【2023年1月】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、関門海峡の展望・観光・グルメ&車中泊に関する情報です。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
関門海峡は、「ウォーターフロント」を下関と門司の両岸から見てまわるのが◎
「関門海峡」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.10.10
2011.04.26
2015.09.19
2016.12.09
2021.12.25
2022.04.25
※「関門海峡」での現地調査は2022年4月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年1月に更新しています。
関門海峡 展望・観光・グルメ&車中泊ガイド
関門海峡の概要と通行ルート
福岡県の門司と山口県の下関を隔て、古来より日本海と瀬戸内海をつなぐ海上交通の要衝であった関門海峡は、国内のみならず諸外国との交流交易、あるいは防衛の拠点として、日本の大きな時代転換期の歴史舞台となってきた。
現在、その関門海峡を渡るルートには以下の3つがある。
関門橋
1973(昭和48 年)に開通した、山口県下関市と北九州市門司区を結ぶ全長1.068 メートルの吊り橋で、開通時点は日本および東洋最長だった。
正式な路線名は「関門自動車道」で、通行は有料となっている。
関門トンネル
関門トンネルは「関門鉄道トンネル(山陽本線)」及び、「新関門トンネル(山陽新幹線)」と、上がクルマ(通行料片道160 円)、下が人道(無料)の二重構造になった「関門国道トンネル」の3 つの総称だ。
関門連絡船
下関の唐戸と門司港の間を約5分で運航している、関門汽船株式会社の連絡船で、本州と九州を結ぶ市民の足として、近年まで「海上国道2号線」と呼ばれていた。
関門海峡へのアクセスは、フェリーが断然便利で楽!
中国自動車道の「吹田インター」から、九州自動車道の「門司インター」までは約527キロ、休憩なしでも6時間以上はかかるだろう。
ETC割引を利用すれば、片道11,070円(2023年1月時点)で行けるとはいえ、ガソリン代に食事代等を加味すれば、ハイエースならひとり旅でもプラス13000円、合わせて24,000円近い費用になる。
もちろんそこに、運転手の「お時給」は含まれていない(笑)。
いっぽう本州からは九州の新門司港行きのフェリーは、大阪から2社、神戸から1社、東京から1社、神奈川県の横須賀から1社が運行している。
横須賀から出港している便を除くフェリーは、いずれも夜に出港し、早朝に門司港に到着するので、日程が限られる人だけでなく、体力を温存して九州に渡りたい人にも適している。
<大阪>
名門太平洋フェリー
大阪南港〜北九州(新門司)間を1日2便が運行。
1便:大阪17時発、北九州翌日5時30分着
2便:大阪19時50分発、北九州翌日8時30分着
所要時間12時間30分。
なお2便は18時過ぎから乗船できる。
4m以上~5m未満の車両運賃24,930 円、旅客運賃 7,630円(エコノミー)、
1等(ファーストA)は14,140円。夫婦で利用すると、合計46,290円。
※上の写真はデラックス(19,790円)
<大阪・神戸>
阪九フェリー
①泉大津航路(泉大津港~新門司港)、②神戸航路(六甲アイランド~新門司港)の2つの航路を運航。
①泉大津航路
泉大津17時30分発、新門司6時着
所要時間12時間30分
4m以上~5m未満の車両運賃24,090 円、旅客運賃 7,220円
1等室は14,560円。夫婦で利用すると、合計45,990円
②神戸航路
六甲アイランド18時30分(金・土は20時)発、新門司7時(金・土は8時30分)着
所要時間12時間30分
※運賃は同上
<東京>
オーシャン東九フェリー
東京(有明)〜徳島(寄港)〜北九州(新門司)間を運行。
●上り便(東京港→新門司港)
東京19時30分発(日・祝日は18時)、新門司5時35分着(日曜日は6時30分着)
●下り便(新門司港→東京港)
新門司19時発(日・祝日は18時)、東京5時30分着(日曜日は6時着)
往復とも2泊3日の行程で、所要時間は32時間。なお休航日があるので、ホームページで確認要。
5メートル未満の車両運賃47,380円、旅客運賃20,030円、2名個室のルームチャージ15,000円。夫婦で利用すると合計82,410円になる。
※個室は1部屋あたりの料金(ルームチャージ制)で、個室料金のみでは利用できず2等洋室運賃・自動車航送運賃が別途必要。
<横須賀>
東京九州フェリー
神奈川(横須賀)〜北九州(新門司)間を運行。
●上り便(横須賀港→新門司港)
東京23時45分発、新門司23時55分着
●下り便(新門司港→横須賀港)
新門司21時発、東京20時45分着
所要時間は21時間。ただしいずれも日曜・祝日は運休。
5メートル未満の車両運賃40,000円、旅客運賃12,000円、2名個室のルームチャージ30,000円(ステートA)。夫婦で利用すると合計82,000円になる。
※個室は1部屋あたりの料金(ルームチャージ制)で、個室料金のみでは利用できず旅客運賃・自動車航送運賃が別途必要。
料金はいずれも繁忙期を除く期間Aのもの。
※料金は全社ともに2023年1月現在
関門海峡の覚えておきたい歴史
関門海峡は、平安時代と幕末に、日本の歴史のターニングポイントとなる大きな戦いの舞台となっている。
また関門海峡に浮かぶ船島(ふなしま)では、1612年(慶長17年)に宮本武蔵と佐々木小次郎による有名な「巌流島の戦い」が行われた。
壇ノ浦の戦い
1185 年(元暦2 年/ 寿永4 年)
2022年に放送された、大河ドラマ「鎌倉殿の13 人」でも描かれた「壇ノ浦の戦い」は、源頼朝の挙兵以来5 年もの長きに及んだ「治承・寿永の乱」の最終決戦にあたる海上戦で、源義経率いる源氏軍が勝利をおさめ、平家一門は滅亡。
以降日本は、武家政権の鎌倉時代へと進んでいく。
「壇ノ浦」は、本州と九州を隔てる関門海峡がもっとも狭くなっている海域で、現在はそのうえに関門橋が架かり、海底には関門トンネルが通っている。
下関戦争
1863 年(文久3 年)下関事件
1864 年(元治元年)馬関戦争
下関戦争は「攘夷」を掲げる長州藩が引き起こした、イギリス・フランス・オランダ・アメリカの列強国連合との、2度にわたる武力衝突事件のこと。
これにより壊滅的な打撃を受けた長州藩は、以降「攘夷」を捨てて近代化へと舵を切り、薩長同盟を締結して倒幕に成功し、日本は明治維新を迎える。
巌流島
宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘については、実は今でもそのほとんどが謎に包まれたままだ。
ただ実際に両者が剣を交えたのは事実で、結末は武蔵の勝利とされている。
関門海峡観光の秘訣
結論から云うと、秘訣は門司でも下関でも行動範囲を広げず、「ウォーターフロント」での観光と飲食に徹することだ。
翌日以降のスケジュールと車中泊スポットの立地を考えると、フェリーで新門司港に到着後、下関に渡って午前中に「みもすそ川公園」と「火の山公園」を訪ね、「唐戸市場」で食事と買物を終えたら、再び関門海峡を越えて門司に戻ってくるのが理想の行程になる。
下関側にある「唐戸市場」は、鮮魚市場と食堂等が一体になった施設で、一部の店では観光客向けにフグも販売している。
お勧めは、金・土は10 時~ 15 時、日・祝は8 時~ 15 時で開催される「活きいき馬関街」と呼ばれる飲食イベント。
フグはもちろんノドグロや甘鯛などの握り寿司や、ウニ・イクラなどがふんだんに使われた海鮮丼がリーズナブルな値段で店頭に並ぶ。
なお「唐戸市場」の周辺には、飲食店と土産物屋が揃う「カモンワーフ」と水族館もあり、時間を持て余す心配はない。
いっぽう門司の方は、ウォーターフロント一帯が「門司港レトロ」と名付けられたノスタルジックな建築物のテーマパークになっている。
しかも歩いて周れるので、いちいちクルマを動かさなくても楽しめる。
そのうえ夜景も美しく、夕食を食べながら飲んだ後、車中泊することも可能だ。
関門海峡界隈の車中泊事情&車中泊スポット
マップからも分かるように、関門海峡の近くには、下関側にも門司側にも道の駅はないのだが、関門橋を挟んで下関側に「壇ノ浦PA」、門司側に「めかりPA」がある。
少々騒がしいとは云え、トイレにウォシュレットがあって、可燃ゴミも捨てられるアドバンテージは大きい。
また下関のカモンワーフ、あるいは門司港レトロの近くには、車中泊ができるコインパーキングがあるので、お酒が飲みたい人にはそちらがいい。
写真の「サクラビール」は、大正から昭和初期にかけて、九州で親しまれた歴史あるビール。こういうところにまでこだわってくれると楽しいね。
なお無料で車中泊旅行者に人気があるのは、下関側では「老の山公園」、門司側では「ノーフォーク広場」だろう。
いずれもウォーターフロントから、クルマで10分以内のところにある。