「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
鉄イオン含有量の多さは日本第1位、酸性度の高さでも2位を誇る、緑礬泉の成分総量は9,059㎎/㎏
「塚原温泉 火口乃泉(かこうのゆ)」は由布市にあるため、現在は「別府八湯」には入っていない。だが、大正時代には湯布院を合わせて「別府十湯」と呼ばれた名湯だ。
ちなみに、療養泉の基準のひとつとされる成分総量は1,000㎎/㎏以上。それからすると、この数値はかなりの濃さといえる。
なお、端正な温泉宿が湯守りをする由布院とは、明らかに異質の無骨な雰囲気を持つため、当サイトでは、あえて別府温泉に組み込んで紹介したい。
まず「塚原温泉 火口乃泉」は、クルマがなければ簡単には行くことができない場所にある。
そのため、ワイルド感に満ちた伽藍岳の中腹から湧き出す極上の高温泉は、まさにクルマ旅客のためにあるようなものだ。
特筆すべきはpH値で、約1.4の強酸性泉は秋田県の玉川温泉に次いで日本第二位、群馬県の草津温泉や青森県の酸ヶ湯温泉を上回る。なお、一般的に酸性泉は殺菌力が強いとされ、皮膚病等によいといわれている。
また貧血症などに効能がある鉄イオンの含有量は日本一。鉄分といえば「赤茶色」のお湯を連想するが、それは酸化されたサビの色で、新鮮な状態の鉄イオンを含むお湯は、「塚原温泉 火口乃泉」のような透明緑色だという。
掘削ではなく自噴の源泉かけ流しによる、天からの恵みなのだろう。
施設概要
●所在温泉地:塚原温泉
●業態:日帰り温泉施設
●泉質:酸性-含硫黄・鉄・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉
●お湯:源泉かけ流し
●お風呂:男女別内風呂・男女別露天風呂・貸切風呂
●休憩スペース:個室(有料)
●飲食施設:なし
●駐車場:あり(無料)
●鍵付きロッカー:なし
●シャンプー・石鹸等:なし
●ドライヤー:あり(無料)
利用データ
❶営業期間:通年
❷営業時間:9時~17時(閉館18時)※6~9月は~18時(閉館19時)
❸定休日:無休(積雪時休、年末年始休)
❹入浴料:内風呂2時間大人500円・小人(1歳~小学生)200円、
露天風呂2時間大人600円・小人200円、
貸切内風呂1時間大人2名・小人2名まで2,000円・2,500円
内湯と露天風呂は離れており、料金も別になる。
塚原温泉の名物 蒸し卵/6個入り500円
健康な鶏から採れた新鮮な卵を使用し、伽藍岳火口の噴気で約20時間ゆっくりと蒸し上げ、温泉の成分を充分に染み込ませたという塚原温泉の蒸し卵は、ご覧の通り、殻を剥いても黒い。
硫黄の臭みはなく、うっすらスモークのような味がしておいしかった。
火口見学
お湯場から歩いて約5分。間近で、もくもくと蒸気が湧き上がる様子が見られる。火口見学料金は大人200円・小人(小学生)100円