【2023年1月更新】
車中泊旅行歴25年の歴史に精通するクルマ旅専門家がまとめた、太宰府天満宮の歴史・見どころ及び周辺の車中泊事情に関する記述です。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、日本全国で1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、「車中泊ならではの歴史旅」という観点から作成しています。
「太宰府天満宮」のルーツは、菅原道真公の霊廟
太宰府天満宮 DATA
太宰府天満宮
〒818-0117
福岡県太宰府市宰府4丁目7番1号
☎092-922-8225
開門時刻
春分の日より秋分の日の前日まで 6時、上記以外の日 6時30分
閉門時刻
4月・5月・9月・10月・11月 19時、6月・7月・8月 19時30分、12月・1月・2月・3月 18時30分
※正月の開門・閉門時刻(12月31日~1月3日)
12月31日は6時30分に開門し、正月三ヶ日は24時間開門。
「太宰府天満宮」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.05.08
2014.01.23
2019.02.12
※「太宰府天満宮」での現地調査は2019年2月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年1月に更新しています。
太宰府天満宮【目次】
太宰府天満宮のあらまし
「太宰府天満宮」は、平安時代の901年に左大臣藤原時平らの陰謀によって、京の都から筑前国の大宰府に左遷され、失意のまま2年後に同地でこの世を去った、藤原道真公の霊廟のあった地で、919年(延喜19年)にその御霊を鎮魂するため、本殿が創建された経緯を持つ。
※詳細はこちらに記載。
現在は京都の「北野天満宮」とともに、道真公を祭神として祀る、全国の天満宮の総本社となっており、受験シーズンが差し迫る年末年始には、全国から毎年200万人以上、年間にすると850万人を超える参詣者が訪れるという。
太宰府天満宮の見どころ
「太宰府天満宮」が福岡県屈指一の観光地と呼ばれる理由は、受験生への「ご利益」だけではない。
しかし、他の観光情報サイトと似たり寄ったりの紹介ではつまらないので(笑)、ここから先は筆者と同じ「三丁目の夕日世代」ならよくご存知の、あの名曲にあわせて話を進めていくことにしよう。
太宰府天満宮は、さだまさしの楽曲「飛梅」の舞台
「飛梅」は1977年7月に発売された、さだまさしのソロ2枚目のオリジナル・アルバム「風見鶏」に収録されているが、太宰府天満宮を舞台に「大鏡」等に記されている菅原道真公の、特に「飛梅伝説」をモチーフにしており、歌詞を覚えてから行くと、まるで映画のロケ地に来たような気持ちになれる。
その名曲が聞きたいという人は、上の動画をクリックしてみよう。
飛梅伝説
飛梅伝説は、菅原道真が平安京朝廷内における藤原時平との政争に敗れ、遠く大宰府へ左遷されることとなった901年(延喜元年)に、屋敷で日頃から愛でてきた梅の木・桜の木・松の木との別れを惜しんだことに端を発する。
その際に、梅の木について詠んだのが、この有名な和歌だ。
東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅花(うめのはな) 主なしとて 春な忘るな
現代語訳
主人(こと、私)がいなくなっても、春が来るたび忘れることなく、梅の木よ、芳しい花を咲かせておくれ。
京都に残る菅家邸址(菅大臣神社)
伝説によれば、桜はそれから悲しみに暮れ、見る見るうちに葉を落とし、ついには枯れてしまう。
いっぽう梅と松は、道真公の後を追いたい気持ちを抑えきれずに空を飛んだ。
ところが松は途中で力尽き、摂津国八部郡板宿(現・兵庫県神戸市須磨区板宿町・飛松岡)に降り、結局この地に根を下ろした。だが梅は、見事その夜のうちに主人の暮らす大宰府まで飛んで行ったという。
写真の京都に残る菅原道真の邸宅跡と伝わる菅大臣神社は、その3本の木があったところとされている。
だが不思議なことに、今でも飛んでいったはずの梅の木があった(笑)。
太宰府天満宮にある、「飛梅」ゆかりの場所とモノ
ここから先は「飛梅」の歌詞に沿って、太宰府天満宮の見どころに迫ろう。
心字池
♪心字池にかかる 三つの赤い橋は
一つ目が過去で 二つ目が現在
三つ目の橋で君が 転びそうになった時
初めて君の手に触れた 僕の指♪
心字池というのは、「心」の字をかたどって造られた、神社仏閣などにある日本式庭園の池の総称。
太宰府天満宮の心字池には、太鼓橋・平橋・太鼓橋の三橋がかかっており、仏教思想でいう「過去・現在・未来の三世一念の相」を現わしているという。
そしてこの橋を渡ることで、三世の邪念が払われると信じられてきた。
おみくじ
♪手を合わせた後で
君は御籤(おみくじ)を引いて
大吉が出る迄と も一度引き直したね
登り詰めたらあとは 下るしかないと
下るしかないと気付かなかった
天神様の細道♪
梅が咲く頃の太宰府天満宮のおみくじ売場は、「合格占い」に興じる受験生でいっぱい。僕らはまるで孫の代わりにやって来た、じっちゃん・ばっちゃんのようだった(笑)。
梅が枝餅
♪裏庭を抜けて お石の茶屋へ寄って
君がひとつ 僕が半分
梅ヶ枝餅を食べた
来年も二人で 来れるといいのにねと
僕の声に君は 答えられなかった♪
梅が枝餅の由来は、菅原道真が太宰府で幽閉を強いられていた時代に遡る。
毎日の食事にも事欠くという悲惨な暮らしぶりを見かねた老婆(後の浄明尼)が、梅の枝に栗餅を巻き付けて差し入れたのがその始まりだそうだ。
ちなみに梅ケ枝餅は、門前通りの多くの店でも売られており、写真はその中の寺田屋で食べた。
この展開も、そろそろネタ切れ(笑)。
これからは一般的に云われている見どころを紹介する。
牛の像
太宰府天満宮には12頭もの牛の像がある。
菅原道真公と牛の関係については、牛が歩みを止めた場所を墓所にしたという有名な話以外にも、道真公の誕生日・承和12年6月25日(845年)や、死去日・延喜3年2月25日(903年)が丑の日だった、あるいは、道真公が大宰府に落ちてゆく途中で命を狙われた時、白牛に助けられたなどの逸話が残されており、それらが神使説へと通じているようだ。
楼門と本殿
重層の入母屋造りで檜皮葺の二重門を持つ「楼門」は、慶長年間(1596~1615年)に石田三成が再興したとされるが、明治時代に焼失し1914年に再建された。
本殿は天正19年(1591)に、小早川隆景によって再建された五間社流造の安土桃山建築。右側の欄間には、中国に古くから伝わる登龍門伝説が彫られている。
撮影OKの宝物殿
宝物殿には、菅原道真公の佩刀(はいとう)「毛抜型太刀(けぬきがたたち)」、国宝「翰苑(かんえん)」をはじめ、古文書、美術工芸品など約5万点もの文化財が収蔵・展示されている。
入場料は一般500円で、国立九州博物館との共通券もある。
詳しくはオフィシャルサイトで確認を。
黒田如水(勘兵衛)ゆかりの場所
太宰府天満宮は、2014年に放送された大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公、黒田如水(勘兵衛)ゆかりの地でもある。
関が原の合戦における嫡男・長政の働きにより、中津から福岡に加増転封となった際に、如水は太宰府天満宮の境内横に仮住まいをしていた。
その際に茶の湯に使っていたとされる井戸が写真の「如水の井戸」で、その隣には如水の御霊を祀る「如水社」がある。
キリシタンであることからもわかるように、官兵衛は信心深く、天満宮の祭りごとがあれば寄進を積極的に行っていた。
その関係で、宝物殿には「夢想之連歌」を筆頭に、書状や太刀など黒田如水(官兵衛)・長政らにゆかりの品々が収蔵・展示されている。
なお「如水の井戸」と「如水社」があるのは、楼門の外に建つ宝物殿の横。
飛梅の横から抜ける梅林の方ではないので、迷わないように気をつけよう。
また「国立九州博物館」も、太宰府天満宮から徒歩圏内にある。
太宰府天満宮の駐車場
一番広いのは、太宰府駐車センター(太宰府天満宮第1・第2駐車場)
太宰府天満宮からは徒歩10分ほど離れているが、料金は1日あたり500円と格安で、キャンピングカーでも安心して停められる。
なおトイレはあるが、夜間は閉鎖されるため、車中泊には適さない。
周り方にもよるが、宝物殿を見学したり、国立博物館まで足を伸ばすなら、半日はかかると思うので、時間制限のないこの駐車場がお勧めだ。
往復とも門前通りを通るので、お土産も買いやすい。
太宰府駐車センターの詳細情報
■駐車台数
普通車:850台
大型バス・マイクロバス:26台
■料金
普通車:500円
バイク:250円
マイクロバス:1,300円
大型バス:2,000円
※いずれも1日1回あたり
■営業時間
8時から18時
※12月31日から1月3日は24時間営業
■住所
福岡県太宰府市宰府1-12-8
☎092-924-2843
ショートステイなら、太宰府天満宮の裏口正面にある「三条駐車場」
門前通りではなく、太宰府天満宮の裏手にも有料駐車場が並んでいるが、裏口正面にある「三条駐車場」は平面でゲートがなく、キャンピングカーも停められる。
単純に本殿参拝だけなら、こちらのほうが近くて安い。
ただしキャパが小さいので、朝早いうちでないと満車になる日が多そうだ。
1時間以内/300円
30分経過/100円
太宰府天満宮の車中泊事情
太宰府天満宮に最寄りの車中泊スポットは、約12.5キロ・クルマで20分ほど離れた「道の駅 筑前みなみの里」になるが、筆者はまだ行ったことがないので、車中泊の好適度は分からない。
ただ高速道路に乗るのであれば、九州自動車の「基山(きやま)PA」は、「道の駅 筑前みなみの里」へ向かうのと、距離も所要時間もほとんど変わらない。
「基山PA」は、九州の東西南北に通じる「鳥栖ジャンクション」に近く、翌日高速で移動するなら、車中泊をするとETC割引が適用されるメリットがある。
その際には、太宰府天満宮から3キロほどのところにある「都久志の湯」で入浴を済ませて行くといい。
なおPAの敷地内のコンビニは、現在はセブンイレブンに変わっているようだ。
都久志の湯
☎092-918-1177
大人600円
平日16時~24時(土日祝11時~)・水曜定休
その他では、観光地に近い「道の駅 くるめ」が約30キロ・1時間、「道の駅 吉野ヶ里」が約35キロ・1時間のところにある。
太宰府天満宮オリジナル関連記事
最後に京都の「北野天満宮」と、道真公が最後に務めた「太宰府」にまつわるエピソードをご紹介。