この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
3つの本四連絡橋で、効率的に全県をまわる
本州から四国への陸路は、淡路島から大鳴門橋を通って徳島県の鳴門に渡るルートと、岡山県の鷲羽山から瀬戸大橋で坂出に渡るルート、そして広島県の尾道から、「しまなみ海道」で愛媛県の今治に渡る3つのルートがある。
鳴門・高松・小豆島(徳島県・香川県)
ランドマーク・スポット#084
阿波踊り会館
徳島城下の盆踊りにルーツがあるとされる阿波踊りは、今でも例年8月12日から15日に開催されているが、さすがにこの時期に四国で車中泊をするのは厳しい。だが「阿波踊りホール」に行けば、祭りの時期以外でも、専属連の踊りを見学し、その後一緒に踊ることができるほか、「阿波踊りミュージアム」では祭り本番の様子を映像で紹介している。
【旅先の概要】
淡路島から大鳴門橋で鳴門に渡り、そこから瀬戸内沿岸を西に進む。小豆島には高松周辺の観光を済ませてから渡るといい。小豆島からは岡山県の日生のほか、神戸にもフェリーで戻ることが可能だ。
【主な見どころ】
渦の道・屋島・栗林公園・小豆島
【車中泊旅行ガイド】
坂出・丸亀・琴平・三豊(香川県)
ランドマーク・スポット#085
父母ヶ浜(ちちぶがはま)
「父母ヶ浜」は、約1キロに及ぶ遠浅のロングビーチで、「日本の夕陽百選」に選ばれており、もともとはこういう景色で名を馳せていた。現在は、SNSの拡散で「水鏡」の写真が撮れる場所として多くの若者に認知され、驚くほどの人気スポットになっている。
【旅先の概要】
瀬戸大橋をわたって四国に出たら、まずは「さぬきうどん」を味わおう。ただし人気の店は早ければ午前中で売り切れになるため、本気で食べ歩くなら、勝負は翌朝になる。
そのため、観光との時間の使い分けが大事だ。幸いにもこのエリアは狭い範囲に見どころが集中している。
【主な見どころ】
丸亀城・善通寺・金比羅宮・父母ヶ浜・琴平公園
松山・大洲・佐田岬・宇和島(愛媛県)
ランドマーク・スポット#086
道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
道後温泉本館の保存修理工事中の客数低下を食い止めるべく、松山市が建造した新しい日帰り温泉施設で、2017年の12月にオープン。飛鳥時代をイメージし、「太古の道後」をテーマに仕立てたという新温泉館は、外観は地味だが、館内に職人の技とセンスが散りばめられ、本館とは異なる魅力を醸し出している。
【旅先の概要】
昭和は「坊っちゃん」、平成は「坂の上の雲」の舞台として名を上げた松山は、小説やドラマを見た人には感慨深い町だと思う。
ただし道後温泉は、2019年から7年かかりの本館改修工事中だ。
実はこのエリアでシニア世代お勧めしたいのは、1966年~1967年に放送されたNHKの連ドラ、「おはなはん」の舞台になった大洲の城下町。この話に勝るとも劣らない、なんともレトロな風情が今なお残る。
なお、八幡浜もしくは佐田岬からは、フェリーで大分県の佐賀関に渡ることができる。その場合は宇和島をパスするほうが楽だ。
【主な見どころ】
松山城・坂の上の雲ミュージアム・道後温泉・臥龍山荘・佐田岬灯台・宇和島
土佐・四万十(高知県)
ランドマーク・スポット#087
佐田沈下橋
「最後の清流」というキャッチフレーズで、一躍有名になった四万十川の名物といえば沈下橋。その中でも比較的行きやすい場所にあるのが、この佐田の沈下橋で、少し離れたところに駐車場が整備されているので安心だ。
ただし観光バスも来るので、早い時間に行かないと、こういう写真を撮るのは難しい。
【旅先の概要】
ポイントは四万十川沿いと、足摺サニーロード沿線のシーサイドになる。
キャンピングカーの場合、四万十川の沈下橋めぐりは、狭くてカーブの多い国道381号は鬼門だ。楽なのは国道441号を遡って「道の駅 四万十とおわ」まで行って同じ道を引き返す方法で、佐田の沈下橋もこのルート上にある。
また海の絶景は、足摺岬よりも竜串海岸で見られる。
【主な見どころ】
四万十川・竜串海岸・足摺岬
【車中泊旅行ガイド】
祖谷渓・高知・梼原(高知県)
ランドマーク・スポット#088
桂浜
高知城下から10キロほど離れたところにある、坂本龍馬ゆかりの景勝地。かつて坂本家が仕えた長曽我部氏の居城だった「浦戸城」本丸跡に、太平洋を見渡す龍馬の銅像が立ち、近くの高台には坂本龍馬記念館もある。
「龍馬に大接近」は、龍馬像の隣に約13メートルの特設展望台を設置し、龍馬と同じ目線から太平洋を眺望することができるイベント。例年、春のゴールデンウィークと秋の誕生日をはさむ約2カ月間に実施される。
【旅先の概要】
高知は「土佐」のイメージが根強いのだが、時代劇に登場する「土佐」と、現代の「土佐(清水)」は場所が違ううえに、ずいぶん離れている。
筆者がお勧めしたい高知観光のルートは、むしろこちら。
瀬戸大橋から来る途中に、秘境・祖谷渓の近くを通るので、そこに立ち寄ってから高知市内を観光する。
その後、内陸に進路を取り「仁淀ブルー」で有名になった中津渓谷を見て、四国カルストまで登り、最後は坂本龍馬の脱藩の道が残る梼原へと下る。
【主な見どころ】
かずら橋・JR高知駅・高知城・桂浜・中津渓谷・四国カルスト・梼原脱藩の道