道の駅なるさわ」の”キャンピングカー立ち入り禁止”事件だった。
この第二駐車場に長期滞在したキャンピングトレーラーが、我が物顔で外に洗濯物まで干したことが、直接のきっかけのように聞いているが、実際はもっと前から目に余るマナー違反が行われていたのだろう。
キャンピングカーの売上に、暗い影を落としかねない事態を重く見た「日本RV協会」は、”世間の嫌われ者”になりつつあるキャンピングカーの汚名を晴らすべく、本格的な打開策の一環として「RVパーク」構想を立ち上げ、一部のマスコミとともに参加の要請を様々な施設に呼びかける。
さらに「日本RV協会」は「公共駐車場におけるマナー10ヶ条」を発表し、「道の駅なるさわ」の騒動は、ようやく鎮静を迎えた。
日本に最初の”ミニバン車中泊ブーム”が巻き起こるのは、その少し先の話だ。
これで上の「公共駐車場におけるマナー10ヶ条」に
03:許可なく公共の電源を使用しない
05:トイレ処理は控える
06:グレータンクの排水は行わない
07:発電機の使用には注意を払う
といったキャンピングカーにのみ該当する、具体的な注意事項が記載されている理由が、理解いただけたと思う。
もちろん、そのこと自体に問題はない。
ただ近年の「車中泊」再ブームにあやかり、さも「RVパーク」や「公共駐車場におけるマナー10ヶ条」が、5ナンバー4ナンバーの乗用車を含む、すべての車中泊旅行者に当てはまると”勘違いする”ような書き方をしている情報発信者には、呆れるを通り越して情けなさを覚える。
わずか30年ほどしかない歴史を振り返ろうともせず、軽率に土足でこの世界を荒らし回るような行為をする連中を、筆者は優しく見守る気にはなれない。
「RVパーク」の位置づけは、道路休憩施設の「サービスエリア」及び「道の駅」で車中泊する以上のサービスを求めるたい人に向けた施設であって、「サービスエリア」及び「道の駅」の代替スポットではない。
まして、そのサービスが「安心・安全」というのは”ありえない話”だ。
「RVパーク」が、道の駅より安心・安全な車中泊スポットというのが”誇大広告”だと指摘する理由
まず「RVパーク」は、誰にとってどのように「安心・安全」なのか?
それは前述した、誕生の経緯と無関係ではあるまい。
普通車よりも目立つキャンピングカーは今もなお、ややもするとマナー違反の矢面に立たされる。もちろんそこには「やっかみ」もあるだろう。
本人が思う思わないに関わらず…
たとえそれが300万円で手に入れた10年落ちの中古車でも、世間はキャンピングカーを「中にお金持ちが乗ってま~す!」というステッカーを貼った、贅沢極まりないクルマだと思っている(笑)。
そうなると誰でも、「こんなところで車中泊をしてもいいの?」と世間から見られることに神経質になり、それから守ってくれる「お墨付き」が欲しくなる。
「RVパーク」で使われている「安心・安全」は、その誹謗中傷に対してだ。
そして確かにそれは、道路休憩施設とは無縁の、「公園の無料駐車場」や「観光駐車場」では当てはまると思う。
しかし「サービスエリア」と「道の駅」は違う。
夕暮れ時にやってきて、陽が昇れば早々に立ち去る車中泊の旅人は、乗っているクルマに関係なく、明らかに国土交通省が認める「休憩」「仮眠」の”合格者”であって、誰からも避難される筋合いはない。
すなわち「不安」がないから、そこでも「安心・安全」でいられるわけだ。
にもかかわらず、あたかも「安心・安全」ではないように煽るのは、国交省の説明が理解できていないか、何か他に意図があるからだろう。
次に「RVパーク」は、「サービスエリア」と「道の駅」より、本当に「安心・安全」といえるのか?
中には24時間管理者が近くにいる施設もあるようだが、物理的な「安心・安全」の対象となる「防災・防犯」の面から見て、そうだと云い張れる「RVパーク」は、あったとしても一握りで、「サービスエリア」の数にも及ばないと思う。
そもそも…
たとえゲートがあったからとて、駐車場で夜中に寝ている人の安全を担保できるとは思えない。
筆者の経験上、いざという時に頼りになるのは、少なくても事件を通報してくれたり、子供や高齢者に水や食べ物を分けてくれるであろう、”隣で車中泊をしている見知らぬ旅人”だ。
実は車中泊の現場で「安全・安心」を支えているのは”相互扶助”で、それが得やすいのはガラ空きの「RVパーク」ではなく、トイレ休憩を含む利用者の多い「サービスエリア」や「道の駅」のほうだと云える。
そして何より、最大の矛盾は「道の駅」の駐車場にある「RVパーク」だ。
同じ敷地にあって、同じ組織が管理し、囲いも何もないのだから、どうやったって「RVパーク」のほうが「道の駅」より安全だという説明はつかない。
そういう現場をいくつも見ている車中泊のベテランは、”世間知らずの甘い話”には乗らないが、最初に「サービスエリア」と「道の駅」の車中泊はグレイという”餌”を撒き、その後に「RVパーク」は「安心・安全」と続ければ、これから車中泊を始めようという人たちが、それが「サービスエリア」と「道の駅」に対してのことだと思い込むのは無理もない…
こんな姑息なやり方を、業界最大の組織が自らやったり、黙認しているようでは、車中泊の世界は”お先真っ暗”。
本来なら車中泊旅行者の盾となって、「サービスエリア」と「道の駅」でも「休憩」「仮眠」の”合格者”であれば、誰からも誹謗中傷される筋合いはないことを強く世間にアピールするのが、業界のリーダーが果たすべき使命だと思うが、どうだろう。
誰もが得られる「RVパーク」のメリットは「予約」
繰り返しになるが、
「RVパーク」の位置づけは、道路休憩施設の「サービスエリア」及び「道の駅」で車中泊する以上のサービスを求めるたい人に向けた施設であって、「サービスエリア」及び「道の駅」の代替スポットではない。
すなわち、オンリーワンの付加価値を追求し、それが車中泊旅行者に評価されて始めて成り立つものだ。
その「RVパーク」が持つ付加価値の中で、キャンピングカーのみならず、すべての車中泊旅行者が享受できるのが「予約」だ。
写真は「全国あこがれ温泉地ランキング」等々、各旅行社が主催するさまざまな「人気コンテンスト」で、常に上位に名を連ねる大分県の「湯布院」。
少し離れた郊外に「道の駅」はあるのだが、ご多分に漏れずハイシーズンの休日は夜間満車が当たり前で、そのうえ駐車場には傾斜があり、車中泊に適したスペースは限られている。
こういうところにこそ欲しいのが、予約ができる車中泊スポットだ。
「RVパーク由布院」では実際に車中泊をしてきたので、その詳細もご覧いただける。
乗用車が車中泊で使える「RVパーク」の見極め方
「予約」とともに、誰もが「RVパーク」で得られるサービスが電源だ。
かつてはサブバッテリーといえばキャンピングカーの専売特許だったが、現在は大容量のポータブル・リチウムイオンバッテリーの普及とともに、普通車でも使用する人が急増している。
それにより、一時は今より普通車による「RVパーク」の利用率は高まると思うが、そう遠くない将来には、キャンピングカーと同じく走行充電ができるしくみが登場すると思うので、そうなれば電源が大きなメリットになるとは思えない。
冒頭で記した通り、「RVパーク」は「道の駅」や「リゾートホテル」、あるいは「日帰り温泉施設」といった、さまざまな業種業態の駐車場の一画に設けられているのだが、そのクオリティーは千差万別。
中には「ええっ、本当にここなの?」と驚くところがないわけでもない。
写真は熊本県の人気温泉地のひとつ、山鹿温泉にある「RVパーク」で、緑のラインで囲まれた2台分の区画を、隣のハイエースのようにゆったり1台で利用できるようにしてある。
「パーク」は公園ではなく駐車場という意味なので、こんな施設も中にはある。
ゆえに利用するには、事前に入念な下調べが必要になる。
その際に筆者が重要視しているのは、車外で調理と食事ができるかどうかだ。
写真は兵庫県の「RVパーク明石東港」だが、ここはオートキャンプ場と同じように、車外にイスとテーブルを広げ、食事を作って、食べることが許されている。
ちなみに
「それならキャンプ場でいいでしょ」と思う人があると思うが、「RVパーク」には車中泊時に気を使わなければならないテントキャンパーがいない。
これは「道の駅」にも「サービスエリア」にも、さらに「キャンプ場」にもない、まさに「RVパーク」だけの付加価値で、思った以上に気が楽になる隠れたメリットだ。
物件数は少ないが、探せば全国に何件かは見つかる。
気が楽になれる理由は、下の記事をご覧いただければ納得できるだろう。
”これぞ車中泊の旅人に合う「RVパーク」!”と感じた施設
最後はこれまで取材してきた中で、同じところに滞在してのんびり寛ぐより、日中は観光して、夕方から車外で食事を兼ねながら過ごしたいという、車中泊の旅人に最適と感じた「RVパーク」を紹介しよう。
ここは料金は高いが、それに見合う価値は十分にあると思う。
なおRVパークは、年会費を払って「くるま旅クラブ」の会員にならなければ利用できないところもあるので、それも事前に合わせてチェックしよう。
最新版!車中泊の旅入門
EcoFlow ポータブル電源 RIVER 2 Pro 大容量 768Wh 70分満充電 リン酸鉄リチウムイオン電池 6倍長寿命 高耐...